1-1 救難信号
趣味で私が書ききたいものを書いてるだけです。
読んで貰えたら幸いです。
魔神 「穢がこの世界まで…この世界はもうおしまいだ…」
女神 「いいえ、まだ終わってないわ。私達の最後の力を行使すれば時間が稼げるわ…」
創造神 「その通りだ。我々が時間を稼いでる間にあの者たちに救難信号を出そう…」
女神 「あの者たちならばきっと大丈夫ね」
創造神 「さぁ!お前たち!世界の危機と希望を眷属に神託するのだ!」
女神・魔神 「はい!創造神様!」
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この世界の名はアーレシア。中世のヨーロッパに似た街並みが栄えている。剣と魔法のファンタジーな世界だ。多種多様な種族と魔族が小競り合いをしているこの世界に今、穢という未曾有の危機が迫っている。穢とは、未知の黒い空間から無際限に黒い化け物が出現する現象を指す。
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大陸の中心、人族の首都・城塞都市デンゼル。
そのデンゼル王城内で、気品がある男女が話していた。
???「ライノットお兄様、各地で穢なるものが発生し数多くの命が失われております。お父…国王も床に伏せてしまっております。」
ライノット「わかっている。だからこうして日々、鍛錬しておるのだろう、レジーナ」
レジーナ「なぜ…、王位継承権第1位のライノットお兄様が戦わなくてはいけないのですか…?」
ライノット「わかってくれ、穢から出現した化け物は、古代文明の遺産である聖剣を持っている、私にしか倒すことは出来ない…」
レジーナ「勇者召喚もしたのになぜ!!」
ライノット「召喚は確かに成功したが、あの者らには"聖剣を扱うことは出来なかった"だろ?」
ライノット「それに次期王になるものが、護るべき民の陰に隠れている訳にもいかないだろ…」
ライノット「それに、もしもの時は王位継承権第2位ではあるがレジーナ、君がいるだろう?」
レジーナ「そんな悲しいこと!言わないで下さい!!」
ライノット「良いかい?私には身体能力しか取り柄がない。それに比べてレジーナ、君は頭が非常によく回る。民と国の事を考えたら次期王はレジーナの方が相応しい。」
レジーナ「…」
ライノット「この国は任せたよ、レジーナ…」
そう言って、ライノットは自室へと戻った。
次の瞬間、レジーナに女神から2つの神託が授けられた。
────黒き波が溢れた時、"浄化の笛"を鳴らしなさい。さすれば、7つの光が世界を救済するだろう…
レジーナは悩ましそうな顔をしていたが、続けて女神は言った。
────この世の全ての種は共存の道を辿りなさい。過去を黒き波に流し、力を合わせるのです。と…
その信託はデンゼルだけではなく、エルフ、ドワーフ、獣人、翼人族といった女神を信仰している眷属の各国の代表に告げられた。
また、レジーナ以外の代表には人間領の城塞都市デンゼルに向かうよう追加で神託が授けられていた。
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時を同じくして、城塞都市デンゼルの東側に位置する魔族領、魔王ネオールにも同じ神託が魔神から告られた。
さらに魔族達にも、もう1つだけ多く神託が告げられたのだ。
────人間領の城塞都市デンゼルに向かうのだ。魔族が決して1人も欠けること向かえ。奇跡はそこで起こる。
ネオール「デンゼルにだと…!?、人族からの施しを受けるということなのか!?、ちくしょう!!」
魔王ネオールが悔しそうに言い放った瞬間、アーレシア全体が酷く揺れ、穢が各地で同時に多発した。
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各地の種族が穢から逃げるため、各国の内部が慌ただしくなっていた。
一方デンゼルではライノットが挙兵し、デンゼルの北に発生した穢を潰そうと向かった。
その見送りに街を囲む城塞に赴いていたレジーナ。
すると、レジーナに報告が届いたデンゼルの南側にある平原にて穢れが出現した。穢出現から報告まで時間がたっていたため南門目前まで、影の化け物が迫っていた。
レジーナ「ライノットお兄様に向けて早馬は出さないで!お兄様は今、北側に向かわれてる途中。お兄様の兵を分断させてしまってはお兄様に危険が迫ってしまうわ!」
レジーナ「すぐに3人の勇者を南門に集結させて応戦させなさい!勝たなくて良いわ!私が浄化の笛を探す時間を稼いで欲しいの!」
レジーナ (浄化の笛とは一体なんなの?城中、街中探したのに笛らしきもの1つ見つからないなんて…)
レジーナ「南門を突破された時に備えて城を解放して!民を城の中に入れるの!籠城戦よ!近衛兵はついてきて!残りの兵は2班に分けて民の誘導と南門の応戦へ!」
兵「了解!!」
レジーナ「さぁ!行動して!この国を私達で守るのよ!」
浄化の笛を探しに走り出そうとしたレジーナは10歳もないぐらいの貧民と思われる少年とぶつかった。
レジーナ「大丈夫!?怪我はない!?」
そう言ってレジーナは小汚い少年に手を貸した。
少年は薄着で震えていた。さらに、腹音がレジーナの周囲に立っている近衛兵に聞こえるぐらい、少年は腹を空かせていた。
レジーナ「寒くない?私のコート使って!ご飯も携帯用の干し肉しかないけど食べて!パパやママは?」
少年「…」
レジーナ「近衛兵!取り敢えず少年を城へ送って!そこなら親御さんも見つかるはずだから探してあげて!」
近衛兵「し…しかし…、レジーナ様の守護が手薄になってしまいます…」
レジーナ「私はいいから!少年には2人近衛兵をつけて!」
少年はぺこりとレジーナに会釈をして、近衛兵に連れられ城へ向かった。
再び浄化の笛を探そうと走り出したところで、衛兵にレジーナは呼び止められた。
衛兵「レジーナ様!! 勇者様方が劣勢で…、このままだと!」
血の気の引いたレジーナは何かできるわけではないが南門へと走り出した。
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デンゼルの南門手前の平原では3人の勇者が穢から出現した化け物と戦闘を繰り広げていた。
3人の勇者は勇者召喚により日本という異界の者たちだ。剣聖の千月優真、賢者の柳本維新、聖女の田辺美咲。
維新「メテオインパクト!」
優真「裂斬!」
美咲「エキストラホーリー!」
維新「ごめん!今ので魔力が無くなっちゃった…」
美咲「私も魔力とMPポーションきれちゃった…」
優真「チッ!刃が欠けて、良く切れねぇ」
美咲「なんで、戦場なんかにいるんだろうね…、召喚されて3年…。少し前までは平和な日本で高校生してたのに…」
優真「おい!その話は無しだって前も言っただろ!」
維新「でも、3人一緒に召喚されて良かったよね…幼馴染の僕達3人で…」
優真「昔話はいいんだよ!それよりも目の前の化け物のこと考えろ!俺たちの後ろには、俺たちより軟弱な奴らしかいないんだからよ!逃げるは選択肢に入んねぇぞ!」
美咲「そうね。切っても爆発させても死なない化け物が、この国を襲うことだけは避けないと!」
優真(ちくしょう!!聖剣を俺が扱えれば…。何が剣聖だ!)
維新「そ…そうだね…。でも、この化け物たち穢とかいうのから這い出てきて増えるばかりだよ!?」
優真「おい!文句を垂れてる暇あったら手足動かせ!増援が来るまで門を死守するぞ!」
維新・美咲「うん!」
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城内にて貧民の少年の親を探す近衛兵2人と少年がいた。
近衛兵「なぁー、いい加減話してくれよー。どんな親なんだ?髪の色は?体の特徴は?おーい」
少年「…」
近衛兵「だーめだ、こりゃ。俺は早くレジーナ様の元に戻りたいんだ、そのためにお互い協力していかないか?」
少年「…」
そこに、衛兵が現れた。
衛兵「おい!まずいぞ!勇者様方が劣勢になっている!そこにレジーナ様も向かわれてしまった!」
近衛兵「なに!?レジーナ様は何を考えていらっしゃるんだ!?」
少年「…」
近衛兵「おい!少年!いよいよ状況が最悪な事態になってきたぞ!いいか!俺を怒らせる前に俺と協力しお前の親を見つけるんだ!!」
衛兵 (すでに怒ってるじゃん…)
少年「もういいかな…」
近衛兵「あぁん!?なに言ってんだ!?」
次の瞬間、城内にいる人たちの前にとんでもない光景が広がった。
少年が目の前から霧のように消えたのだ。
近衛兵「うわぁぁぁ!いなくなった…?おい!皆探すんだ!トラブルに巻き込まれたに違いない!」
近衛兵2人と衛兵によって城内が慌ただしくなり、3人の勇者が劣勢なことに誰もが忘れていた。
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南門に着いたレジーナは悲惨な光景を目の当たりにした。3人の勇者はすでにボロボロで一方的に痛めつけられていた。それでも立ち上がり、立ち向かっていく勇者達にレジーナは思わず言った。
レジーナ「もうやめて!こんなになるまで、どうして逃げなかったの!?」
優真「もし、俺たちと同じ立場に姫さんがいた場合逃げてたか?俺は姫さんがこの国をどれだけ大切にしてきたか見てきたんだ、貧民でもこの国を悪く言うやつはいねぇ。そんな国が滅ぶことだけはあってはならねぇ。例え俺たちが死んだとしてもだ。」
美咲「そうよ。この国には見捨てるような人は誰もいないのよ。こんなにいい国だから私たちは死にものぐるいで守ってるのよ。」
維新「優真と美咲の言う通りだよ。さっきのレジーナ様の言葉は僕らの頑張りを無下にするような言葉なんだよ…」
優真「まだ、負けちゃいねぇ!行くぞお前ら!」
レジーナが嬉しさと悲しさで泣き崩れた時、レジーナの後ろから声が聞こえた。
???「いやぁー、この世界は清き心で満ち溢れてるね!こんな世界が無くなっちゃうのは嫌だなー」
この場の誰もがレジーナの後方に目を向けた。レジーナの後ろには、貧民の姿なのに気品に溢れるコートを羽織っている少年が佇んでいた。少年は言った。
少年「一応、君達の"上"から救難信号が届いたわけなんだけど、本人確認って必要じゃん?」
レジーナ「あなたは先程、私とぶつかってしまった少年…。何を言っているのですか?」
少年「つまりねー、僕"達"ならなんとかなるんだけど、助けて欲しいかい?助けて欲しいならこれを使いな!これを使ったら僕達と"協定"が結ばれるよ!」
そう言って、少年はレジーナに今にも羽ばたきそうな鳥型の笛を渡した。レジーナは渡された笛を握りしめ決断した。
レジーナ「お願いします!どうか私達、私達の国、世界を助けて下さい!」
そして、レジーナは力強く笛を吹いた。
その、笛の音色は空を切り裂くような高い鳥の鳴き声でアーレシア中に響き渡った。
吹き終わった直後、大地と空、空間が震え出した。震えはとてつもなく大きいものになり、デンゼル上空の空間にとてつもなく大きい"穴"が空いた。
その穴から7つの光が流れ星の如く飛び出し、少年の近くに落ちた。その光は落ちたと同時に光を失い8人の人に変化した。
少年「申し遅れたね、僕はベルク・スワッテン!君らの信仰する神から要請を受けて来た、救世主ならぬ救世団ってやつさ!」
ベルク「ここからは全て僕達に任せて!」
ご拝読ありがとうございました。
この作品は小説の完全初心者が書いております。
小説と言うよりも台本では?と書き終わった私も感じております。
前書きでも、書いてあるように完全趣味で書いているので、第2話以降を書くかどうかは検討中です。