十七話、作戦
とりあえず、先ほどまでの桂花、蓮花、黒装束、彼方の四人に、執事の紫苑を入れた五人でモトナリの対策会議を開くことになった。
「おい、黒装束。おまえの名前を俺は知らん」
彼方は黒装束に言いはなった。モトナリが彼方にかけていた洗脳は、主に戦闘をやりたくてたまらなくさせる物らしい。桂花の『記憶』系の『能力』で、一時的に洗脳の記憶を忘れさせたが、モトナリの『能力』によって、真毎日四回は、洗脳がかけ直されるらしい。
そこは記憶と心に全く関係無い、肉体的部分が関係しており、場所がわからないので、五人ともお手上げとなっていた。
「あぁ、俺の名前か。明日斗だよ。名字は金橋」
「普通の名前だな……」
彼方は残念そうにする。
「おまえの馬締彼方っていう名前がかなり珍しいだけだろ。というか明日斗なんてそんないないと思うぞ」
「というか、何でおまえ俺の名前知っているんだ?」
不思議そうに彼方が聞く。それに対して明日斗は、あれ、いっていなかったけか? というような調子で、
「桂花から聞いた」
と言った。それを聞いて、一瞬で顔が赤くなる彼方。
「桂花を呼び捨てだと!?」
彼方が激高した。怒った。
「え?」
不思議そうに明日斗が聞き返す。なぜ自分が怒られたのかが理解していないのだろう。
「あ、こいつシスコンですから」
このままいったら少し話が平行線になるだろうなと思った蓮花が助け船を出す。
「と言うかあんたら、さっさと本題入りましょうよ……」
そこで、呆れたように桂花が言う。もう兄のシスコンっぷりにはあきらめているようだ。本人も兄をお兄ちゃんと呼ぶ位だから、かなりのブラコンだと思うが。
「お嬢様に同意します……」
紫苑も普段はあまり変わらない表情が少し呆れ気味になっていた。
「あぁ、そうだな」
「たしかにな」
彼方と明日斗も二人とも了承し、
「はは……そうだね」
蓮花も納得した。
「とりあえず、モトナリの居場所は……」
「あぁ、多分まだ修行していたところにいると思うが、」
「大丈夫ですよ」
彼方の言葉を紫苑が止めた。
「私の『能力』は探知系ですから」
「いや、対象に会ったこともないのに察知できる探知系なんているのか?」
当然の疑問のように彼方が紫苑に聞いた。それを待っていたかのように、桂花が横から身を乗り出す。
「お兄ちゃん。私の『能力』を忘れたの?」
「あっ!」
『記憶』を操作して、桂花の記憶にある本生を紫苑の記憶に植え付ければ不可能ではない。盲点をつかれたような気分だった。
「たしかにそれなら行ける……」
蓮花も理解したようだった。
「でもよ、それは見つけるための手段であって、倒すための手段は何もわからねーじゃねぇか。相手の能力は洗脳なんだから、普通に警備はわんさかいるだろう」
元からその能力の使い方は理解していた明日斗だったが、意義を呈した。
「明日斗と彼方がいるから大丈夫でしょう」
だが、適当な桂花だった。