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身分違いの恋
※この物語は、竹取物語の二次創作で現代版に置き換えたオリジナルのストーリーです。
「かぐやさま!俺と、結婚してくださーい!!」
どごっという音とともに蹴り飛ばされたのは永吉。
「俺?口のきき方をあらためてきなさい」
香紅谷 椿は腕組みをして日本家屋の畳の間から青年を外へと追い出した。
「まあ!姉が失礼しましたわ。永吉さん、ご無事でいて?」
「ちょっと桜!人の縁談に口出ししないでちょうだい」
「だって、この方顔は悪くないもの」
桜は長い緑の黒髪を肩にかけて微笑んだ。
顔がいい…美形ならいい。それがミーハーな桜の価値観だったのだった。
「お姉さま、羨ましいわ。すみれも王子様に早く巡り会いたいわ」
末っ子のすみれは指をくわえてその様子を見ている。
「すみれにはまだ早いわ。この少女小説でも読んであちらで大人しくしていなさいな」
椿がすみれを諭す。
「はい、椿お姉さま」
素直に姉の言うことに従う。彼女はまだ8歳だ。