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孤高のハンター ~チートだけれどコミュ障にハンターの生活は厳しいです~  作者: フェフオウフコポォ


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2 神の作りし器

 無重力のふわふわしていた感じから、急に重力を感じそして聴覚、触覚、嗅覚が目覚めるのを感じる。

 目を開くとそこは……森だった。


「……え?」


 右を見ても木、左を見ても木、下を見ると解放感のあるマイサンの姿。


「うわぁお。」


 しばらくの間、一点にしか目が行かなかったけれど、ようやく自分の身体の他の部位にも気が回り始める。

 身体を触ったりしてみると余計な脂肪も無く筋肉質。BMIは明らかに適正。以前とは違う完全に健康的な男の身体。足も随分と長いし腰も高い。

 筋肉の付き方はまるでアスリートのようだ。


「これが……拙者……」


 顔を触り、頭を触ってみるとツルっとしている感触。非常に良い丸の形だ。


「ってハゲっ!」


 つい叫んだ。


 ハゲというのは『かっこいいハゲ』と『かっこ悪いハゲ』に別れてしまう。せめて『かっこいいハゲ』でありたい。


 だが可能であれば、その小分類の前に『ハゲ』か『ハゲじゃない』という大分類で『ハゲじゃない』分類に入っていたかった。

 なぜならその方が人生の豊かさが違うように思えるからだ。また髪の話してる……とはいいたくないのだ。


 天を仰ぎ涙を堪えた。


「いや、まだ生えてないだけだよ。用意して間もないからな。」

 

 声が聞こえ、目を向けるとちゅうに浮かぶ小さな神様がいた。


「やぁやぁ、せっかくだからチュートリアルでもしようかと思ってね。

 剣と魔法の世界だから危険も多いからねぇ。」

「ほっ……神殿かみどの。正直居てくれて安心したでござる。服もない状態でどう生活したら良いのか絶望する一歩手前でしたぞ。」


「O.K.! じゃあまずは服を作ろうぜ!」


 神様がサムズアップをしてくるが、俺は戸惑ってしまう。

 『作ろう』という誘い文句が気になったのだ。


「え? ……こう、神様が服をパパっと作ってくれたりしないでござるか?」

「マコトは俺にこの世界に奇跡の服を授けろと? 人にその存在が見つかれば奪い合いの末、大きな戦争になるぞ?」


「ひぇえ……それは勘弁……」

「うんうん。そうだろうそうだろう。だからこそ手作りしかないよな。

 だが安心しろ! 俺が作ったお前の身体でなら簡単に作れるから!」


 ニッコリと笑う神様。

 現状どうしようもない為、指導を仰ぐことにした。


 ただ、思考の端で『服で戦争が起きるのなら、この身体は?』という疑問がわき上がりそうな気がしたけれど、考えてもまったくもって良い事はなさそうなので封印する事にした。


「よーし。じゃあまずは下着から作るぞ!」

「お、おー!」


 元気よく手を振り上げる小さな神様につられて、なんとなく片手を少しだけ上げるのだった。



--*--*--



「それ! その虫の繭採取な!」

「ぎゃああああ、でかいぃい! 巨大昆虫でてきそぉぉっ!」

「出てこないよ。そこそこのサイズの肉食の食人虫が出てくるだけで。」

「もっと悪ぃぃいっ!」

「大丈夫だって、魔法で繭の中に火をつけてみろよ。中だけこんがり焼けるから。」

「みゃあぁああ!」



 ――――



「あのつたも採取な。」

「は、はいぃ……あれ? なんか動いてござらんか?」

「おう。そりゃあ動くよ。引っこ抜くと死に物狂いで襲ってくるから気をつけろ。」

「ムリムリムリムリぃ!」

「大丈夫だって、魔法で風の刃とかぶつけてみればちゃんと襲われる前に落とせるから。」

「みゃあぁああ!」



 ――――



「ん? この地面の腕が入りそうな大きさの穴は一体?」

「あぁそれか。魔法で水注いでみな。」

「え? んー? んん。」

「そうそう。そうやって注いでいると、中から大量に毒もちの蟻が沸いてくるから気をつけろ。」

「みゃあぁああ!」



 ――――



「ひゃああああっ! くまっ! くまぁっ! べあーーーっ!!」

「おおおっ! ちょうどいいじゃないか。狩れ狩れ!」

「きゃああああっ! 赤いクマが3倍はやいぃっ!」

「地魔法で穴掘って落とせばいいだしょうが。」

「みゃあぁああ!」



「……あの……赤いクマ……すっごい下で怒ってるんですけど……」

「あ~落下で怪我したみたいだな。あれはもう狩りもできないだろうし、ここでしっかりとトドメ刺してあげる方が優しいだろう。だから狩っとけ。」

「ちなみに……どうやって?」

「ん~……切り傷とか無い方がいいだろうから……コレかな?」


「ちょっとちょっと神殿神殿かみどのかみどの

 なんですかその『もちろん抵抗するで。拳で』的な恰好は……」

「……」


「……ちょっと。」

「……」


「みゃ、みゃあぁああ!」



 こうして服の材料が、着々と集まってゆくのだった。

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