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第1話 帰還

 体感、4年。

 実質、4日だけだった。


 高校では、へらへらと笑い、力あるものにイジメられるだけの存在。

 それが俺――景山蒼汰かげやま・そうたである。


 高校二年のゴールデンウィーク初日。

 トラックに轢かれそうになっていた子供を助けるために道路に飛び込んだ。で、子供は親がしっかりと助けて、俺は頭をアスファルトに打って、意識を失った――そうだ。

 実に情けないが、俺の人生なんてこんなものだろうと思う。


 でも、物事にはいつだって例外が付きまとうものだ。


 繰り返す。


 体感、4年。

 実質、4日だけだった。


 目が覚めるまでの4日間。

 その間、俺は異世界に飛ばされて、4年間もの間、地球とは別の世界を救っていたのだ。


 勇者だなんだと持ち上げられて、各国が召喚した勇者と、競うように敵をなぎ倒していった。

 パワータイプやスピードタイプ、そして魔法タイプの勇者に比べ、俺は随分とトリッキーなタイプの力を与えられたが、結果的にそれが功を奏したのだろう。

 弱小国が召喚した勇者である俺は、皆の期待を良い意味で裏切り、世界を救ったのだった。


 平穏は訪れたが、俺の時間は止まらなかった。

 平和になっていく世界の行く末を見届けることはなく、俺は勇者の契約通り、元の世界へ戻ることとなった。

 数少ない仲間たちと別れるのは大変悲しかったが、それも仕方がないことだ。俺の住む世界は別にあったのだから。


 体感、4年。

 実質、4日。


 短いようで長く、長いようで短かった――俺は、静かに目を覚ました。


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