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最強の自宅警備員を目指して  作者: 高橋 空
1/11

第1章 1話新たな世界への旅立ち

初投稿です。

色々と誤字脱字や日本語がおかしいですが温かい目で見てくれれば幸いです。

「就職」


 それは人間がいつか経験しなくてはならない、人生のターニングポイント、同時に人間が人生で必ず一度は見る夢でもある。


 どんな子供でも小さい時に将来の職業について夢をみたことがあるだろう。宇宙飛行士、プロサッカー選手、医者、石油王…etc


 だが、人間は成長すると共に自分の限界を見つけるようになる。いや、そこには限界がないのかもしれないが自分にここでいいだろうと妥協して。それ以上のものを求めなくなる。そして自分自身が無意識にそうしてることに気づくことすらできない。


 テレビでは


「夢は諦めなければ必ず叶う。」


「自分には才能がないけどここまで来れました。」


 そう言っているがそれは綺麗事だ。

 一つの夢を諦めずに追い続ける。それ自体が限られた一握の人間にしか許されていない才能だろう。


 なにを言いたいのかと言うと人間は子供の時に見た夢を一度も変えずに叶え、それを一生仕事にするなんてのは限られた天才にしか許されないことなのだ。


 俺はそう思っていた。

 俺の覚えている一番古い記憶は5歳の誕生日、初めて親にゲームを買ってもらいそのゲームをやり始めた時のことだ。名前は「アオスヴァール」だった気がする。ちなみに筐体は黒い長方形のP○2。


 拙い操作で電源をつけゲームを起動させオープニングを見たあの瞬間。

 電撃の鋭く痺れるような、しかし風のような爽やかで心地よい感じが体に走ったのだった。

 気がつくとエンディングまで夢中でクリアしていたのだ。


 今思うとそんな訳がない。そう思うが。

 5歳の俺にはそう感じたのだ。

 そしてそれは5歳の少年が未来の夢を描くのには十分すぎるものであった。



 〜13年後〜


 5歳の少年は18歳になった。

 彼もまた世界の深淵を覗き自分の限界を作り、夢を諦めた。


 というか5歳の時に抱いたゲームプログラマーの夢は1週間も保たなかった。なぜなら、「アオスヴァール」を出した。「トイフェル」という会社は「アオスヴァール」をリリースした5日後に会社ごと失踪したからだ。


 なんでも「アオスヴァール」のゲームソフト一つ一つにウィルスが混ざっており。「アオスヴァール」を入れた筐体(PS○)が99%壊れたのだ。


 具体的には「アオスヴァール」のディスクを挿れた筐体(○S2)から黒い煙が出始め。電源を入れてもうんともすんとも言わなくなりオープニングやタイトル画面すら拝めなかったらしい。


 当時の警察によると外部から手を加えられたような形跡はなく。ウィルスは元から入っていたというぐらいにシステムと溶け込んでいたという。


 このことから警察は内部の犯行だと断定しそれを発表。その結果、「トイフェル」は壊れた筐体(PS○)の弁償で莫大な額の借金を負い会社ごと夜逃げをしたのであった。


 そんなニュースもあり俺のゲームプログラマー熱も急速に冷めていきゲームプログラマーという夢もいつの間にかなくなっていた。


 ゲームプログラマーになろうという夢がなくなってもゲームが好きになったことには変わりなかった。


 そんな俺は現在、高校にも行かずに自宅警備員(ニート)をしている。今の夢は親の脛を齧りながらゲームをやっていけたらいいな、というものだ。


 まず高校を卒業することができるかもわからないのだから就職なんてのは文字道理、夢のまた夢だ。


 母親(クソババア)は毎日俺の部屋に来て学校に行けだの、働けだの。ガミガミ、ガミガミよくもまぁ毎日飽きないものだ。


 今日もいつものように俺の部屋に乗り込んで来てたっぷり30分説教をしていった。まぁ、イヤホンしてるから聞こえないんだけど。


「……こ…なん…きて…。」


 ん?なんか聞こえた気がする。そう思ったら急に肩を掴まれた!!ついに鉄拳制裁という名のDVが!!


 俺は咄嗟にイヤホンを剥ぎ取り。幾度となく想像した必殺の「漆黒堕天昇竜拳(ダークプロミネンスノヴァ)」を繰り出す。


 しかし必殺の一撃は(クソババア)に何事もなく往なされた。


「ふふっ、私に喧嘩を売るなんて5億年早いわ!」


 そうだった、(クソババア)は空手の有段者である。

 俺も自宅警備員の名に懸けてしっかりと毎日筋トレは欠かしていない。正直、某有名漫画ドラゴンボー○の戦闘力なら15はあるだろう。案外低いって?バカを言うなあの農家のおっちゃんですら戦闘力5だぞ。その3倍だ!!

 ってか、5億年って!何歳まで生きる気なんだこのババアは!!


「それより、あんたになんか届いてるっての。」


 そういってクソババアは一つの開けられている小包を渡して来た。

 なんだ??この前買ったエロゲーか。それだとしたら非常にまずい状況なんじゃないか!?

 いや、ババアは馬鹿だから気づいてないはずだ。


「そういえば、なんかゲームが入ってたわよ?」


 そういって、一つの長方形のケースを渡してきた。

 や…やられた。このババアはもう中を見ていた。そうして中身を知った上で俺に知らないふりをして渡してきたのだ。なんて悪魔(クソババア)だ。


「それより、このゲーム懐かしいわね。」


 な、懐かしい!?ババア前にエロゲーをやったことがあるのか。俺が買ったのは「オトメ学園15」だ。名前から分かる通り王道の学園もの。さらにナンバリングが15だ。確か初代は20年前に発売されていた気がする。うん…。可能性はある。


 なんだろう。この気不味い感じ。自分の飼い犬が目の前で自慰行為を始めた時のような消失感だ。


「…。お、おう。そうだな。やっぱ王道だもんな。」


「そうなの?でも確かすぐ出来なくなっちゃったんじゃなかったっけ?」


 出来なくなる!?なんのことを言っているんだ!?

 そう思い渡されたゲームを見るとそこには「アオスヴァール」があった。


「な…なんで!?」


 俺は部屋の隅に置いてあるタンスに置いてある一つのゲームに目を移した。


 ボロボロになって最早、タイトルもわからないがそれは「アオスヴァール」だ。ゲーマーの間ではプレミアがつき当時の価格の50倍近い値段で取引されるのだが。なぜか売れないでいた。


 そして俺はババアから渡された小包の中に手紙が入ってることに気づく。


篠原卯月(しのはらうづき)様、あなたは適合者として選ばれました。以下の日時にトイフェル本社へ訪れてください。あなたを無条件に採用することを誓います。


 3月8日 東京都新宿区 トイフェル本社』


 無条件採用!?!? なににだ!?会社にか!?

 訳が分からなすぎる。だが、まさかまさかの展開だ。こんな棚ぼたな感じで子供の頃の夢が叶うなんて。

 ってかトイフェルって失踪したんじゃなかったのか!


 正直なところ疑問は多いがとりあえず、俺はそこに行くことを決めた。というかこんな謎の多すぎる手紙が来たら普通はいかないだろう。だが、俺は違う。なぜなら時間は腐るほどあるからだ。それにここでいかなければ快楽主義者|(自称)として名が廃るってもんだ。


 よし、この日は自宅警備員は有給をとって行ってこよう。ババアも就職となれば喜ぶだろう。


 そう思い俺はトイフェル本社に向かった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 東京都新宿区某所にある超高層ビルの37.38階がトイフェル本社だった。


 エレベーターにのるとある違和感に気づく。やけに広いのだ。普通のエレベーターは大体10人ちょっとしか乗れないだろうが。定員は40人と書いてある。なぜこんなに広いんだろうと思いつつ。トイフェルのある37階を押した。


 37階に着くと部屋の入り口には金髪の美しい女性がいた。見た感じ身長170cmぐらいのボンキュッボン。というかドガァン!!ギュギュッ!!ズドォーーーン!!ぐらいの感じの美女だ。


「こんにちは。篠原卯月様でよろしいですか?」


 そんな絶世と言っていいほどの美女を目の前に卯月は立ち尽くしていた。というより見惚れていたら向こうから声をかけられた。


「な、なんで俺の名前知ってんの!?」


 というか家族以外との会話はすんごい久しぶりかもしれない。


「もちろん、適合者の名前は全員存じ上げておりますよ。」


 適合者?そういえば手紙にもそんなこと書かれていたな。


「さぁ、社長が奥でお待ちです。皆様もうお揃いですのでお急ぎください。」


「…わかりました。」


 卯月は言われるがままに奥の部屋へ向かった。

 奥の部屋に入るとそこには卯月の他に30人ほどの人が椅子に座っており。空席はあと一つ。さらに前には先程の入り口の女性にも負けずにも劣らぬスタイルの美女がいた。そうするとその美女から声をかけられた。


「篠原卯月様ですね?」


「はい。」


「ではそこにお座りください。」


 卯月は指された最後の空席に座る。


「さて、皆様そろいましたのでお話しさせていただきます。私はトイフェル社長の神崎と申します。以後よろしくお願いします。さて本日皆様にお集まり頂いたのは今度本社から新しく発売する予定のゲーム『リューゲヴェルト』のクローズドβテストに皆様参加して欲しいからです。」


 その女社長神崎の発言に会場がざわつく。もちろんだろう。あのトイフェルが新しくゲームを出すのだから。これはゲーマーなら見逃せない事態だろう。さらに言うならばこの会場にいるのは殆どが生粋のゲーマーだろう。うん、俺と同じ匂いがする。


「でもなんで俺らなんだ?」


 前の方にいた二十代の男が発言した。


「理由なら明確です。あなた方は13年前アオスヴァールを買い。プレイしている筈です。」


「でも、プレイしただけならもっと多くの人がいる筈じゃないか?」


「いいえ。あのゲームは殆どの人がオープニングすら見れずにいましたがあなた方はしっかり見れた筈です。さらに言うならばその先もゲームができた筈ですが?」


 確かに卯月はアオスヴァールをやったが、確かあのゲームをやった99%の人が筐体(PS○)が壊れてできなかったのではなかったか?

 まさかここにいるのが残りの1%とでも言うのか。


「確かに俺はあのゲームが普通にプレイできた。だがあのゲームは3章までしかない未完成のゲームの筈だろう?」


 はっ!?この男は何を言ってるんだ??未完成?エンディングまであったと言うのにどこが未完成なんだ?


「なるほど。あなたにはあのゲームがそこまでしか出来なかったのですね。」


「そこまでってなんだよ!」


「そうですね、あのゲームは完成したゲームでしたよ?しっかりと『全10章のエンディングまでついてる』列記とした完成したゲームでしたよ。」


 その神崎の発言に会場は再びざわついた。

「おれ二章までだったぞ。」

「うちはタイトル画面まで。」

「5章までだったが?」

「私は7章まで…。」

 ザワザワ。


 周りの声を聞く限りエンディングまでというやつは愚か7章というのが最高到達点だった。


「この調子だと、7章が最高ですか?」


 そう言って神崎は俺のことを見て美女の顔からとは思えないほどの不敵な笑みを浮かべた。


 こいつは俺がエンディングまで行ってることを知ってるだろう。だれがゲームをプレイできたかとかそのプレイヤーの名前、住所までわかっているのだからそんなことは当然なのかもしれない。


「さて、皆様がここにきた理由がわかったところでクローズドβテストに参加しないという人はおられますか?」


 その言葉にざわめいていた会場は静まり返った。

 もちろん手をあげる奴はいない。

 なぜなら、ここにいるのは全員がゲーマーだからだ。新作のクローズドβテストとなればこちらからお願いしたいぐらいだ。


「全員参加でよろしいですね。それでは会場を移しますので私についてきてください。」


 神崎はそういうと入ってきた入り口に向かって行った。会場にいた参加者は神崎の後について行った。


 神崎はエレベーターに乗って他の人を待っていた。

 普通より巨大なエレベーターだったので全員が乗れた。そして神崎はコマンドの如く色々な階層のボタンを連打した。最後にボタンの少し上の階層を表示する画面に向かって目を見開いた。


 ま、まさか色彩認証??


 その色彩認証が終わるとようやくエレベーターが動き出した。どうやら下に向かうらしい。


 トイフェルの会社は37と38階なのに下に?


 エレベーターはぐんぐん下に向かう。あのエレベーター特有の浮遊感を漂わせながら。

 階層の表示ディスプレイが1階を表示したが止まらない。


 周りの参加者も気がついたようでざわつくが神崎が無視した。


 チーーン。


 目的地に着いたエレベーターの音がやけに響いた。

 階層表示のディスプレイは地下3階を表示してる。だがもちろん地下3階のボタンなどない。


 そのための色彩認証だったのか。


 神崎は扉が開くと何事もなかったようとまっすぐに伸びる廊下を歩き始めた。そして参加者も神崎の後を習って歩いていく。卯月は1番後ろを着いて行った。


 無機質な白の壁と天井そこにまっすぐと伸びる黒の黒曜石の廊下はやけに長かった。

 3分ほど歩きようやく終わりが見えた。


 こりゃ、あのビルの地下だけじゃなくどっかに繋がってんな。


 そして終わりの壁には扉が付いていた。

 神崎は扉を開け中に入るように促された。

 もちろん卯月は1番最後に部屋に入った。


 全員が中に入り終わると神崎も部屋に入った。


「さて、皆様に新作のリューゲヴェルトの説明をしましすので適当に寛いでください。」


 神崎はそう言った。

 部屋は一面真っ白の一辺が20メートルほどの立方体でとても広く所々にソファなどのカラフルな家具が置いてある。壁などが白のためひどく目立つが参加者は新作ゲームの説明が楽しみでどこかソワソワした感じで神崎からの説明を今か今かと待っていた。


「では皆様、ご説明させていただきます。新作のリューゲヴェルトはVRMMOです。」


 神崎の発言に参加者はざわつくどころか大盛り上がり。


 たしかに卯月も驚愕した。

 VRMMOとは簡単に言うと自分の体の五感(場合によっては味覚もそこに入るが)を完全にゲーム内に移行してプレイするゲームのことで。確かにゲーマーなら一度は夢見ることだが実際に実現するには色々な障害があり実現にはまだまだ掛かるとされていたからだ。


「確かに実現されるのはまだ時間が掛かるとされてはいましたがトイフェルはこの13年間独自の研究を重ねついに実現したのです。さて皆様が盛り上がるのはわかりますがVRMMOを始めるにはもちろん色々と準備が必要なので。少々時間をください。」


 神崎はそう言うと1枚の紙を参加者に配った。


「これは簡単なアンケートです。まぁ暇潰しだと思って気楽に書いてください。終わったら前のボックスに入れてください。一応これが参加確認書ということになっていますので。」


 そう参加者に言って神崎は部屋を出ていった。


 部屋がざわつく。みんなβテストが楽しみなようだ。

 自分達がゲーム史の大きな偉業の場に立ち会わせるのだから無理もないだろう。


 改めて参加者を見ると卯月より若そうな人は殆どいないだろう。13年前アオスヴァールをやったというのだから最低でも俺ぐらいの歳だったということだろう。しかし、なにか嫌な視線を感じる。


「こ…こんにちは。」


 卯月が周りの参加者を観察していると1人の女の子が声を掛けてきた。


「こ、こんにちは。どうしたんですか?」


「いや…周りの人も話しているので私も…と思って。」


 そう言われ改めて見ると周りの参加者も話していた。しかし大体の人が初対面的な感じでよそよそしい感じでこの後のβテストのことについて話しているのだった。


 確かにVRMMOはパーティが重要になるだろう。ボスをソロで単独撃破よりもパーティを組んだ方が圧倒的に効率的だからだ。(まぁ、ラノベとかから得ただけの知識なんだけどね。)


「私は…し、島村…アリスって言います…。」


「島村さんね。俺は篠原卯月。よろしく。」


 短く自己紹介を済ませると島村はすこし嬉しそうな顔で頬をすこし赤らめた。


「あっ…勝手に自己紹介してごめんね。もし本当にVRMMOのβテストだとしたらパーティとか組んでた方がいいと思って…。」


 島村はすこし恥ずかしそうな顔をして言った。まぁそうだろうVRMMOは未だに妄想の域から抜け出していないのにそんなことを言うと言うことは私はラノベとか好きなんですよ!!と宣言しているのと同じだからだ。しかも初対面の赤の他人にだ。


「ハハッ、島村さん面白いね。」


「えっ…ひどいですよ…卯月さん。」


「ごめんごめん。うん。俺もパーティを組むべきだと思うよ。」


 そう島村に声をかけるとパァァと島村の周りが明るくなった気がした。


「もぉ。ということでよろしくお願いします。」


 さらりと島村は俺にパーティ申請をしてきたのだった。


「えっ、俺でいいの?」


「はいっ!というか逆に卯月さんがいいんです。」


 俺なんかの…。なんて思ったが言うのは野暮だろう。

 それより、さっきのアンケートを書くことに専念した。


 アンケートには色々と不思議なことが書いてあった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 Q1: あなたの名前は?


 Q2: あなたの趣味は? (複数回答可)


 Q3: あなたの特技は?(複数回答可)


 Q4: あなたの性格は?


 Q5: あなたの職業は?


 Q6: あなたは早熟がいいですか晩生がいいですか?(5段階)

 早 晩

  1 2 3 4 5

 熟 生


 Q7: 将来なりたい職業は?



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 さて、ここで皆様に質問がある。

 貴方達はこの中の参加者の1人で、もうすぐゲーム史に残るような偉業のβテストに参加できる。

 しかし、準備に時間が掛かるようで暇潰しでアンケートに回答することになった。


 そんな状況でどうでもいいアンケートに答えられるだろうか?


 否、ほとんどの人は適当にさっさと終わらせて周りの参加者とVRMMOについて話し合いたいところだろう。


 結果として参加者達は少し不思議な質問に訝しみながらも1分もかけずにサラサラと書いていった。


 しかし、卯月は違った。

 卯月は完璧主義者だった。いや、自分では認めていないが。事ある毎に他人からは「卯月くんって完璧主義者だよね。」と言われていた。そんな完璧主義者が適当に回答をするということを許す筈が無く。周りがさっさと提出していくなか卯月が提出したのはもちろん1番最後だった。


 そんな卯月の回答は以下の通りだ。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 まずは名前だ。

 これは普通に書いていいだろう。


 A1: 篠原 卯月


 そして次に趣味だ。普通なら複数回答可と書いてあっても一つしか書かないだろうが卯月はそんなことなく。完璧に趣味を書き上げた。


 A2: 読書、睡眠、登山、ゲームを作る、人間観察


 以外ではあるが卯月は山を登るのが好きだった。頂上に着き遠くを眺めるあの感じが好きだった。

 ゲームを作るのは5歳の時アオスヴァールをやりゲームプログラマーを夢見て、その後少しづつ勉強して簡単なゲームなら1人で作れるようになっていたのだ。

人間観察は他人の仕草を読み解くノンバーバル言語についての本を読み人を観察するのが楽しくなってきてたまに目的もない公園で行き交う人々を見ているので趣味には入るのだろうということだ。

ここにゲームをすることと書かなかったのには卯月流の拘りがあり、ゲームをすることは趣味ではなく人生そのものだという卯月の持論がありその結果、趣味の欄にゲームをすることとは書かないらしい。

 次は特技だ。


 A3: 料理、大体のものを食べれる


 特技は意外と少な目だ。とういうか特技って聞かれると困るよね。

 料理は親が共働きのため学校をサボる時の昼ごはんを自炊しているから得意になり。

 大体のものを食べれるというのはただ単に好き嫌いがなくなんでも食べれるけど特技と言われると…。そこは考えないようにしよう。次は性格。


 A4: 快楽主義者


 快楽主義者というのは読んで字の如く楽しそうなこと方に向かっていくということだ。さて次は職業か。


 A5: 自宅警備員


 普通なら学生と答えるのがベストなところだろう。だが、学校に行かない人間を学生というのだろうか。答えは否だろう。では俺の職業は? 自宅警備しかないだろう。ニートとは書きたくないのだ。というか認めない。 次からが不思議な質問だ。


 A6:

 早 晩

  ○ 2 3 4 5

 熟 生


 この質問大体の人は5を回答しただろう。なぜならこういうものは基本晩生のほうが大きく成長するからだ。大器晩成という言葉があるのだから大きくなるのは晩生だと決まっている。


 それなら何故1を選んだか。それは卯月の人生で今まで人生で1番楽しかったことはなんだろうか。それは5歳の時アオスヴァールを、初めてゲームをやった時だろう。あの時以上の衝撃はこの先を通しても味わうことはないだろう。だから、1なのだ。まぁ、早熟か晩生かというのを楽しさで決めるというのは快楽主義者の卯月ならではの考え方なのだが。


 最後になりたい職業だ。これはもう決まっていた。


 A7: 自宅警備員


 卯月はできることならこの先も親の脛を齧って楽に行きて行きたいのだ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 こんな具合でアンケートの回答を終え、前のボックスに提出した。


 神崎はそれを見て、ようやく終わったかというような表情で卯月を見てきた。いや、神崎だけではなく参加者全員からだった。


「あぁ、すいません。」


「いや、そこまで真剣に考えてくれたのだから別にいいのだが…。」


 神崎もここまで時間が掛かるのは予想外だったらしい。


「さて、皆様準備は終えました。のでそろそろβテストを始めましょうか。」


 神崎はそう言ったが見る限り何か筐体があるわけではなかった。大体ラノベとかではヘルメットのような形の筐体を頭に被り電気信号などを送る筈なのだが。


「お、おいおい、筐体はどうしたんだよ?」


 さっきの会場でも発言していた二十代の男が発言した。


「いやいや、トイフェルの作ったVRMMOには筐体なんていりません。」


 その発言に参加者はざわつく。もし本当ならそれはゲームというのだろうか?というかまず、一般に普及できるのだろうか?


「さて、では答え合わせをしましょうか。」


 神崎は先程までの明るく丁寧な声色をかえ酷く冷たい声を発した。


「準備があるといいましたが、その準備は先程貴方達に書いてもらったアンケートのことです。まぁ、大半の方は暇潰しだと思った適当に書いたみたいですがね。」


 アンケートが準備とは?なぜアンケートを実施したのか?


 参加者の頭には?が浮かんでいた。


「さてさて、そろそろ待ち遠しいでしょう。貴方達はゲーム史の大きな偉業に立ち会えるのですから!!」


 参加者達は頭に疑問を浮かべていたが神崎のこの台詞に盛り上がる。


「さぁ、ではいってらっしゃい!!」


 シュパァァァ!!!


 神崎のその台詞を機に部屋を閃光が包み込み。思わず目を閉じてしまった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 目を開くとそこは見たこともない草原だった。

楽しいということで早熟を選ぶのは流石にむりやりでしたがこの先必要な展開なので。そこはご都合主義が火をふくところだと思っています。笑

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