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元魔王なちび令嬢は、今日も元気です  作者: Hatsuenya


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元魔王なちび令嬢の兄、学園に御守りを持って行く

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 今回は、ベルリーナの兄、ハリザード・イースタンの視点です。



       ハリザード side



 私の妹のベルリーナは、可愛い。


 フワフワの銀色の髪に紫のユラユラとしたこぼれるように大きな瞳。ちょっとぷくっとした頬も愛らしい。

 4歳なのに賢くて、おしゃまで、お転婆な女の子。こんなに愛らしい存在が、他にいるだろうか。

 お兄様~お兄様~と言って、すぐに抱きついてくる。可愛い。とにかく、可愛い。


 そんな妹が、白い布で出来た妙なモノを私にくれた。『てるてるぼうず』と言う御守りらしい。綿を丸めて白い布で包み、上半分を丸くしてキュッと紐で縛ってあり、上の丸い部分には、顔が描いてある。


 ぬいぐるみ?


 白い布の裾には、私のイニシャルと花の様なものが刺繍してある。一生懸命作ってくれたのが、良くわかる。何しろ、スゴい魔力が詰め込まれているのだ。


 これは、確かに『御守り』だ。


「いざという時に、身代わりになってパシッと弾いてくれます」


 確かに、そうだろう。でも、パシッとって、何だろう。まあ、いいか。


 妹が、優秀すぎて、誰に自慢したら良いのかわからない。


 4歳で、既に魔道具を作るなんて。


 私の妹は、天才じゃないか?


 翌日、腰に『てるてるぼうず』を付けて、学校に行った。クラスメイトが、からかってきたが、そんなのは、どうでもいい。

 この御守りのスゴさがわからない奴は、所詮、凡人だ。


「とんでもないモノを身に付けているね。ハリザード」


 クラスメートの1人、ケルビン・ノースターが言った。流石、ノースター公爵家だ。ケルビンもまた、魔力が強い。


「そんな、違法魔道具を学園に持ち込んで、どうしようと言うんだい?確かに今日の課外実習は、魔道具と武器を1つずつ持ち込み可、となっていたけど、それはちょっと、強力過ぎないか?」


 今日の課外実習は、ダンジョンで行われる。と言っても、初心者用の小さなダンジョンで、そこの地下一層に行って、戻ってくるだけだ。魔獣も、スライムだのウサギに角の生えた一角ウサギだのしか出ない。


「妹が心配性でね。朝、学校に行く前にベルトに結んでくれたんだ」


「へえ。ハリザードの妹は何歳だい?」


「4歳だ」


「私の妹と同じ年だね。妹は、可愛いよね。私の妹も、私がちょっと怪我をすると、走って寄ってきて、心配してくれるんだ。いい子だよ。

 君と実習が同じ班じゃないのが、残念だな。その魔道具の威力が見たかったよ」


 魔術実技も成績も上位の私達2人が組んでしまうと、他の班に不公平になるというので、私達は、違う班に編成されている。


 妹の魔道具を莫迦にした侯爵家のケグレブ・ワーナーは、他の班のリーダーだ。家宝の剣を持ってきたとかで、皆に見せびらかしている。宝石が付いている金ぴかの安物の剣だ。魔石ですら、ない。

 同じく家宝の盾とかいうモノを持ってきているけれど、両方を同時に持つことが出来ずに、いつも群がっている男爵家の令息に持たせている。盾も剣とお揃いらしい。


 もう1つの班のリーダーの騎士伯の息子のイアン・ストーナーの剣を莫迦にしているが、彼の剣の方が、丈夫で切れ味が良さそうだ。

 彼の班には、魔術の得意なマノマニア伯爵家の令嬢が入っているので、班のバランスも良い。


「その、本当に私で良かったんでしょうか?」


 私のチームに入ったグリンダ・ホワイタス男爵令嬢が、ボソッと言った。イリア・メンソール子爵令嬢は、無言で槍を構えている。


「自信を持て。ホワイタス嬢の索敵能力とメンソール嬢の魔獣の知識は、誇っても良いモノだ。しっかり頼むね」


 メンソール嬢は、はっきり言うと、魔獣オタクだ。私の親戚の魔獣・魔族研究家に憧れて、私に近付いてきた。

 彼女達の友人のウェルナ・ムランダ子爵令嬢は、パチンコでウサギをどんどん気絶させている。


 同じく男爵家のダイタス・プランターは、魔法薬材料採取係になりたいらしい。彼は、小柄なのに、先程から、サクサクと一角ウサギの角を刈っている。

 文字通り、鎖鎌で、サクサクと。とんでもない鎖鎌だ。母親が昔、採取係だった時に使っていた鎖鎌で、よく見れば、ドワーフの銘が入っている。これこそ、家宝だと思う。

 ついでに、魔道具は、同じく採取係の父親が貸してくれた異次元収納ポーチ。これは、仕事に使う奴じゃないのか?


「一角ウサギは、結構、色んな素材になるので、なるべく沢山刈って来てくれと、上司に渡されたそうです。あー、上司って、魔法薬剤師局長様です」


 あ、職権濫用じゃなくて、職場公認か。

 学園の生徒までこき使うとは、流石、お祖父様。


「イースタン様には、スライムの凍り漬けを沢山お願いしたいそうです」


 わかった。わかった。わかりましたよ、お祖父様。


「あ、じゃあ、私の一角ウサギもドンドンどーぞ。その代わり、就職の折りは、どうぞ宜しくお願いしますと、お伝え下さい」


 私の周りは、有能な人間が多くて、お祖父様も安泰だな。

 そうこうしている内に、イアン・ストーナーと合流した。


「ああ、これは、イースタン様。そちらは、順調ですか」


「ああ。順調だよ。ストーナーの班は、どうだい?」


「結構、狩りました。一度、本部に戻って獲物を置いて来ようかと思って」


 ストーナーの隣にいたゼフラン・ダレッディ子爵令息が、ストーナーの肩に腕を置いて、私の班を見回した。


「それにしても、いいですよねー。そちらの班は令嬢が多くて。うちは、アレナしかいなくって。流石、イースタン様だ。羨ましい。美しい令嬢に囲まれて優雅に、魔獣狩りなんて」


「ゼフラン。あなたの目は、節穴?」


 ダレッディの言葉に、アレナ・マノマニア嬢の声が低く呟いた。


「い、いや、アレナが美しくないとかじゃなくて、その、アレナは可愛いよ。うん」


「いえ、そうじゃない。この中で一番美しいのは「「「イースタン様よ!」」」」


 令嬢達は、手を取り合い、皆で頷き合った。嬉しそうに、きゃあきゃあと笑いあっている。


 止めて欲しい。何で、私が女子枠なのだろうか。


「大体、婚約者のゼフランが入ってくれって言うから、私はこの班に入ったのよ。イースタン様の班の令嬢は皆、くじ引きでこの班に入った強運の強者よ」


「あ、因みに僕は、くじ引きには参加していません」


 ダイタスが、言いきった。


 私は、何を聞かされているんだろうか。


「あなたは、令嬢全員に、令嬢ばかりがイースタン様の班員になったら、イースタン様に怪しまれるから、自分が特別枠として立候補するって言いくるめたんじゃない。お陰で班員の枠が1つ減って、他の令嬢達が臍を噛んだわよ」


 マノマニア嬢が捲し立てている最中に、ホワイタス嬢が、唐突に、片手を挙げた。先程とは違い、真剣な面持ちになっている。


「こちらに、何人か走ってきます。1、2、3……1班だけではなく、2班分。それから、魔獣が一体。スライムでも、一角ウサギでも、ないわね。え!?火の魔獣。魔力『強』です」


 ここのフィールドは、草原だ。普段、火の魔獣は、ここには現れない。誰かが故意に連れて来ない限りは。





「メイド長、私、今からお昼寝するから、起こさないでちょうだいねっ!」


「随分と気合いの入ったお昼寝ですね。もうすぐお茶の時間ですが、どうなさいますか?」


「お茶請けは、何かしら」


「キャロットケーキです」


「それまでに帰るから、置いておいてちょうだい~」


「帰るって、何処に行かれるんですか?」


「お昼寝して、夢の中でお兄様に会うの。ぐっすん。お兄様が、大変なの」


「何だかわかりませんが、お嬢様は、ハリザード様が大好きですものね。

 お気をつけてお休みなさいませ」


「お兄様~頑張って~。ベルリーナ、すぐに行くから。キャロットケーキと共に……は、お兄様、嫌いだったわね。やっぱり、お昼寝終わってから、食べようっと」





 ベルリーナ、発進。いざ、夢の世界からハリザードの元へ






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