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神様の遊び  作者: 夢限
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第03話 再会する神様

 俺が過去を思い出している間に、召喚された玲愛は国王との謁見を行い、何やら説明を受けていたがそれもどうやら終わったらしい。そのあと、与えられた部屋へメイドに案内されて向かったみたいだな。

「ちょうどよさそうだから、この辺りで保護しておくか」

 というわけで、玲愛が部屋に入ったところで、指をパチリと鳴らす。

「えっ、こ、今度はなに?」

 その瞬間、モニタ越しにしか聞こえてこなかった懐かしい声が、庭から聞こえてきた。やべぇ、涙が出そうだ。それをぐっとこらえ、俺は庭へと出ていく。

「よぉ、久しぶり」

「えっ?!!」

 挨拶をすると玲愛はその懐かしい顔で困惑している。ああ、そっかそういえば玲愛にとっては、あれは今さっきの出来事だったな。つまり、俺とは午前中で別れ、これから会おうとしているわけだ。そんな奴に久しぶりと言われたらそりゃぁ混乱するか。

「ああ、えっと、俺にとっては、な」

「??」

 なおも疑問符を頭に浮かべる玲愛、あれっ、俺が分からないかな。そう思って自分を見て気が付いた。

「ああ、これじゃわからないよな。すまない」

 よく見ると俺は地上で冒険者として遊んでいたオクワルドのままだった。そこで、すぐに秋野浩平の姿へと戻ったのだった。が、それでもなお疑問符を浮かべる玲愛。

「??……だ、誰、ですか?」

 あれぇ、おかしい秋野浩平の姿になったのになぜ、玲愛は俺だとわからないんだ。ていうか玲愛は今勇者召喚されたことでテンションが上がっているために声量がいつもより上がっている。ここが俺と違うところだったな。俺は普段からほとんどしゃべらなかったが、話すとそれなりに声を出すことはできたが、玲愛は話してもほとんど聞こえない声量でしか話さない。俺と話すようになってからもしばらくはそんな声量だったから、かなり聞き返したと思う。まぁ、慣れると声量も上がってくるんだけどな。あと、話しなれない相手だと敬語になり、それが取れるのも結構時間がかかった。んで、今の玲愛は敬語を使ってきた。どういうことだろうか……ああ、そっか、しまった。もう一度自分を見て気が付いたが、俺は何も考えず秋野浩平の姿となったが、これは俺が普段神界で過ごしている姿で、これは大体40代ぐらいの姿なんだよな。なんていうかこの年齢が一番しっくりくるからなんだが、これじゃ玲愛も気が付かないのも無理もない。玲愛が知っている俺は高校生、つまり年齢設定を間違えていたというわけだ。そこで、すぐに俺は高校時代の姿にしたのだった。

「えっ、浩平君? えっ! えっと、どうして、ですか?」

 やっと俺が秋野浩平だとわかってくれたが、まだ敬語だ、ていうか若干怒っているような気がする。これはあれだな、多分俺本人ではなく、誰かが秋野浩平の姿を取ったと思っているみたいだな。そりゃぁ先ほどからコロコロ姿を変えた上に、考えてみたら玲愛にとっての俺は現在地球の図書館で玲愛を待っているわけだから、こんな場所にいるわけがないんだよな。

「ああえっと、最初に行っておくと、俺が秋野浩平本人であることは間違いないからな」

「えっ、それは?」

 玲愛は人見知りでこれまでほとんど人と話したことがないために、純粋なところがあり結構人を信じやすい。危険とは思うがこういう時は助かる。

「つまりだ、今が玲愛……」

 久しぶりに玲愛の名を呼んだことに涙が出そうになったが、それをこらえて続ける。

「と俺が過ごしていたあの時から、地球の時間でも億、兆、慶、そんなものを軽く超えるほど途方もない時間が過ぎた未来だってことなんだ」

「み、未来? ですか?」

 まだ、信じていないようだ。まぁ、いくら玲愛でもそうそう信じられない話だよな。というわけで俺は地球で死んでからこれまでのことを話した。

「……というわけなんだ。玲愛を召喚したあの魔法は時間軸もランダムで設定しているから、それほどの過去から玲愛をこの未来の世界に呼ぶこともできたってわけだな」

「そ、そうなんだ。ちょっと、信じられないけれど、でも、信じる。浩平君の言うことだし」

 どうやら俺が秋野浩平本人であることは信じてもらえたようだ。でもなんでだ。

「いいのか?」

「うん、あなたの話し方とか仕草が私の知っている浩平君そのものだから、あなたが間違いなく浩平君であることは分かるの」

 まじかっ、そんなもんでいいのだろうか。いやま、信じてもらえているということで良しとするか。

「そ、そうか、まぁ、信じてもらえたってんならいいけど」

「うん、でも、すごいね。浩平君神様になったんだね」

「俺も驚いたよ。まさか死んで気が付いたらここにいたんだから。最初はほんと何もなくてさ、真っ白で上下左右もなくて、まず作ったのは地面だったからなぁ」

「ふふふ、そうなんだね」

 玲愛はそう言って笑った。これを見るのも本当に久しぶりだ。俺が最後に見た玲愛の笑顔は、あの日玲愛が行方不明となった日の午前、学校が終わり別れたあれ以来だ。玲愛にとってはほんの少し前のことだが俺には途方もない時間が過ぎ去ってからなんだよな。

「まぁな。あっ、そうだこんなところに突っ立ててもあれだし、中に入るか?」

 考えてみると先ほどから庭先で立ったまま話していた。そこで家の中へ招き入れることにした。

「う、うん、いいの?」

「もちろんだ。まぁ、ちょっと散らかってるけどな」

 これまでは俺一人しかいなかったら、どうしても散らかったままとなっている。一応少しは片づけてから遊びに行っているから普段よりは片付いているけど……。

「うん、大丈夫。それにしても日本家屋なんだね」

「これか、まぁこれ実は俺が生前最後に住んでいた家なんだよ。まぁ、さすがに現物は無理だから同じものを作っただけなんだけど、あっ、でも長いこと住んでいる間に改善点があったからある程度はいじってるけどね」

「へぇ、すごいね。こんなおっきなおうちに住んでたんだ」

「まぁ、金だけはそれなりにあったからなぁ。これを田舎の山奥に建てて住んでいたんだよ」

 いわゆるポツンと一軒家ってわけだな。俺の人生を考えると最後に行きつくのはそこしかなかった。

「えっと、一人? 家族は?」

 玲愛が少し恐る恐る聞いてきた。

「一人だよ。いろいろあってずっと独身で一人だったからなぁ」

 そう言ってから家の中へと入っていった。玲愛はそのあと少ししてから続いて入ってきたようだ。そうして、家リビングへと入ってきた。

「まぁ、適当に座ってくれ」

「う、うん」

「ね、ねぇ、浩平君、聞いてもいいかな?」

「んっ、なに?」

「えっとね。その、さっき王様が言っていたんだけれど、元の世界に帰る方法は魔王が知ってるって、でも浩平君神様なら魔王よりも知っているんじゃないかって思って、どうかな?」

 元の世界、つまり地球への帰還方法だな。

「できるかできないかっていえばできるよ」

「ほんと!」

「ああ、でも、薦めることはできないけどね」

「? どうして?」

「世界っていうのは1つの完結した物なんだ。だから、当然世界と世界の間には壁がある。本来それは通り抜けることはできない。今回玲愛に使われた勇者召喚は、その壁を無理矢理こじ開けて別の世界から連れてくるっていう乱暴な魔法なんだ。それもほとんど保護も何もないから生身の状態でその壁に突っ込んでいるんだよ」

「……生身、それって、危ないんじゃ」

「そう、下手をするとその衝撃と負荷で魂が消滅していた可能性があるんだ」

「えっ、そ、それじゃぁ」

 ここまで話して玲愛は自分が消滅の危機であったことを知り真っ青になっている。

「ああ、それも玲愛の場合時間まで超えてるからその負荷は計り知れないものだっただろうな。その結果現在の玲愛の魂は消滅寸前まで消耗しているんだ。まぁ、こうして無事に何とかわたってこれたから今後は徐々に回復していくけどな」

 ここで、一応安心させることは忘れない。

「ほんと?」

「ああ、だから玲愛が消滅することはもうないから安心しろって、んで、さっきの地球に帰すということなんだけど、神である俺が相手の神とうまくやればその負荷を最小限にすることは可能なんだけど、さっきも言った通り玲愛の魂の消耗具合から考えて、俺たち神でも無事にということは無理になるんだ。だから、俺としては薦めることはできないってことなんだ」

「そ、そう、なんだ。それじゃ、私はもう地球には戻れないんだね」

「そうなる、すまない」

「ううん、浩平君が悪いわけじゃないよ」

「そうは言うが、そもそも呼んだのは俺の世界の奴だからな。結局その責任は俺になるからなぁ」

「そんなことはないと思うけど、でもそっか、それじゃ、これから私どうするればいいのかなぁ」

「そうだなぁ。玲愛が取れる選択肢はいくつかあるぞ」

「どういうの?」

「まずは、勇者として地上に戻りあの国の言う通りに魔王を討伐する。ああ、でも言っておくけど、あの国王が言っていたことは嘘だからな」

「嘘?」

「ああ、あの国王、魔王が悪逆非道で自分たちを苦しめているって言っていたけど、確かにあの国の国民は苦しんでいるが、苦しめているのはあの王と貴族たちだから、あいつら少ない食糧や金をかき集めているんだ。実際思い出してみろあの国王、食糧が少ないっていう割に太ってたろ。それと王妃に至ってはなんだか高価そうな装飾品を身に着けていたし」

「あっ、た、確かに、勇者召喚ってことで、舞い上がって気が付かなかった」

 危なかったと玲愛は反省している。

「あれっ、それじゃぁ。魔王は?」

「一応いるぞ。でも、魔法が得意な魔族の王ってだけで、普通に良き王だからな。あの国王が魔王討伐を言い出したのも、魔族の土地が肥沃だから奪いたいってだけだからな。あとは、鉱山とかも豊富にあるし」

「そうなんだ」

「まっ、神から言わせてもらうと、特に魔族の土地ばかりを肥沃にしたり、鉱山が多く出るようにしたわけじゃなくて、単純に魔族の頭がいいから農業についての知識があったり、鉱山もそうした知識があるからってだけで、あの国だってちゃんとやれば魔族たちと同様の資源は得られるんだよな」

 そう、俺は別に種族をひいきにするようにしたわけではなく、世界全体にまんべんなく配置した。農業だって、魔族はちゃんと連作障害とかそういうことを、見つけて学んで行っているのに対し、あの国ではその対策を行っていないんだよな。ちなみに、魔族たちも特にこの知識を秘密にしているわけではなく聞かれれば答えている。実際別の国は魔族から学び実践しているし。

「そうなんだ。となるともしかしてあの国のほうが悪いってことか」

「そういうこと」

「それじゃぁ、あの国には戻らないほうがよさそうね」

「そうなるな。だから、別の選択としては、人間としてどっか地上に降りて、人間として今まで通り普通の人生を謳歌するか、あの世界で冒険者とかをするってのもあるな」

「冒険者かぁ、ちょっとやってみたいかも、あっ、でも、戦うのはちょっと怖いかな。それに地上って知らない人ばかりだし、私うまくやっていく自身がない」

「だろうな。俺も言ってて無理かなって思うよ。俺も同じ状況なら無理だし」

「だよね」

「となると、あとは陪神になるってとこか」

 最後に言ったが実はこれが俺としての本命となる。

「陪神?」

「ああ、俺を主神としてその配下の神ってことだよ。俺が作った世界の管理であったり、世界を作る際だったりの手伝いだな。でも、陪神となると俺のような主神にはなれないってことと、神となると寿命がなくなるから、これから先未来永劫の時の中を俺とともに過ごす羽目になるってことがあるな」

 俺がそういうと、玲愛は小さく一緒という言葉を繰り返していた。

「まぁ、考えてみてくれ、俺はその間にちょっと向こうの神様に挨拶してくる」

「……」

 何やら考えに夢中になっているようで、返事がなかったが気にせず隣の居間に行き、モニタを起動した。

「おや、アキノ神ではありませんか、どうしました?」

 モニタに表示されているのは、強いモザイクがかかっていて人なのか、何なのかさっぱり判別できない存在この存在こそ、俺がかつて生まれ育った地球を含む世界を管理している神、%&$#X神だ。なぜ、こんな見た目で、名前も文字化けしたようななのかというと、これは単に俺が存在を認識できないだけだ。これは別に俺が神として未熟だからというわけではなく、そもそも俺が地球にいたころから神という存在を知らなかったことが原因となる。それはそうだろう地球では神といえばキリストや釈迦、アラーなどといった架空であったり過去の偉人であったりを神としてあがめている。そこに本来の神である%&$#X神様は含まれていない。そんな世界で育ったからこそ俺にはこの神様を認識することができないわけだ。しかし疑問がある。俺は神となったことで%&$#X神様の存在を認識している。にもかかわらずいまだに認識できないのはなぜか。その理由はやはり生前の影響によるものらしい。まぁ、正直俺もよくは分からないんだけどな。と、そんなことを考えてないで%&$#X神様に挨拶をしないと。

「ご無沙汰しています%&$#X神様、本日はお詫びのために連絡をさせていただきました」

 ちなみに、%&$#X神様と文字化けしたように呼んでいるが向こうにはちゃんと聞こえているらしい。

「お詫び、ですか? どうしました?」

「はい、%&$#X神様は覚えておられるかはわかりませんが、俺が生前そちらにまだいたころ、友人が行方不明となりました」

「ええ、もちろん覚えておりますよ。確か加賀美玲愛さんでしたか、彼女はわたくしの世界そのものから消失しておりますからわたくしの方でも探していたのですよ」

 なんと、%&$#X神様は玲愛のことを覚えていた。俺だってバックアップを確認してようやくはっきりと思い出したというのに、これが神様というものなんだろうか。

「そうでしたか」

「ええ、世界からの消失というのはまれですからね。わたくしの世界でも彼女だけでしたから、気にかけていたのです」

 %&$#X神様の言う通りで、世界からの消失というのは通常なかなか起こりえない。そりゃぁ、あの勇者召喚みたいなことをホイホイやられても困るからな。実際俺の世界ではまだ消失者はいない。そう考えると俺だって、誰か1人でも消失したら覚えているかもしれないな。

「そうでしたか、となるとますます、お詫びをしなければならないようです」

「と言いますと」

「はい、実は先ほどのことですが、俺の世界の者が勇者召喚という魔法を行使しまして、召喚されたのがその玲愛だったのです」

「なんとっ! それはなんという運命でしょうか、まさか、あなたの世界とは、そうですか。それはよかった」

 %&$#X神様は心底ほっとしている。玲愛が見つかったことを喜んでくれているようだ。

「はい、ですがこれはいうなれば拉致、今回そちらの世界の住人をこちらの者が拉致したので、その責は俺にあります。ですの、今回はそのお詫びをさせていただきたいのです。ご迷惑とご心配をおかけしたこと、申し訳ありませんでした」

 俺はそう言って全力で頭を下げた。

「いいえ、いいえ、構いませんよ。あなたの世界でよかった。しかし、聞けば先ほどとのことつまり時間をも超えた、となると玲愛さんの魂は相当に消耗しているのでは?」

「はい、そうですね。おそらく消滅寸前かと」

「そうでしょう。そうなりますとこちらへ帰還も難しいでしょうね」

「はいそうなるかと、そこでちょうど俺と玲愛は友人、こちらで預からせていただきたいのですが、そちらの許可をいただきたく」

「ええ、そうですねぇ。……わかりましたそれでよろしいですよ。もちろん玲愛さんが良ければとなりますが」

「それはもちろん、今玲愛には人間として過ごすか、陪神となるかの選択をしてもらっています」

「陪神ですか、それはいいですね。アキノ神はこれまでお1柱のみでしたからね」

「はい、玲愛が陪神となることを選んでくれれば、俺としても大いに助かりますから」

「ふふっ、それだけではなさそうですが、いえ、これ以上やめておきましょう」

「?」

「さてアキノ神、今しがた確認したのですが、どうやら玲愛さんのご両親だった魂が現在天上界へ上がっているようなのですが、どうでしょうこの場にお呼びしてもよろしいですか?」

 %&$#X神様がこういったが、玲愛の両親? それは会えるのであればありがたい。俺にとっても玲愛にとっても……。

「それはもちろん、いいのですか?」

「ええ、では、お呼びしましょう」

 %&$#X神様がそういうと、%&$#X神様の隣に2つの魂が現れた。そしてそれは徐々に形を作り出し、そこには玲愛の記憶とともにフラッシュバックしてきた玲愛の両親がいた。

「あれっ、ここは?」

「どこっ?」

「お、お久しぶりです」

「えっ、もしかして、秋野君? えっ、でもどうして」

 突然のことで玲愛の両親も戸惑い困惑している。多分2人の記憶としては地球で寿命を迎えた直後にここに現れたというものとなっているはずだ。

「すみません。実は……」

 というわけで俺は簡単にではあるが、2人がここにいる理由を説明した。なぜ俺かっというと、俺ができないように2人は%&$#X神様を認識することができないためだ。ていうか2人には%&$#X神様の姿すら見ることはできない。俺が神だからこそ認識はできなくとも存在を感じ、話をすることができるからだ。

「にわかには信じられないが、このような状況だ。信じるとしよう」

「そうね。玲愛ならすぐに信じたかもしれないけれど」

 そう言って玲愛の両親は顔を暗くさせた。

「実は、今回2人をここに呼んでもらったのは、その玲愛、玲愛さんのことなんです」

「玲愛の?」

「それはどういうことだ?」

 俺が玲愛のことだと話すと、2人は混乱から一気に冷めて食い気味に聞いてきた。

「はい、玲愛さんが行方不明となった原因は召喚でした。そして、その召喚を行ったのは俺が造り管理している世界の住人。あの頃は俺が犯人ではないと、そう2人も信じてくれていましたが、結局は俺がその責任者です。すみません」

 多くの奴が犯人だと信じていた中、無実を信じてくれていたのは、俺の両親と玲愛の両親、警察と図書館の人だけだった。

「えっ! ちょっと待って、それじゃ玲愛は、玲愛はそこに?」

「いるのか、見つかったというのか?」

「はい、召喚に気が付きすぐに保護して、ここに、今は隣の部屋にいますので、呼んできます。玲愛ぁ」

「えっ、な、なに?」

 俺が少し大きな声で呼ぶと玲愛はびっくりしながらも返事をした。

「今な……」

 俺は玲愛に%&$#X神様に詫びを入れたところから、玲愛の両親がいることを話した。

「えっ、それじゃパパとママが……」

「ああ、そっちに」

 俺が隣の居間を指し示すと、玲愛は急いで居間へと向かって行ったのだった。

「……パパ、ママ」

「玲愛、玲愛なのね」

「玲愛」

「パパぁ、ママぁ」

 モニタ越しではあるが親子の再会を遂げたのだった。尤も、玲愛の両親にとってはあの日から寿命を迎えるまでという永い期間だが、玲愛にとって、母親は先ほど父親は今朝ぶりである。それでも、先ほどの俺の説明で玲愛はもう二度と両親には会えないと覚悟していただろうから、思いもひとしおだろう。そんな親子3人を見た俺はそっとその場を離れて、親子3人だけとしたのだった。

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