表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元いじめられっ子の俺、異世界から帰還する  作者: 斎藤ニコ
第二章 早見羽風

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/52

第20話 急展開

 早見くんと店を出て、すぐに俺は言った。


「ストーカーの犯人……ここのオーナーじゃないか?」

「え? まさかぁ」

「いや、たしかに断定はできないけど――でも、なんか色々と条件が整ってる気がする」


 あと、あの目だ――俺を敵とみなすような目。


 早見くんは首をかしげる。


「でも、オーナーさん、すごいいい人ですよ?」

「そうなのか?」

「ええ。姉がメイドカフェと間違えて、面接にきたときも、優しく受け入れてくれたみたいですし」

「ふむ?」

「姉がバイトを遅刻しないようにって、姉の大学なんかのスケジュールも把握してシフトを組んでくれてますし」

「スケジュール把握?」

「あと、姉がストーカーの被害にあってるって聞いたら、夜遅いシフトの時は、車で送ってくれたりしますし」

「……色々とアウトだろ」


 むしろなんで今まで、早見姉弟は気が付かないんだ……。

 

「早見くん。これは俺が謝らないといけないんだけど、もし、オーナーが犯人だった場合、色々と変化が起こるかもしれない」

「変化、ですか」

「ああ。俺が周辺を探っていることを、感知したはずだ。だから、一気に何もしてこなくなって、尻尾を掴めなくなる可能性がある」

「なるほど……でも、本当にオーナーなんですか?」

「……限りなく黒だと思うけど、確証はないし、これからそれを判別するのも難しくなるかもしれない」


 最初からわかっていたら、尾行をすべきだった。

 下見、なんて軽い気持ちできた場所の一発目で、犯人らしき人間の反応を見るなんて思いもしなかった――いや、その可能性は十分あったし、ここが異世界なら殺されてるか……。

 

 平和な日本、平和な日本、なんて繰り返し考えていて、甘く見ていたのは俺のほうだったのだ。


 それにしても、これからどうするか。

 きっと犯人は亀が甲羅にとじこもるように、尻尾を見せなくなるだろう。まあ、でも、被害がおさまるなら、それはそれでいいのか?


 なんて思っていた俺だが――俺はストーカー心理というものを、よくわかっていなかったのかもしれない。


 事態は、停滞するどころか――急変した。


 その日の夜に、異変は起きたのだ。


     *


 夜。

 風呂上がりにベッドに寝ころんでストーカーについて色々と調べていた。


これまでに手に入れた情報は、『カフェと喫茶店は、申請する枠が別。理容室と美容室も別』なんていう、豆知識だけ――スマートフォンから目を話そうとした、その時だった。


 スマートフォンが鳴動した。

 相手は早見くん。すぐに嫌な予感がした。

 

『はぁ、先輩……! はぁ……!』


 走りながら話しているような声が、さらに嫌な気分を増大させた。


「早見くん、どうした!?」

『お姉ちゃん、帰ってこないし、連絡も取れないんですよ! いつもなら20時にはかえってくるのに!』


 俺は壁掛け時計を見た。

 22時00分。

 たしかに、遅い。

 事情を知らない他人から見たら、相手にされない時間帯だろうが――心配されていることを知っている羽風さんが取るような行動じゃない。


 鼓動が急にはねあがった。


「GPSは?」

『スマホのアプリでしかないから、電源おちてたら使えません……! でも、最終地点は、バイト先でした……!』

「わかった、早見くんは今どこ?」

『バイト先のカフェに向かうところです!』

「ちょっと待ってくれ! 俺に考えがある」

『警察とかですか!? もう電話したけど、でも、相手にしてもらえませんでしたよ!』

「違うんだ――お姉さんが長く身に着けてるモノとか、家にないか? できれば、毎日つけてたり、直前まで身に着けてたものがいい。思念が残ってるような……そういう物体だ」

『シネン……? よくわからないですけど、それをどうすればいいんですか?』

「カフェの前で落ち合おう。それさえ持ってきてくれれば、お姉さんの場所はわかるはず……!」


 大丈夫……なはずだ。

 魔法は使えなかったが、スキルは今のところすべて発動している。



『え? ほ、ほんとうですか? あ、もしかして警察犬みたいな……?』 

「似たようなもんだ――とにかく、頼んだぞ……!」

『わ、わかりました! いますぐ家に戻って、持ってきますから!』


 俺は急いで着替えて、外へ飛び出した――。


体調、すこしよくなってきました。

おさわがせしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ