プロローグ
次の話で転移します。今回は『雪村渚』というナニカの紹介みたいな感じです。
ちなみに、異世界の転移・転生系は筆者、序盤がかなり苦手です。
まあ設定ほぼ考えず、行き当たりばったりで生きてるこのバッタ筆者にはそれがふさわしいかも……。
人は生きる。
基本、何があろうと、人は生き続ける。唐突なイレギュラーでも怒らない限り、人は生きるのだ。逆らえない、抗えない人生において、人の意思が死へとむくことは僅かだ。
それが死へと向く。それが異常事態、イレギュラーの正体だ。
六道へと向かう。それが例えどんな道でも、彼、雪村渚はそういう人物であった。
誰かを、生物を、六道へ送る。幼い頃に殺めた小さな命は数えきれない。まだ人は殺したことがないが、もし、渚が人を切り裂くという、殺すという、そんな快楽に引きずり込まれたら、それは一人の殺人鬼の完成だろう。どっちかというと、殺人狂かもしれない。
今の渚は、小さな虫を潰す、ということをゲーム感覚で楽しんでいた。
ハチをつぶした時に出る、プチッ、という音がこの上なく気持ちいい。手は使わない。汚れるのは嫌だ。全て足で殺すか、蚊を手で叩くか、それが日常だった。
渚がなぜそんな沼にハマったのか、それは至って単純。
人が夜更かしをするのは、今日に満足していないから、という理由がある。それと大体同じ。
虐められる側である渚は、虐める、殺す側に回ってみたいと、不満を抱いたのだ。
次第にそれがエスカレートしたいった。無論、虐めが続くのが原因なのだから、なんともいえないのだが、最初は虫で済んでいたのが、そのうち見つけた小動物は片っ端から殺すようになっていった。
鳥は小石を投げて、気絶したところを首を捻って殺す。
ネズミは巣穴を一か所以外塞いで、塞がなかった場所から一番近い場所の巣穴に線香をおいて、煙を充満させてあぶり出し、出たところを踏み潰す。
登山授業では、自由時間のうちにハクビシンを蹴り殺した。
その目つきは動物や生命を見る目ではない。
自分を快楽への扉へと導く、鍵だ。用意された、そういう風に思い始めたのは二年も前だ。
いじめは一向になくならない。
それと比例するかのように、渚は動物を殺し続けた。
流石にバレるようなことは避けて来た。
学校でかっているウサギ。クラスで飼っているネズミ。殺したい、という殺戮の欲求に駆られ、それを押さえながら過ごすのは苦しみだ。喉が乾いていて、目の前にある水がある。それを飲んではいけない状況、普通の人間なら、死ぬよりはマシ、と手を出してしまうが、渚はすでに普通ではない。
狂っているのだ。
動物を初めて殺した時、最初に沸いたのは快感。罪悪感なんて微塵も感じなかった。
そのあとも、覚えた手のサルのように殺して来た。目についた生物は大抵殺す。人目やその時の気分によって殺さないこともあるが、大抵は殺して来た。まあ猫と蛇だけは殺さなかったのだが……。
渚はハクビシンを蹴り殺した時、新しいことを覚えた。
内臓を弄ぶ。食べる、なんて事はしない。ただグチャグチャにして、放り投げて、踏み潰して、気がつけば、身体中が血だらけになっていた。
仕方なく川に落ちたことにしよう、と川で血を洗い流したが、もし近くに皮がなければ終わっていただろう。
今の渚は構成されなかった。その一ピースがないだけで、今の渚は崩れる。
雪村渚とは、狂人なのだ。
肉体より先に精神が存在する、凌牙した者。
しかし……
今から数秒後に、自分の人生が大きく変わるとは、渚を含めたこの教室内の誰も思っていなかっただろう。
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