駄文1
妾は狐。
私はきつね。
そらに憧れる獣の類い。
ただただ臆病な弱い生き物。
されど手を伸ばせども雲は掴めず。
どんなに手を伸ばしても触れられなくて。
鏡を覗けども星は望めず。
どんなに望んでも振り向いてもらえなくて。
ただ、そらを想うだけの、無力な存在。
ただ、後ろから眺めるだけの、弱虫毛虫。
そんな妾だけを置いて、世界の色は移ろいゆく。
進展のない日々のなか、時間が私の横を通りすぎていく。
白から緑へ。
緑から赤へ。
赤から茶へ。
茶から……また白へ。
そこに妾の色はあらず。
そこに私の色は見つからない。
そこに妾の居場所はあらず。
そこに私は居場所がほしい。
ゆえに妾は思う。
だから私は考える。
過ぎ去る日々の中で、自分はどうあるべきなのか、と。
そして、どうすればこの指先が、"あなた"に届くのか、と……。