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追憶と激情④
行動は、翌日から起こすことにして、俺は取り敢えず送られてきたデータに目を通した。
柾木は、いわゆる地方都市のそこそこ名の知れた旧家の次男坊に生まれた。典型的な長男教の家で、出来は次男の方が圧倒的に良かったのにも関わらず、とことん無視されて育ったらしい。家族に味方は母方の祖父母が存命のうちは何かと庇い、世話して貰えたらしいが、相次いで他界した後はお定まりの転落で、高校をどうにか卒業後に出奔、ヤクザの組事務所に入り、若頭まで行ったらしいが―
「おい、この黒須組って」
俺の問いに、情報屋が答えた。
「今は潰れて影も形もない。当時の組長もその跡取り息子も消えてる」
永久に消えたままなんじゃないか、とそうつけ加えた。
「じゃあまあ、この辺からかな」




