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元魔王なちび令嬢は、今日も元気です  作者: Hatsuenya


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5/8

元魔王なちび令嬢の贈り物

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 4歳のベルリーナは、5歳のベルリーナよりも更に葛藤しています。



「いやー。ヤバかったヤバかった。危うく二階級特進するとこだった。殉職しなくて良かった~。

 代わりに一階級は、上がった。今回、へまをした団長が魔術師団を辞めたから、俺が魔術師団長になった。これで、団長の尻拭いもしなくて済む様になったし、給料も上がったぞ」


 上機嫌で叔父上は帰って行ったが。


 なんて事!


 今回、思い出した事は、人間が弱っちくて、すぐに死んでしまう事だった。


 魔獣なんて、魔素の吹き溜まりがあったら、ドンドン生まれて来ちゃって、大抵の子は、何も考えずに走り回って、ご飯食べて、ケンカして。

 死んじゃっても、また、魔素に、戻って『久し振りっ!』て復活するのだ。


 魔王だった私は、謂わば魔素の塊が凝縮して出来たものみたいなモノだったので、知能があった。

 所謂、考えて歩く魔素の吹き溜まりだった。今思えば、蜂とか、蟻の女王が、一番似ているかもしれない。魔王には、雄は、いなくて、単体で繁殖していたけど。

 勇者が来るまでは。


 そして、勇者も、勇者との間に産まれた子供達も、とにかく強かったので、すっかり失念していた。


 叔父上は、魔獣とケンカして、今回は何とか生き延びたけど、次は、無理かもしれない。

 そして、叔父上は死んだら帰ってこれないのだ。死んじゃった勇者みたいに。

 え?泣いちゃうよ。私、泣いちゃうからね。


 考えたら、叔父上だけじゃない。お兄様も私の手の届かない学園という所にいるのだ。


 ダメじゃない!何かあったら、どうするの!考えて、考えるのよ、ベルリーナ。


 魔王時代の様に、手下を産み出せば良い。


 部屋の中を見渡すと、光り輝く石があった。

 叔父上に、教えて貰った、私の中の余分な魔力を石の中に貯める方法。これを使って、何か出来ないか?


「うーん、お顔を描いてみるとか?」


 顔を描いてみたが、反応がない。私の魔力がたっぷり詰まった、ただの石の様だ。


「ちっ!」


 お母様やお兄様が聞いたら、怒られそうな舌打ちをしてみた。


「お前は、今から私の手下よ!何とか言ってごらんなさい!」


 石は、私の描いた口の端をちょっと上げて、ニヤリとした。

 ダメだ。ただの石の様だ。


「ちっ!」


 今回、ガイが叔父上に私が刺繍したハンカチを渡してくれたお陰で、魔力を込めて刺繍をすると、私の魔力がハンカチに籠る事が、わかった。


 ハンカチ。ならば、てるてるぼうずを作るのは、どうだろうか。前世で魔王だった時に、じいやが、一緒に作ってくれた『てるてるぼうず』。


 私の魔力たっぷりの石をハンカチに包んで。


 ゴンッ!


「重いわ。武器には、なりそうだけど。持って歩くのは、ちょっと大変かも?」


 頭の重い『てるてるぼうず』をブンブン振り回してみた。


 あっ!


 ハンカチが破れて、中身の石が飛び、花瓶にぶつかった。


 ガチャン。


 花瓶さんが、お亡くなりになった。


 音を聞き付けたメイド長が、初めて見るメイドを連れてやって来た。


「花瓶を割られたんですね?……これは、石?どうして、石で花瓶を割られたのか、理由をお伺いしても!?」


 怖い~怖い~圧が怖い~。


 ほら、メイドさんも怖がってるよ?動きが、ぎこちないし、オドオドしてるよ?挙げ句の果てに、花瓶の欠片を取り落として。


「やはり、この子も無理でしたか。貴女、お下がりなさい。後は、私がやりますから」


 メイド長が自ら後片付けをしてくれた。ゴメンね?


「はぁ。気にする事は、ありませんよ。お嬢様の魔力が強すぎて、メイドが落ち着かなくなるだけですから。で、どうしてこの様な事に?」


 私は、ベッドの縁に腰かけて、足をブラブラさせながら、メイド長に相談をしてみた。


「淑女は、ベッドの縁に腰かけて足をブラブラしません!」


 私は、メイド長がこちらを見た瞬間に、足をピタッと揃えた。


「わかりましたね?」


 頭を縦にブンブン振った。うんうんウンウン。

 メイド長は、怖い。何となく、怖い。何も言わずにこちらを向くだけで、『私、また何か、やらかした!?』と、思ってしまう。


「さて、その、ぬいぐるみをお作りになられるのでしたら、頭の中に入れるのは、石ではなく、綿では、ないでしょうか?後、紐ですか?何色がよろしいですか?」


「銀色とオレンジ色かな?金色でも良いけど」


 私がそう言うと、メイド長は、ニッコリ微笑んだ。

 えへへ?わかっちゃったかな~。


「お二人共、喜ばれると思いますよ。ハンカチ用の布と針と糸もご用意しますね。刺繍は、入れられますか?」


「メイド長にも作ったら、貰ってくれる?」


「勿論ですとも。嬉しいですわ。ですが、私よりも先に旦那様や奥様にお作り下さいましね。お二人共、お嬢様をそれはそれは愛していらっしゃいますから」


 本当かな?本当に、そうだと良いな。


 メイド長は、いつでも私に勇気をくれる。

 

 



「給料も上がったからな。ベルリーナにもちゃんとした誕生日プレゼントを買ってやろう。宝石がいいか?それとも、ドレスか?」


「叔父上、そう言うのは、嫁にきて貰う女の人に買って上げてね。4歳児の姪に買ってどうするのよ」


「そんなベルリーナに残念なお知らせです。叔父様は、もう、当分は嫁のきては、ありません。

 ほら、りんりん堂のフルーツ飴をやろう。旨いぞ。それから、この花束もな」


「この花束、籠に入ってて可愛い。ありがとう叔父上」


「実は、今日、騎士団のベンデンが俺の所にこれを持ってやって来たんだ。

『先日は、ありがとうございました』と、妙に、はにかみながらこれを渡して言うもんだから、周りの噂に尾ひれが付いて

『ベンデンが俺にプロポーズした』という噂が流れてしまった」


「それは、これは、私が貰ってはいけないモノなのでは?」


「いや、ベンデンが、『姪ごさんに、どうぞ』と言って渡して来たから、お前のもんだろ。まあ、そんな訳で、俺には当分、嫁のきては、無いっ。安心しろ」


「不安でしか、ないわよ」





 ベンデンが、何故はにかんだのかは、謎です。頑張れアルジャーノン、ベンデンが婚約するまでの話だ。

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