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鬼の言い訳

作者: 石川 瑠佳

 ゴロッ、ドシュッ(雲から下りた)。


 だから、俺は嫌だったんだ。こんな場所に来るのは。

 帰るしかないだろ、全く。何も手に入らなかった。

 つまらねー、世界。

 確かに悪いことしましたよ。許してもらえて良かったな。

 人間がいる世界なんて面白くもなんともね―。

 退屈していたら、宝が山程あるっていうから来たのに。「百万円くれ」って、サラリーマンと主婦に言ったら警察に通報されちゃって。

 どいつもこいつもケチでアホだ。

 アメリカでは子どもだって、上手く奪ってるらしいじゃん。「トリック・オア・トリート」とかなんとか言って。えっ?アレはお祭りで完全なお芝居で違うって、普通に楽しんで仲良くやってる?お菓子で額とかも違っている、と。

 なんか、つい宝に目が眩んで頭の中、ちょっと二百年ぐらい前になっていたな。俺はとても悪い鬼になってよろしくなかった。


 で、結局さ宝って何を言ってたの?

 大学に入れって?

 人類学勉強しろって?知識は宝?なるほどそういう意味だったか。

 確かに、鬼が人間を超えきれない理由はそこにあるかもしれない。恐れられたりしたけど、それだけだ。

 会社の経営?

 えー、鬼の作る会社ってなにかある?

『雷おこし』、ワッ、平凡。お前、人間に笑われちゃうぜ。普通とか言ってね。俺だったら…う――ん、雷おこしか?悪かったよ。どうせ、同レベルって感じですよ。

 ガラスとかは?金棒で殴っても絶対割れないとか。何、まず最初から疑わしくて怖い。社会的信用を持てない。

 そっからか。そうだな。昔越えしたいなら、堅実さとか出さなければ無理っぽそうだな。堅実の鬼。金棒の尖ったとこ、一個、一個をネジではめていったりとか。地味だろう。な、完成したら暴れようぜ。アッ、一緒か。俺って根っから鬼なんだな。来世では人間に生まれるように祈っとくか。

 もういいじゃん、観光で。浅草でお参りしよ。雨雲レーダー確認しとかないと。雨雲があると帰れるから。

【俺はカバンから、濃い灰色のやや薄い手持ちの雲を出す。雲には、ラジオに似たアンテナが付いている。丸い画面には、周辺の雨雲情報が分かる地図が出ている。電話もできる。帯電モードで。頭を電気が刺激し、異常進化状態になって連絡したい相手にテレパシー、精神接触発信ができるようになる。相手も帯電モードになれば会話ができるぞ。人間は、こういうのをするのが、嫌な気がするから無理だな。

 タッチパネル式性能で、使用をする。近くの雨雲を受信して接続で『雷の道』を通って帰ることができる。本当は時間変化の、進みが異常に遅い、別次元の道を通っている感じだが。肉体的な意味では神業だ。だから、人間は余程準備をしていないと普通に死ぬからマネするときは、気を付けないといけない。本気でヤバいぞ】

 雨雲がすごく見つけにくい状態のときもあるからテンポ良く行かないと。お参りして、雷おこし…。お前、やっぱりって顔をすんなよ。買って帰らなかったら、なんか皆ガッカリするじゃん。

 最近、色んな味のとかあるからさ。皆が楽しく、食べれるのがあったらいいだろ?

 だからさ、おしゃれなの買って帰ろう。



                      終


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