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孤高のハンター ~チートだけれどコミュ障にハンターの生活は厳しいです~  作者: フェフオウフコポォ


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65/100

65 万里を見通す眼

新年あけましておめでとうございます。

2018年。いい年になりますように。


書き方の修正に伴い、1話から65話までのあらすじも書いてみます。

徐々に進行ペース上げていきます。





 主人公の『マコト』は、神のアニメのオタ談義をしたいという欲の為に命を失い、ノリでパーフェクトな肉体を与えられ異世界に転生を果たす。

 だが転生した先は大森林。普通なら生きていくことなど不可能な状況にも関わらず超人的な肉体スペックと魔法の力によりサバイバル生活を満喫する。だが一年を過ごして冬のサバイバルはしんどいと思うようになっていた。


 そんな折、マコトのテリトリー内に人の影。生粋のコミュニケーション障害の持ち主であるマコトは人に怯えながらも、やってきたハンターの中にお気に入りのアニメキャラの雰囲気に似たアリサに魅かれ数日追跡(ストーキング)し、城壁に囲まれた街があることを知る。

 街の存在を知ったはいいが入れる自信もなく泣く泣く自分のテリトリーに戻ると、なんと数日留守にしたせいで寝床が触手植物に破壊されているではないか。あまりの事態キレてしまい魔法で極大火炎旋風を放ち植物を仕留めるも完璧に寝床を焼失してしまう。

 自業自得の焼失の落ち込みから復帰したマコトは今回の冬は街で過ごそうと考えるのだった。


 決めたはいいが、いざ街を前にすると生粋のコミュニケーション障害の持ち主であるマコトが門番である衛兵に街に入る為の交渉をすることなどできるはずもない。

 ありったけの勇気を振り絞り、並んでいた少女に声をかけると『ぴゃあああイケメエェン!』と絶叫される始末。突然の奇声に脱兎のごとく大森林へと逃げ帰り怯える。そして自分の顔が一目見ただけで叫ばれるほど怖い顔なのだと勘違いし神を恨み素顔を隠すのだった。


 一方マコトが放った極大火炎旋風は街でも森の異変として確認されたため調査隊が派遣される事が決定し、そしてその調査隊は森の奥深くへと進む際に強力な獣である赤熊に襲われ負傷者が出た。調査の継続は困難となったが隊を率いていた貴族の女。マイラはあと一歩という距離まで来ていたことからマコトがストーキングしていたアリサと共に極大火炎旋風跡を目指す。そしてその先で最恐の獣である地竜と遭遇し危機を迎える。だが、間一髪マコトが地竜を一蹴し危機から彼女たちを救い、初めての出会いを果たすのだった。


 男装の麗人である貴族のマイラは地竜を圧倒したマコトの有能さから自分の庇護下におくべく街へと招待する。

 マイラは貴族の身の上という運命から逃れる切り札としてマコトを利用しようと考え、男と勘違いされていることを利用してマコトの親友となるのが目的だった。

 そしてアリサの保護者であるテオという女もまた、マコトという驚異の存在を知ったアリサの身を案じマコトに近づくことを決める。

 さらに『ぴゃあああイケメエェン!』と絶叫した少女、フリーシアも一目惚れをした相手を探し、マコトを探り当て、恋を実らせるべく其々が其々の思惑の下、行動を始めていた。


 女たちが行動した結果マコトは、アリサが酔った拍子にキスをしてきたことで好きになり、フリーシアに好き好き言われたことで好きになってしまい、テオと沢山話をできたことで其々を女性として好きになってしまった。

 いかんせんコミュ障の恋愛防御はゼロ。ウィンク一つで恋に落ちる男。それがマコト。そしてもちろん異性に対する行動力はない。


 そんな引きこもりのマコトを中心として動いていた女たちは、やがて企みを共有することで協力関係を築き始める。

 もちろんそのことをマコトが知る由もなく、マコトもまた少しずつコミュニケーション障害の氷を溶かし打ち解けてゆく。

 するとマコトのもっている異世界の知識により、女たちはこれまでになかった知識を得、新しい魔力の使い方に目覚めるなどのベースアップが行われ、マコトに更なる価値を見出す。


 そんな中、フリーシアの美しさに固執する元雇い主の貴族がフリーシアを手にせんと動き出す。

 その動きでマコトが権力者たちの見ている表舞台に出てくることを恐れたマイラは、限られた手段の中、マコトが狩った地竜が超高級素材であることを活かし、昔の伝手から王都の権力者に元雇い主の貴族の動きを止めるよう頼むことにした。

 王都の権力者に頼むことで厄介な事態になることは理解していたけれど、それ以外に取れる方法はなかった。


 案の定、王都の権力者ソフィアは部隊を引き連れて街を訪れ事態を瞬く間に解決。

 そしてマコトに繋がりそうな情報を次々と手にし、テオとアリサが何かを知っていることを探り当て大森林で二人を探すべく行動を開始した。


 テオとアリサは追手がかかっていることは知らないままマイラの指示でマコトを大森林に隠しつつマコトと行動している。

 そしてマコトの加工した地竜の鱗がこれまでにない魔道具となっていることを発見した。

 

 マイラはフリーシアと共に旧友でありつつもソフィアの部下であるミレーネの監視と指導の下、大森林へと足を踏み入れるのだった。


 今、テオとアリサを探す大貴族ソフィアの手が大森林に回り始める。



 

 そしてマコトは……一人かなりの深度でムラムラしていた。 



--*--*--




「……個室……否、んっ! ゴホン!

 アトリエを作りたいと思っているのでございます。」


 アリサが試し切りに狩った獲物の肉で、朝の寒さを打ち消す様なスープを作り、それを囲みながら願望をテオとアリサに伝える。


「アトリエ……って、あ。そう言えばマコトくん言ってたわね。魔道具うんぬんって。」


 思い出したような言葉にゆっくりウンウンと大きく頷く。

 ふー、ふーっと熱いスープに息を吹きかけながら少し啜り、熱さに眉間に皺を寄せたアリサが口を開く。


「確かに貴方がどんな物を作るのか興味はあるわね……貴方の能力ならアトリエとかもすぐに作れる事は知っているし、そう言うってことは、きっともう作りたい物に心当たりがあるって事なんでしょ? 何を作るつもりなの?」


 実はただ一人きりになれる個室が欲しいだけで作りたい物に心当たりは無かった。

 だけれどアシストになりそうな言葉だからこそ『心当たりがありました』と言えるように物や材料考え始めると、地竜の鱗を溶かして固めたインゴットがある事が思いだされた。

 インゴットは、純粋な地竜の鱗を溶かして固まった物と、溶けた拍子に岩を取り込んでしまい不純物の混じった物がある。

 不純物の混じってしまった地竜の鱗なら、元が失敗作だから無駄にしても惜しくないし、魔力に影響を与える効果が薄れているだろうから本格的に作る前の試作に使うのは持ってこいだ。コレだ。


「実は地竜の鱗でインゴットを作ってあるのですが――」

「ん゛っ……待ってマコトくん。」


 肉が変なところに入ったのか口元を片手で押さえながらテオが皿を置いてもう一方の手の平を向けてくる。

 少し咳込んでから続けるテオ。


「地竜の鱗のインゴットって……何?」


 地竜の鱗を変色させた際にテオに怒られた記憶が蘇り、またも怒られそうな気がして瞬きの回数が増える。


「えっと……その、かたまり……です。」

「うん。インゴットは分かるの。

 何をどうしたら地竜の鱗がインゴットになるのかなぁと思って。」


 前ほど怒られそうではない空気に少し胸をなで下ろしながら手早く返答を頭でまとめて反芻し、伝わり易くまとまっている事を確認してから返答する。


「単純な話で……魔力を与えた地竜の鱗って金属ぽいなぁと思い、魔力を集中し続けたら実際に溶けたので塊に固めました。」

「ん。」


 テオがすぐに小さく返事をして目を閉じ、ただ頷く。

 そしてゆっくりと顔を下に向けて溜息を吐いた。

 その様子からアリサに目を向けると、アリサにはテオのように落ち込んだ様子はなく何かを考えている様子。そして視線に気が付いたのか口を開いた。


「金属ってことは……剣とかも作れるの?」

「ん~……やってやれない事もないと思うけど、どの程度の強度があるか……硬いけど割れやすいとかだと剣には向かないからなぁ……」


「それは大丈夫だと思う。鱗の状態で盾に使われた事もあるらしいから武具に向いていると思うわ。」

「へ~。ならいいのかなぁ? でも剣とか作ったことないし……とりあえずナイフもどきを作ってみてみたらいいのかな?」


「ナイフはいいわね。利用範囲が広いわ。あ、でも元々何か作ろうとしてたのよね?」

「腕輪とかアクセサリーか何か作ろうかな程度で考えていた程度で具体的な方法も考えてなかったから、ナイフもどきの方が作り易そうだから結果オーライです。はい。」


「もう私はそれについては何も言わないわ。」


 テオが一人何かを諦めたように口を開いた。そして顔を上げて続ける。


「ただ、そうなると保管してある所……街の近くに戻る事になるのよね?」

「あ……はい。」


「誰にも見つからないように行けそうな感じかしら?」

「う~ん……ちょっと待ってくださいね。いま調べますから……」


「いま調べる?」


 テオが首をひねると同時に『万里を見通す眼』を発動させて地竜の鱗貯蔵庫周辺を探る。

 貯蔵庫を中心として索敵範囲を広げていくと、やがて見知った人たちの姿。


「おろっ?」

「どうかした?」

「貯蔵庫周辺に問題はないんですけど、イケ……小隊長殿とフリーシアが森にいるみたいです……なんだか人もいっぱい連れて。」


 アリサとテオは静かに互いの顔を向き合わせる。


「ねぇ……ちなみになんだけど、フリーシアがどんな服を着ているかわかる?」

「えっ? わかりますけど……いつも通りの森に入る服な感じで……あれ? でもバンダナ…頭巾してるのは珍しいのかな?」


「「 頭巾…… 」」


 二人はそう呟いて黙り込んだ。

 その様子が気になりつつも、フリーシアの隣を歩く美人さんが気になって『万里を見通す眼』を発動させ続ける。

 美人さんの雰囲気はニコニコとしていて、どこかテオに似ているような感じもするけれど、胸は流石にテオの方が大きい。

 だけど、おっぱいなんておっぱいだ。どのおっぱいも美しい。いや、もしかするとローブを着ているから着やせして見えているのかもしれない。いやいや、小さいには小さいの良さが……おお、なんてことだ。同じローブを着ている人が他にも沢山いて、みんな女の人じゃないか。


「……トくん。」


 なんだろう? みんなローブのせいで着やせして見えていたら大変だ。それは大変なことだ。

 なんとかローブの向こうまで見えたりしないだろうか? いやもしかして可能なのか? 人類はX線だの赤外線だの様々な技術を使って中を見ようとしてきたじゃないか。

 ここにはさらに魔素だってある。魔素線的なもので生体だけをスキャンする的なことだってできたっていいじゃないかいいじゃないか――


「マコトくん!」

「はいすいません!」


 ローブの女の人達に対して『万里を見通す眼』の本気を出しそうになり、能力を遮断して意識を現地に戻し気をつけの姿勢を取る。


 本気を出しそうになったせいで、ローブの女の人の生体部分のみを抽出しそうになって……つまり丸裸をスキャンしそうになったのだ。

 普通なら遮断するような真似はしなかった。が、今はテオとアリサが一緒にいるのだ。

 そんなところでエロ目的で能力を使っていることがバレたら非常に気まずい。


 エロい事に能力を使う時は、個室でこっそり一人きりの時に限る。


「ねぇマコトくん」

「はいすみません!」


「すみませんって、どうしたの?」

「なんでもありませんすみません。」


「ん、ん~……と、とりあえず提案なんだけれど、私達、フリーシアの様子を見に行こうと思うの。

 人数がたくさん居るみたいだから近くまで寄ったらマコトくんは他の人に見つからないように別行動にして、アトリエを作って魔道具を研究する……っていうのはどうかしら?」


「分かりましたぁ! なんなら二人とも担いで近くまで送りましょうか!」

「え、え? すごい気合いね? 負担にならないのなら……」

「お任せくださいぃっ!」


 個室だ。

 こんな能力を検証できるうえに別行動チャンス。

 待っていろローブさん達。じっくり見極めてやる! 個室でなぁっ!

 ウフフハハハっ!



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