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元いじめられっ子の俺、異世界から帰還する  作者: 斎藤ニコ
第二章 早見羽風

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第15話 犯人不明の事件解決には人手が不可欠だ

 目の前に居たのは――不良三人組だった。

 先日、早見くんを痛めつけていた奴らだ。

 つまり、俺を殴った男である。


「おい、お前ら。無事にここを通れると思ってんのか。ああ?」


 それにしても、登場する場所が、早見くん同様に固定されている。

 RPGのNPC並みに律義じゃないか。

 根は良い奴らだったりして。いや、まあ、暴力ふるってる時点でお仕置きは必要だけどさ。


「ああ、どうも、後輩たち」

「ああ!? 殺すぞテメエッ!」 


 俺の軽口に、不良どもは敏感に反応した。

 早見くんは「ひっ」と咄嗟に、俺の後ろに隠れた。

 

「早見くん。師匠の後ろに隠れるってのは、どうなの」

「ス、ストーカーの件は師匠ですけど、この件は、後輩と先輩ですよっ」


 なるほど。そういう設定なのね。

 不良どもは、道に唾を吐きだすと、どこに隠していたのか、警棒だの、スタンガンだの、ネットショッピングで簡単に手に入りそうな獲物を取り出した。

 まだ値札がついていそうなほどにピッカピカだ。


「昨日はずいぶんと舐めた真似してくれたじゃねえか、先輩。今日も一緒に遊んでくれよ」

「そーそー、あそぼーぜ、先輩。俺たちと楽しくさぁ」


 俺は念のため尋ねた。


「なあ、早見くん、一応聞くけど――こいつらがお姉さんの写真を撮ったとか、ある?」

「い、いえ、一年前から知り合いではないです……」

「だよな……よし、わかった、こいつらにも協力してもらおう。こういう捜査は昔から人海戦術のほうが早いんだよ」

「はぁ……?」


 不良が金属バットまで取り出し、地面をたたいた。

 ガンッと音がし、少なからず存在していた周囲の生徒はそそくさと消えた。


「ごちゃごちゃ話してんじゃねえよ……! てめえら、逃げずについてこいやっ!」


 お、移動してくれるのか。

 それはラッキーだ。

 やっぱり人の目は避けたいしな。


「もちろん、ついてくよ。だから早く移動しようぜ」


 俺たちは三人に囲まれて、高校とは逆の方向へと進むのだった――。


     *


 ――で、連れてこられたのは、大きな橋の下。

 刈り取られる前の草や茂った木々によって、視界は妨げられている。


 ありきたりな場所。

 ありきたりな展開。


 ありきたり――ではない下剋上。


「うう……も、もう勘弁してくれ……」


 地面に倒れるは三人の不良なり。

 いや『元』不良とさせていただこう。


 数分前、俺と早見くんは、丁重に橋の下へと連れてこられた。

 武器を持った三人が俺を取り囲んだ。

 次の瞬間――三人は地面に寝ていた。


 なにが起きたかを理解できたものは一人もいなかっただろう。

 傍で見ていた早見くんも「え? え?」と戸惑っていた。

 だから不良をもう一度起こして、その後も地面へキスをさせた。

 何度も何度も何度も――六度目に不良たちの気持ちは折れたというわけだ。


 どうにせよ、早見くんへの仕返しを止めさせるためには、こういった展開にする必要があった。

 暴力で解決することは許されないのだろうが、それでもより強い力で恐怖を与えなければ、こういうやつらは手を止めないからな。

 俺が居ないところで早見くんに被害があっては、助けたことさえ逆効果になってしまう。


 予定外だったことがあるとすれば、問題解決のための人手が必要になったということ。


 俺は地面に倒れ込む三人の前にしゃがんだ。


「ひっ、も、もうしませんから……! あいつにも手を出しませんから……!」

「君たち、反省してるんだよな?」


 不良1は震えながら肯定した。


「は、はい! しております! 二度と! 二度と暴力をふるいません!」

「反省にはボランティアが付き物だと思わないか?」


 不良2は両手をあげた。


「思います! ゴミ拾いでも、なんでもいたします!」

「困っている人を助けるのも、ボランティアの一環だよな?」


 不良3は首を縦にふりまくった。


「助けます……! 助けます……! だから、助けてください……!」

「よし、じゃあ、今日から俺は、お前たちの先輩だ。オーケイ? そして俺の後輩である早見くんとお前たちは、同列だ。これも、オーケイ?」


 俺に何をさせられるのかを計りあぐねている3人は曖昧に頷いた。


 よし。

 お姉さんのために、少し動いてもらいますかね。


「じゃあ、ボランティアをしよう――俺と一緒にな」


 不良たちは、ゆっくりと立ち上がって、俺を見ている。

 どうやら――仲間になりたいようだ。


深夜に更新したせいで、翌日を10日と考えてしまい、更新ミスっておりました。

もし、楽しみにされていたかたがおられましたら申し訳ありません。

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