過去
俺は森を出るため一直線に走ってる。数分経って、やっと半分くらいのところまで来た。
空を見上げると、もう少しで日がくれそうになって来た。今日はここで野宿かと思っていたら、突然、遠くから女性らしき悲鳴が聞こえた。
(ありえない!ここは滅多に人が来るところでは無いのに。………取り敢えず様子を見にいくか)
俺は悲鳴が聞こえた方へ走った。
ーーーーーSide???
私の名前は、メリーナ。村娘よ。私は10年前から、ある人を探している。その人は私の幼馴染と同時に私の好きな人だった。彼と最初に会ったのは私たちが4歳の頃。彼と私の両親は仲が良く、家も隣なので二人でよく遊んでいた。彼はいつも笑顔で一緒にいると楽しかった。年が経つに連れ、私は段々と彼を異性として意識し始めた。
4年経ち、私は彼にこの想いを伝えようとした。だが、その矢先に事件は起きた。
村に複数の魔物が攻めて来た。村の人たちはすぐに避難したが私は彼を探していて逃げ遅れてしまった。そして逃げ遅れた私は魔物に見つかってしまった。魔物たちは私を見つけるなり、全速力で走って来た。逃げようとしたが、足が震えて立ち上がることができなかった。
そんなとき彼は現れた。だが彼は私が知っている彼ではなかった。髪は黒から白銀になり、瞳は紫と青のオッドアイに、そして彼の体の周りから圧倒的な力を感じさせるオーラが放たれていた。魔物たちは彼の圧倒的な力に気ずき、一目散に逃げようとした。だが彼はそんなことを許すはずもなく一瞬で魔物たちの後ろに回り込んだ。
そしてーー
「消え失せろ!《煉獄の炎》」
そう言い放った瞬間、魔物たちの周りは赤黒い炎に包まれた。聞こえるのは魔物たちの悲鳴だった。
炎が消え、そこには灰となった魔物たちだった。
彼は私を一瞥するとこれまで一度も見たことのない冷たい目をして、その場からいなくなった。
私は突然のことに混乱し、村の人たちが戻ってくるまでその場で呆然としていた。