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孤高のハンター ~チートだけれどコミュ障にハンターの生活は厳しいです~  作者: フェフオウフコポォ


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89/100

89 お姉さんには逆らえない

短いです。ゴメンなさい。

でもこれくらいの文なら更新頻度上げられそうなので、ちょっと頑張ってみたいと思います!




 『姉力』


 『あねりょく』もしくは『おねえちゃんりょく』と呼ばれる力。

 この力は『姉』と呼ばれる者が目覚める力である。


 自然と目覚める者、環境の変化によって目覚める者など多種多様な姉力の覚醒方法がある。

 そしてその力もまた千差万別。


 慈愛に満ちた姉力。苛烈に押さえつける協力な姉力。冷静沈着な姉力。中には姉力を疑いたくなる姉力の者まで千態万状。

 種々、様々な姉力があれど、姉に共通して言えることは一つ。


 『下の存在に強い』のだ――




「いやいやいや! それはムリですって!」

「え~? そうかなぁ? 私はマコトくんが首都に行って偉い人を説得して来るのが一番マコトくんの為になると思うんだけどなぁ?」


「いやいやムリですって! 偉い人に会うとか考えただけで拒絶反応がでますもん!」

「そう? 偉い人ってベンさんだって偉い人の一人だよ? 私達の中の小隊長だって私達と比べれば偉いと呼ばれる地位に居るわよ?

 それにその拒絶反応って、ここに居るベンさんやコンさん、ミトさんなんかが傷ついて倒れる事よりも強いの?」


「うっ――」

「違うよね? マコトくんはそういう子じゃないもんね。わかってるわ。ここに居る人達が傷つくくらいなら我慢できちゃうでしょう?」

「そ、そりゃあ…………はい。」

「ね。」


 テオとマコトが話し始めた様子を見たマイラがベンにこっそりと声をかける。


「……もしこの話が――テオがマコト殿を動かして首都にこの領土の独立を認めさせるような話が動いた場合、なにか問題はあるか?」

「いや……てっぺんを抑えちまえば話ははえぇよ。無駄な戦争をしなくてすむかもしれないんだからな。」

「うむ。私の方も自領で後援の量が減れば、それだけ説得をする相手が少なくて済むからな……共通認識としてテオを止めない方向で問題は無いんだな?」

「あぁ。」


 ベンが小さく頷いた事で、マイラは一線から少し身を引き腕を組んで成り行きを見守る。


「それに、私達が来てアリサやフリーシアが迷惑かけたこと、そしてマコトくんが色々張り切っちゃった事が原因になって、ここに攻めてくるかもしれないっていう状況になってるんだよ?」

「うっ……」


「私はマコトくんが、こういう状況になって放り出す様な事はしないって知ってるよ。」

「うぅ……」


 先行きが不安になったのかしゅんと落ち込むマコト。

 何かに気が付いたのか顔を勢いよく起こす。


「で、でも、戦いたくない!」

「うん。戦いに行くわけじゃあないよ。安心して。私達は話し合いに行くの。説得に行くのよ。」


「……説得?」

「もちろん。私がマコトくんが嫌がる事をするわけないじゃない。」


 テオがニッコリと微笑む。


 そのやり取りを見ていたフリーシアが何かを言おうとした――


「う゛っ」

「はいちょっと黙ってようね~フリーシア。」


 ――が、マイラがフリーシアのメイドエプロンを後ろから引っ張って言葉を止めた。


 アリサも何か言おうか悩んでいるような動きをしているけれどテオの言葉を遮るのを躊躇っているようで、しばらく右往左往したのち自分の太ももを小さくはたいて黙った。


「……ほんと?」

「ほんとよ本当。一緒についてくから安心して。ね? 一人じゃないから。一緒ならいいでしょう?」


「う、うん……」

「それにマコトくんにとっても、いい事があるじゃない。」


「えっ?」

「ほら、マコトくんこっちの国の料理が好きなんでしょう? 発展している所に行けば魚とかも食べられるみたいじゃない?

 うまく説得できれば、ここにそれを流通させてもらうことだってできるかもしれないんだよ?」

「っ!?」


「どう? ちょっとやる気が出てきた?」

「い、や、べ、別に。ご、ご飯でやる気が出たわけじゃあ。」

「うんうん。わかってるよ。

 マコトくんは優しいからベンさん達の為に頑張るんだもんね。そのおまけで美味しい物が手に入ったら嬉しいね。」


 少し恥ずかしくなってきたのか、顔を逸らすマコト。


「はいっ! というワケで、マコトくんが説得に行くことになりましたー!」

「えっ!? ちょ、えぇ!?」

「はい拍手ー!」


 テオの扇動で一斉に拍手が起きる。


 この場に居る全員がマコトの力を目の当たりにしているからこそ、首都でその力を見せつけさえすれば独立とて容易だと分かっているからの万雷の拍手だった。

 中には戦う前に勝負が決したかのように歓喜の声を上げる者までいる。


「はいはい、それじゃあ役割分担しなきゃね。私はマコトくんと一緒に行くし、多分フリーシアとアリサも同行以外の選択肢がないでしょう?」

「当然。」

「当然です。」


 マコトは右往左往している。


「でも……小隊長様はあれでしょう? 一度国に戻った方が良いんじゃない?」

「あぁ。戻って諸々の処理が必要だし、あと説得もね。流石に色々しなきゃいけない状況になってる。

 できればこの領の者も何人か同行してもらいたい。そこそこ地位があって話ができる者が良いんだが、どうかなベン殿?」


「ふむ……なら、コン、ミト、お前ら小隊長さんについていけ。俺は首都に同行する。」


 ベンの言葉にざわつく。


「なぁに顔を知られてる領主が行った方が話がはええ事もある。コンよ。アルマはここに残して行け。いざという時にまとめる役が必要だ。」

「親父殿……わかりました。」


 マコトは右往左往している。


「なにコン殿。気楽にしてほしい。別に死地に送りだされるような決意は必要ない。私が客人としてもてなされたように、貴方たちも客人としてもてなすさ。ただフードなどで姿を隠してもらう事も必要になるが、そこは指示に従ってほしい。」

「わかった。指示に従おう。」


「それじゃあ、マコトくん、私、アリサ、フリーシア、ベンさんはこの国の首都に向かう。

 小隊長様はコンさんとミトさんと一緒に一度アルスターに戻るって事で。」


 マコト以外が頷いた。

 マコトもワンテンポ遅れつつも慌てながら2回頷く。


「それじゃあ、いつ向かうかも決めて良い?」


 テオの提案にベンが手を上げて会話を止めた。

 全員の注目が集まる。


「その前に一つ。

 テオと言ったな? お前さんと小隊長さんに話をしてもらいたいヤツがいる。」

「ほう?」

「誰?」

「なぁに俺のお目付け役の女狐だよ。

 お前達は話をしておいた方が良いような気がしてな。」


 テオとマイラは顔を見合わせてアイコンタクトを交わす。そして頷きあった。

 マコトは右往左往している。


「分かった。案内してもらおう。」

「よし。コン、アルマも連れて一緒に来い。他のヤツラは景気づけだ! パーっと宴会でも続けてやがれっ! 派手に飲めぃ!」

「うぉおおおおおおっ!」


 ベンの采配で宴会が開催された。


「えっ? えっ? あの、自分はどうしたら?」

「あぁマコトくん安心して。雑務は私がやっておくから貴方はここでアリサ達と英気を養っててね。それも大事なお仕事よ!」

「あ、はい。」


 アリサとフリーシアによる小規模なマコト争奪戦のゴングが鳴らされる中、テオ達は部屋を後にする。


 そしてマコトが2人の仲裁に疲れ、宴もたけなわになった頃、戻ってきたテオにより翌朝早々の出立が告げられるのだった。

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