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元魔王なちび令嬢の庭師、初めての家庭菜園

 庭師ガイから見た、ベルリーナの家庭菜園事情です。

 あっしの名前は、ガイ。王城の魔法省に属する魔法薬材料採取人という仕事をしていやした。

 寄る年波には勝てず、小金も貯まったし、そろそろ引退でもするかと、辞表を出したところ、上司から次の仕事を斡旋されやした。


「わしの孫の庭師を探しておってな。どうだ?やってみんか?」


 魔法薬剤師長のギャレット・マクリスター様の孫と言えば、ベルリーナ・イースタン公爵令嬢。公爵家の庭師と言えば、給金もよく、住む部屋も与えられる。

 しかし、あっしには庭師の経験なんてこれっぽっちも無い。


「いや、仕事内容は、今までと変わらん。まあ、1ヶ所に留まって貰う事には、なるがな」


 魔法薬材料の調達人の仕事と言えば、人の住まない山奥や洞窟の中、崖っぷちや谷底。ダンジョンに秘境。ありとあらゆる所に行き、魔獣や野獣と戦い、寒さや暑さにうち震えながら草や肉や骨、ありとあらゆる魔法薬の材料を集める仕事。庭師とは、えらい違いでやんす。

 しかし、庭師としての仕事は、公爵家の専属庭師があっしに教えてくれるらしい。

 

 まあ、物は試しと、魔法薬材料採取小隊の第0班と共に、イースタン公爵家の庭の一部に放り込まれた。


 そこは、さながら魔境の様。


「グイド、後ろに気を付けろ。ガイ殿、そいつの唾液は溶解液です。触らないで」


 おおよそ見たことのない巨大な植物が、あっし等を襲う。

 蔓が縦横無尽に跳ね、トゲが服を裂き、溶解液や毒が撒き散らかされる。

 この庭に生える植物の殆どが魔力を持った薬の貴重な材料となる為、火の使用は禁じられている。

 まあ、早い話が、あっしのバトルアックスと身体強化能力、魔力攻撃耐性の出番でやんす。

狂暴な植物達を力の限り、切って切って切りまくる。そうして、動かなくなった植物の残骸を、0班の班員達がまとめて馬車に積んだ。


「小隊第1班の隊長のガイ殿と共に仕事をするのは、光栄でありました。第0班の仕事は、今日を持ちまして、ガイ殿に引き継がれます。よろしくお願いします」


 皆、敬礼と共に去っていった。

 

 これを、毎日する訳じゃないでやんすよね?…


 この庭の前の部屋は、イースタン公爵令嬢ベルリーナお嬢様の部屋で、この庭にだけ結界が張ってあるらしい。

 ベルリーナお嬢様は人一倍魔力が多いが、まだ4歳になったばかりで魔力のコントロールが上手く出来ないらしい。だだ漏れの魔力をその辺りの植物が吸い込み、魔植物の魔境の様な状態になるらしい。

 それに目を付けた魔法薬剤師局が、毎週ここを狩場にしているというのが、現状。

 そして、今後は、お嬢様に魔力のコントロールを身につけて、より強力な魔草を計画的に育てて貰う事になりやす。

 大変な仕事でやんすねー。



 初めてお嬢様に会った時、その可愛さと魔力の多さにビックリしたでやんす。これだけ身体から魔力が滲み出てたら、確かにあんな魔草も大量に育つわけだ。

 今朝も、昨日退治したばかりの魔草が、ニョキニョキと生えて踊ってたでやんすしね。ちょっと、一発退治しておきやしたが。


 当のお嬢様ときたら呑気なもので


「小さな池に金魚を飼うとかも、良いですね~」


 金魚が魔魚になっちまいますよ。止めてください。あっしが、危ないです。


「小さくて白くて可愛い、蔦の絡まる森の中の小屋みたいな道具小屋も、良いですね」


 魔草達に道具を取られて武器にされたら、どうするんでやんすか?冗談じゃない。


 おまけに、朝起きて庭に来てみたら、前日に蒔いた種子が既に育って花が咲いてるし、また魔草は勝手に生えて暴れてるし。

 ラディッシュは1日で、芽から実がなった状態で、しかも、マンドラゴラに変化してるなんて。

 ああ、でも、毎日が、とんでもなくワクワクして、もう、引退なんて考えられやしねえや。残り少ない老兵の一生ですが、ずっと、付いていきやすぜ、お嬢様。

 家庭菜園ネタで、もうちょっと遊べそうな気がします。

 また、本編を書きつつ、ここも書き足していきたいです。大量の花の正体や、リンゴや桃の木のその後も書きたいです。

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