藪雨編 5 エピローグ
数日後、俺は彩夢達と世織の見舞いに来ていた。
「あ、彩夢!沙耶花!それに藪雨くんも・・・ありがとう来てくれて。」
「何言ってんの!そりゃくるに決まってるでしょ!」
「友達なんだから当たり前だよ。」
「ああ、当たり前だ。」
「みんな・・・。」
世織の容態は安定しているがナイフが思ったより深く刺さってしまったためなかなか退院できないらしい。
それでも生きてくれているだけで俺としてはありがたいけどな。
「そういえば聞いた?里見のやつ世織のこと好きだったらしいよ。それなのに刺すとかほんと意味わかんなくない?」
「そうだったんだ・・・私なにかしたのかと思ってたよ。」
世織は驚きの表情を浮かべている。まあ無理もない、その通りだから。
里見は世織のことが好きでどうにか自分の彼女になって欲しかったが、不器用なくせにプライド高いあいつはなかなかアタックできずにいた。
そこで世織に同じように好意を抱いていた俺がなかなかに仲良くなっていたのに焦った里見は大胆にも拉致をした。
それでもその拉致は失敗した。しかも里見の中ではライバルだと思っている俺によって。
俺に対する世織の評価が上がったと思った里見は暴走し、あんな行動に出た。
これが事件の真相だ。
「あ、藪雨くん。また助けられちゃったね。本当にありがとう。」
「いいよ気にすんなって。」
「あー!そうだ花!花瓶に水!ほら沙耶花いくよ!」
「え?え?」
急に彩夢が大声をだし、花瓶に水を入れに行くと言いだし、ボソッと俺の耳元で
「ほら、チャンス作ってあげるんだから頑張れよ。」
・・・は?
「さーいこいこっ!」
「え?ちょっと待って彩夢ちゃん!」
彩夢は沙耶花まで連れて行ってしまった。
つーかなんで俺が好きなのばれてんだよ・・・もしかしてあの時か!?
俺が里見と話しているときに好きだ言ったような・・・。
いやいやいやその時あいつ教室にいたよな!?
「あ、ちょっとまっ!ってもう遅いか・・・。」
「藪雨くん・・・?」
「あー。その、傷大丈夫か?」
俺は何言ってるんだ。大丈夫なわけないだろ。
「んーまだ痛いけどそこまでじゃないよ?」
「そっか。」
・・・沈黙。気まずいどうしよう。普段ならもっと喋れてたよな俺。
「藪雨くん、里見くんって私のこと好きって言ってたの?」
世織は里見から話を聞いたのが俺だと予想したのかそう質問をしてきた。
「うん。俺はそう聞いたよ。」
「里見くんの口から聞いた?」
「うん。」
「そっか。自分で言うのもアレだけどちゃんと告白すればよかったのにね。」
え・・・?それってどういう意味だ?もしかして里見のこと好きだったのか・・?
「想いってちゃんと伝えなきゃ意味ないでしょ?結局ああなるまで私そんなこと知らなかったし。
もう今更言われたって遅いところまで来ちゃったからね。」
そっか・・・音沙汰さんは怒ってるのか。さっきまではもしかしたら何かしてしまったのかもっていう罪悪感があったから怒れなかったんだ。でも理由を聞いて理不尽なことだとわかって。
「ね?そう思うよね?藪雨くんならわかってくれるよね?」
「うん。思うよ。俺もそう里見に怒ったから。」
「そっか。私の代わりにありがとうね。」
「おうよ。・・・・・・想いを伝える・・か。」
「ん?どうしたの?」
――――――今だ。今しかない!
なぜか知らんが真部さんがチャンスをくれた!言え!言うんだ俺!
「あのさ、想いって伝えなきゃって言ったじゃん?」
「うん、私はそう思うからね」
「俺もちゃんと言うわ。」
ふう・・・・・。
「俺、音沙汰さんのことが好きなんだ。こんな俺でよかったら付き合ってください。」
「え・・・こんな私でいいの?」
「もちろんだよ。」
だめなわけあるか。俺は音沙汰さんのことめっちゃ好きだからな。
「でも・・・藪雨くんはほんとの私を知らない。」
「・・・え?ほんとの音沙汰さんって・・・?」
「・・・私はどうしようもないオタクです。アニメが大好きで、二次元の男の人ばっかり好きで。もちろん二次元の女の子も大好きだし。まだ話してないけど声優も大好き、ライブだって行く。そんな私と普通で優しい藪雨くんが釣り合うわけないよ!!!」
「音沙汰さんオタクだったんだ・・・」
こりゃびっくりだ。まさかガッチガチのオタクだったなんて。
「ほら、引くでしょ?こんな女だったなんてって。正直に言っていいよ。」
「・・・」
「なにも言葉が出ないか。そうだよね」
「今期のアニメ何見てるの・・・?」
「え?」
「だから今期のアニメ!俺はリラフトとかしぇあかつとか見てるけど音沙汰さん何見てるの!」
「えっええええええ!!!イタタ!」
「ちょ!大声出しちゃだめだよ!」
「だって、え?藪雨くん?」
「あ、そっか言ってなかったよね。俺もアニメ好きだからその辺は全く問題なしだよ。むしろ同じって知ってもっと好きになったわ。」
「藪雨くんもそうだったんだ!私もリラフト見てるよ!基本的には好きな声優さん出てるやつ全部見てる!しぇあかつも好きな声優さんで出るし面白いから見てるよ!」
「そっか!俺声優のことはよく知らないなぁ。」
「じゃあ私の推しの良さを全部教えてあげる!」
そこから一時間近く推し声優のいいところやリラフトなど今期のアニメの話をした。なんで真部さんたちが帰ってこないのかちょっと気になったりもしたけど喋ってるのたのしいからいっか。
―――――ん?なにか忘れてない?
「あ!ちょ!俺の勇気出して言った告白!」
「え?ああ!こんなオタクの私でよろしければお願いします・・・!」
「お、おう・・・」
「ふふふっ」
「なんで笑うんだし」
「だって私も藪雨くんのこと好きだったから嬉しいなーって」
なんだとっ!
「え!そうだったの!?」
「うん!私たち両想いみたい・・・だったね!まあ私は最近気づいたんだけど」
するとドアが開き
「やっとかお前らぁぁぁぁぁ!!あたしは嬉しいぞ!!!」
「そういうことだったんだね!」
彩夢達が入ってきた。こいつら覗いてやがったのか。
「ああ!覗いてたの!?もう!」
「まじかよ恥ずかしいな!つかなんで俺は音沙汰さん好きだって知ってたんだよ!」
「え?そりゃ見てればわかるっしょ。普通普通」
「いや普通わからないよ彩夢ちゃん・・・。」
「じゃ!あたしたち帰るから!あとはお二人仲良くねぇ~♪」
「うん!仲良くね・・・♪」
そういい花瓶をさっとおいて二人は帰ってしまった。
「もう!ばか彩夢!」
「ははは・・・。でもいい友達持ってよかったね。えっと・・・世織。」
「うん・・・零志くん。」
窓の外には夕焼けが綺麗に映っている。これは誰がどう見てもいい雰囲気。
おそらく窓の様子を見て彼女らは帰ったのだろう。
(キス・・・するべきだよな・・・。いい雰囲気だし)
「あ、あのさ世織・・・」
「そうだ!話の続き!まだ私の推しのいいところ言い終わってないよ!」
えええええええええええ!!いやいい雰囲気だったのに!!!!
・・・・・まあいっか。楽しそうに話している彼女も好きだし。
俺はキスはまた今度の機会に取っておこうと決め、世織の話をまた聞き始めた。
「あ、零志くん!」
「ん?」
「ちゅっ」
「んぐぅ!」
まさかの不意打ち!!!!!
「あはは!いい雰囲気だからってしようとしてたんでしょ?告白は零志くんからだったしわたしからしたかったから!改めてこれからよろしくね!大好きだよっ!」
「ああ、よろしくな。俺も好きだよ。」
明るいけどすごい真面目だと思っていたが蓋を開けてみるとちょっとお茶目でふざけたりするかわいい子なんだなと思った。
そして俺、藪雨零志と音沙汰世織の恋人生活が始まった。
藪雨零志×音沙汰世織編 fin
五話目投稿させていただきました。
これで藪雨くんの話は終わりです。そのうち次の主人公武部洸くんの話をしたいと思います。
さて、一旦3couplingsは置いときます。
次はファンタジーの話をと言いましたが
「世界樹に戦争とめてって言われ生まれた天然少女が頑張るやつ」
という話を投稿させていただこうと思います。
さくっとあらすじを言うと世界樹の加護を受けている世界で起こる世界樹保守派と過激派による戦争を世界樹から使命を受け生まれたドジっ子天然少女キャルルが戦争を止めるために奮闘する話です。
ぜひ楽しみにしてください。劇中にあるリラフトやしぇあかつも話考えてあるのでいつかあげられたらいいなと思います。
それでは次のお話で会いましょう!




