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元魔王なちび令嬢は、今日も元気です  作者: Hatsuenya


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4/8

元魔王なちび令嬢の叔父、二階級特進する所でした

 読みに来て下さって、ありがとうございます。


 今回は、ベルリーナの叔父、アルジャーノン・マクリスターの視点です。ちびベルリーナ、最後の方に、ちょこっと出てきます。



魔術師団副団長アルジャーノン・マクリスター side




 最近、辺境で魔獣が増えすぎている。

 

 可愛い姪の4歳の誕生日も多忙で行けなかった俺に、とうとう出張命令が下った。


 アルジャーノン・マクリスター27歳。異例の速さで出世して、今では魔術師団副団長。


 自慢じゃないが、国で10指に入るイケメンと勘定されている。なのに、彼女の1人も居ないのは、速すぎる出世のせいだ。きっと。

 仕事が忙しすぎて、残業残業の毎日である。団長は、家に帰って奥さんと子供達とラブラブしているのに。


 全くもって、腹立たしい。


 俺だって、俺の天使な姪っ子のベルリーナを姉さんの家に行って可愛がりたい。いや、甥が可愛くない訳じゃあないが、ほら、姪ってのは、特に可愛いんだよ。

 銀の髪にキラキラしてクリっとした紫の瞳で「叔父上~」なんて呼ばれて、走ってきて抱きつかれたりすると、抱っこして高い高いして、頬擦りしたりしたくなる。


 高すぎる魔力を持って生まれたからか、赤ん坊の頃から魔力暴走が多く、暴走しかける度に、俺が、魔力を放出するのを手伝ってやった。手塩にかけた可愛い子だ。

 

 今日こそは、姉の家に行って、姪っ子を可愛いがりたい。


 そんな俺に、無情にも辺境への出張。

「手が足らんから手伝え」と、元王配にして元大元帥のタンディン閣下から、4名ご指名があった。スタンピードの前兆があったらしい。

 しかも、閣下と前女王陛下の直々のお迎え付き。


「あ、マクリスター副団長、今からお仕事でやすか?」


「ああ、ガイじゃないか。どうしたんだ?」


 ガイは、今ではベルリーナ専用の庭師だが、彼が魔法薬材料採取係だった頃からの知り合いだ。


「でしたら、これを」


 ガイは、手に持っていた植木鉢にハンカチを被せ、そのままササッと1つ引き抜いてハンカチに包んで、俺に差し出した。


「ベルリーナお嬢様が、初めて育てたラディッシュでやす。御守り替わりに是非お持ち下さいやし」


 ガイの言葉に、俺はビックリした。俺がベルリーナの誕生日プレゼントにやったラディッシュの種は、昨日植えたと聞いたんだが、どう言うことだ?


「世界の七不思議ならぬ、お嬢様の七不思議でやすね。昨日植えて、今朝、実りました。他の物は魔法薬剤師長の元へ納めて研究しやすが、

 『こちらのモノだけは、是非とも副団長に食べて頂きたい』と、お嬢様が」


 ベルリーナが!?そーか、そーか。叔父様に食べて欲しかったのか。うんうん。


 師団のナンバー3と言われるスレインに促され、俺はガイに礼を言うと、慌てて外へ向かった。既に、迎えが来ているらしい。


「残りは黒い布を掛けて執務室の机の上に置いて寝かせときやすんで、帰ったら、早々に抜いて下さいやし」


 俺は、振り返りもせずにガイに手だけ振って、駆け出した。


 ん?寝かせる?採取係の隠語か?



「スレインとベンデンは、私のワイバーンに」


 エルディアナ様が、そう言って2人の方を見た。もう一人は、騎士団のベンデンかよ。ゴリラ並みの重量級だよな。って、あれ?


「アルジャーノン、お前は私のワイバーンに乗れ。急げ、もう一人を捕まえに行くぞ」


 タンディン様が、ニヤリと笑い、俺を急かした。あー。逃げたんだ、あの人。バカじゃね?

 俺がワイバーンに乗って、背中に掴まる間もなく、ワイバーンは急上昇した。

 やーめーろーよー!俺じゃなきゃ、落ちてるから。落ちて、死んでるから。

 あー、心臓に悪いわ!


 「居たな。おー、どけどけどけ。道を開けてくれ!緊急事態だ!」


 タンディン様は、それはそれは楽しそうに上空から町中を走るターゲットを見つけ、急降下して、奴をかっさらった。奴は、ワイバーンの嘴に挟まれて、空高く、ブラブラとぶら下げられた。


「団長……逃げても無駄ですからね」


 団長は、今日は、子供の誕生日とか言ってたしな。タンディン様が来るまでにサッサと帰ろうとしたんだろうが、ムリだってば。


「団長ともあろう者が、敵前逃亡とは、笑止千万。サッサとこちらの用事を済ませて、サッサと帰れ。俺が家まで送ってやる」


 ワイバーンが家にやって来るなんて、災難でしかないわっ!

 いや、ベルリーナなら喜ぶかも知れないが。


 ガハガハ高笑いしながら、ワイバーンの上に立つタンディン様を見て、俺は、そう思った。


(しかし、相変わらず、スゲー身体能力だよな)



 タンディン様が言ったとおり、今回のスタンピードは、規模が大きかった。辺境砦の騎士団だけでなく、近隣から集められた冒険者や、辺境伯領の騎士団までもが、駆り出されている。


 王の騎士団随一と呼ばれるベンデンも暴れまくった。

 土魔法を得意とするスレインは、壁をドンドン作って、魔獣達の行く手を遮り、止めた。

 俺は、スレインが魔法で掘り出した石を風で魔獣達に飛ばして奴らの身体に風穴を開け、風に乗って、奴らの間を飛んで斬りまくった。


 ただ、魔術師団随一の大砲と呼ばれる団長だけが、動きの切れが悪かった。

 相変わらず、火力はスゴいが、相手を避ける動きが、以前より鈍い。

 ここの所、朝の鍛練もサボりがちで、仕事後の鍛練にも参加せず、家に直行してたからか。


 そうこうしている間に、団長が打ち洩らした馬系魔獣の二本角のバイコーンの群れに、団長は気を取られ、団長の背後を守っていたベンデンを巻き込んで、炎の矢を上空に作り出した。


 俺は、何も考えずに風を使ってベンデンの元に飛び出すと同時に、風で炎の矢を全てバイコーンに集中させた。


 流石に同時に2つの風を使うと、周囲への注意が疎かになる。


 バイコーンの群れに混ざってた三本角のトライコーン達が、俺に体当たりしたが、すかさずベンデンが片手で大刀を振り回して一頭を斬り、素手でもう一頭の鼻頭を掴んで握りつぶし、そのまま放り投げた。


 いや、いくら身体強化使ってるとしても、あんたは、何なんだよ!?


『最後に、魔素の吹き溜まりを飛ばす。火、風魔法の使い手は、全力を出せ』


 タンディン様の声を誰かが、皆の心に拡散した。


 吹き溜まりからは、新たな魔獣達が再び現れようとし、火の魔法の使い手達が炎を立ち上げ、風の使い手が火を巻き込みつつ、竜巻を起こす。


 次々と力尽きた奴らが、地面に倒れ込む。俺も、魔力が、ほぼスッカラカンになった所で、ここまで運んでくれ、後ろで支えてくれていたベンデンに倒れ込んだ。


 肋が何本か折れてんな。トライコーンの、時か。


「くそ!ワイバーンの群れだ。奴ら、漁夫の利を狙ってやがった」


「とにかく、落とせ。まずは、落とすんだ」


 火と風の使い手が残ってない上に、殆どの魔術師の魔力が残っていないらしい。空中のワイバーン相手にタンディン様とエルディアナ様が自分達のワイバーンに乗り、空中戦を仕掛けているが、多勢に無勢。


 ベンデンに地面に下ろされた俺は、意識が薄れる中、ベンデンが、傍らに落ちていた自分の拳大の石を拾い、投げつけたのを見た。


 スゲーなベンデン。それは、一体のワイバーンの翼の膜を突き抜け、ワイバーンが落ちてきた。落ちてきたワイバーンに動ける奴らが群がる。


 ああ、もうダメかな。俺。


 薄れ行く意識の中で、真剣な顔をしたベルリーナが、可愛い手を2つとも使って、両手でペチペチと俺の胸を叩く。

 ああ、そうか。うん。死ぬ前に、お前の作ったラディッシュ、食べちゃわないとな。死んでも、死にきれないよな。

 俺は、何とか気力を振り絞って、胸ポケットから、ベルリーナのラディッシュを取り出し、口に放り込んだ。


 カリッと、一口噛みしめた。


 身体中が、カッとなり、むせ返るような力が、身体中を走り、満たした。


 「何だ!こりゃあっ!?」


 俺は、身体中を駆け巡る回復した自分の魔力にビックリして、飛び起きて、残りのラディッシュを噛み砕いて飲み込んだ。

 全回復?いや、更に魔力が増えてねえか?身体も、今までになく軽い。


 上空のワイバーンの群れを見上げると、『やれる』と思った。


「タンディン様、エルディアナ様!!!バリアー掛けて離脱して下さい!!!風、行きます」


「皆!伏せろ!!」


 俺の声に、ベンデンが皆に忠告した。



『吹きすさべ、風。空の彼方に、吹き抜けろ』


 俺の中に、ベルリーナが宿った。


 ああ、そうだ。これは。


 ベルリーナが使っていた呪文だ。



 空中のワイバーンは、全て大風にさらわれ、何処となく飛ばされて行った。



 ベルリーナが、足を開いて踏ん張り、手を自分の腰に当てて上を向き、フンスフンスと可愛く威張っているのが、見えた。


 あははは、ありがとうな。



 タンディン様達とベンデンが落としたワイバーンは全て仕留められた。

 初めて使った大きな魔力に、俺は力果てて脱力し、地面に座り込んでいた俺を、男前なベンデンが抱き上げて治療師の所まで運んでくれた。

 ラディッシュには、身体治療の力まではなく、肋が何本か折れたままだったから。


 ベンデンが、ご丁寧にも俺をお姫様抱っこで運んでくれたらしく、王城に帰って、妙な噂が広まり、俺の婚期がまた伸びたのは、オマケの話だ。





「と言う訳で、叔父様は大変だったんだよベルリーナ」


「婚期、逃しちゃったんだ~。嫁の来てが、更に居なくなっちゃったんだ~。そっか~。悲しいね、叔父上」


「まあ、そこは、まだ、どうでも良いかな」


「……だから、嫁の来てがないんだよ」


「とにかく、ベルリーナのラディッシュのお陰で命拾いしたよ。ありがとな」


「ガイが叔父上にハンカチを渡してくれてたからね、だから、私、お昼寝して、叔父上の所に飛んだの」


「?どう言う事だ?」


「お昼寝して、叔父上の所に心を飛ばしたの」


「そうなのか?まあ、ベルリーナは規格外だからな。だが、余り危ないことはすんなよ。今回は、助かったけどな」


「あのハンカチは、ガイに返してね。あれは、ガイの御守りだから」


「叔父様には、くれないのか?ベルリーナ。叔父様は、寂しいぞ」


「あー、また今度ね。うん。縁結びの御守りが、いるよね?」


「……まあ、一番必要かもな」





長々と書いたのに、中々ベルリーナが出てこないので、どうしようかと思いました。(*≧∀≦)

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