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86話 魔獣との戦いが続けば

 サルーテが消え、魔素の供給が途絶えました。

 魔界から魔獣が溢れ出してきます。

 リレイアはアルファニアに未来を見据えていますが、ケータは目の前にいる人を救いたい。

 魔素振る死の国(テル・デ・モールト)から溢れ出してきた魔獣たちは、そのほとんどが南に向かってはいたが、他の方向に向かうものがいなかったわけではない。

 魔界から南西にはコルキニアがあり、ケータとフィリアが二人だけで国全体を守っていた。

 

 だが南西に向かった魔獣もほとんどがコルキニアに近づくことができず、強引にたどり着いたものの国を守る不可視の結界にぶつかって逃げていく。

 その結界の力の源がケータとフィリアに指に輝く指輪だ。

 神にその力を付与された指輪は、ケータとフィリアにイメージしたこの国の形に結界を張り巡らせることができる。


 それが魔素の力なのか、神にしか使えぬ力の一端なのかはわからなかったがそれを誰も詮索はしない。

 そのコルキニアに魔獣の襲撃が一段落した都市国家郡からパメロとマルキャルトが向かっていた。

 

「パメロ殿。魔獣が思ったより少ないですね」

「ええ、魔獣の群れが何かに誘導されているかのようです。あるいは、魔獣が嫌う何らかの力が働いているのか」


 パメロの推測は正しい。


 ケータとフィリアの付けている指輪は、イメージした範囲に強力な聖属性結界を生み出すのだがその結界の外側には、聖属性の魔素と闇属性の魔素が同心円状に広がっていくようになっている。

 元々聖属性は魔獣にとって苦手であり、逆に闇属性には親和性がある。

 だが、それも程度問題なのであって、濃すぎる闇属性は苦痛に感じられる。


 従って、それが互い違いに広がっている環境は屈強な魔獣にとっても耐え難いものだ。

 例えて言うなら、夏場の物凄く暑い日に冷えすぎた部屋と何度も出たり入ったりすると体にものすごく負担がかかり調子が悪くなるのに似ている。

 これが魔獣がコルキニアに近づかない理由だ。


「見えてきた。森の木々が荒らされた様子もないし、村の建物にも被害がなさそうだ」

「その入り口の村の向こうですよ。例の森は」


 ようやく二人はコルキニアに到着し、ケータとリレイアのいる森に急いだ。

 国の中に入ると体にまとわりついていた不思議な空気が払われる。

 結界内は魔素が平均化しているので、過ごしやすいのだ。


「パメロ、マルキャルト」

「ああ、ケータ、フィリア。やっと見つけたよ。今、この国に入ったところからずっと見てきたけれど被害はなかったようだね」

「パメロさん。リレイアがこの国の境界を全て監視できるようにボットを配置してくれていたので、ここでモニターしていました。大丈夫なはずです。ケータは随分ヤキモキしていたんですけど」


 ケータはフィリアを見て頭をかきながら。


「神様の力を信用しないわけじゃないけど、やはり城壁がないというのは不安だったんだ。本当に結界だけで持ち堪えられるのかどうしても心配でね」

「ケータ殿と同じ心配を私もしていましたが、ここにくる途中で杞憂であることがはっきりわかりました。この魔素の状況ではたどり着ける魔獣はほとんどいないでしょうね」

「でもゼロではないだろう?」

「ええ、いくつかの魔獣は結界まで来ましたが、明らかに気力を失っており結界に突進していくことさえ躊躇っている様子でした。実際に結界に触れた魔獣は1匹しか見ませんでしたが、軽く触れただけで逃げるように帰って行きました」


 魔獣がコルキニアで暴れる可能性は低そうだ。

 ケータとフィリアは安心して、どうしようか迷っていることを実行することに決めた。


「そうか…………それなら、ここを任せて良いかな?」

「任せて、って、どこかに行かれるんですか?」

「タリオトルテだよ。やはり救える人は救っておきたい」


 敵国だと分かっていても魔獣に蹂躙されるのを黙って見過ごせないケータだ。

 皆は、住民は保護しても軍については力を削いておきたいと思っている。

 けれどケータはその敵国の軍人でさえも何とか救えないかと考えていたのだ。


「ケータ。私も行く」

「フィリア。ついてくるのかい? 辛い思いもするよ?」

「そんなの尚更よ。あんなところにケータ一人で行かせたくないし」


 フィリアはタリオトルテを救いたい訳ではなかった。

 けれどケータについていくと決めたのだから、何があっても一緒に行きたいと思うのは当然だった。


 何より、ひとみとしての感情が過去に慶太を失ったことで、殊更にケータ一人にすることを恐れていたのだ。


「わかった。一緒に行こう。マルキャルト、パメロ。この指輪を」

「これ、ケータとフィリアじゃないと起動しないのでは?」

「そんなことないと思う。持ってみて」


 ケータとフィリアはそれぞれパメロとマルキャルトに指輪を渡した。

 それを指に嵌めると、即座に結界の維持ができていることが実感できた。


「本当ですね。これを持っている私を起点として、結界の維持ができているようです。魔素を少しずつ吸われますけどこの程度なら大丈夫ですし」

「私もです。魔法を使えない私では使えないかと思いましたが大丈夫のようです」

「マルキャルトは魔法の放出はできないけれど、魔素を生かすことはできるからね。普段使っている剣技の中で、身体強化として魔素は使われているし」

「はい。自分では意識していなかったんですけれど、リレイア殿とメイソン殿から指摘されてわかったんです」


 マルキャルトは、すでに剣技の中で魔力を使って自己強化や気配察知ができることを知ってはいたが、いわゆる魔法という形で外部に放出することはできなかったため、新鮮な感覚で指輪の効果を感じていた。


「そうか。じゃあ、行こう。フィリア」

「はい」


 ケータは転移魔法により、フィリアとタリオトルテに飛んだ。

 

「あーあ、こんな大事な物を渡して行ってしまったね」

「ん? あっ、あーー! そうですよ! 魔獣を抑えることしか考えてませんでしたけど、これよく考えたらケータとフィリアの結婚の指輪じゃないですか!」


 パメロとマルキャルトは、嵌めた指輪をお互いに見ながら照れていた。


「これじゃあ、私たちが結婚したみたいですね」

「ハハ、じゃあ、今の間だけは魔獣に見せつけてやろうじゃないか」

「ふふふ」

「ははは」


 とりあえず、コルキニアの守りの問題はなさそうだった。


 ◇


 ランシェルでは城壁の上から、硬人族が魔獣に対して強大な魔法攻撃を仕掛けていた。


「すごい魔獣の群れです。この数に対抗できていることが自分でも信じられません」

「それがケータ達が残してくれた羅鉄鋼と『ルオークの杖』の力だ。魔獣が突っ込んでくるたびにこの杖に魔素が溜まってくのだ。我々はそれを使って魔獣をこの城壁の上から叩いて入れば良い。だが、できれば魔獣を壁に突っ込ませる前に殲滅するようにしなければ」

「なぜです?」

「この壁は羅鉄鋼によって確かに強化されてはいるが、攻撃を喰らう度に構造的に弱体化するのは確かなのだ。なるべく壁の強度に頼らないように魔法による法撃で撃破するように」

「しかし、壁に当たる前に撃破していたら魔素が入ってこないんじゃあ……」

「大丈夫だ。遠距離攻撃は有効だ。こちらが魔法をメインに使えば、いくら魔獣の知能が低くても魔法で対応してくる。従って、魔素切れは発生しない」

「わっ、わかりました!」


 城壁から魔法による攻撃はより一層激しくなり、魔獣たちも進撃が思うようにいかなくなっている。

 かといって、後から後から魔獣は押し寄せているので、遠くに見える魔獣の群れはもはや小山のように見える。


「撃って出る」

「そんな! いくら英雄オーでも無謀です!」

「なーに、ちょっと軽く運動してくるだけだ」


 ザーフェスト・オーは城壁を乗り越え、魔獣たちがひしめく中へ飛び込んでしまった。

 敵味方の魔法攻撃が飛び交う中、まるで気にせず魔獣を切り拓きながら後方の魔獣の一番の密集地帯に突っ込んでいく。

 そのまま魔獣を切り進みながら、城壁から5km以上離れたことを確認し呪文を放つ。


「アルマ・ボム」


 半径2kmの結界が貼られ、その中の地面が捲れ上がり全てのものが粉々に砕けていく。

 アルマ・ボムは爆裂系の上級魔法でありながら、事前に結界を張ることができるため限定的に殲滅するのに有効な攻撃。

 魔獣の群れにポッカリと穴が開く。

 そこからオーは城壁に並行して進み、またアルマ・ボムを唱えた。

 繰り返すこと5回、魔獣の群れの中に空白地帯が出来上がる。

 そこは死んだ魔獣の魔素が噴き出しており、一時的に濃い魔素を持つ大地となった。


「ここに魔獣が集まる。魔獣の勢いを止めるのは今をおいて他にない。我を撃て」


 オーは自分の声を風系統の魔法で飛ばし、城壁の上の自軍の兵士たちに指令を飛ばした。

 自分を撃てという指令に一旦躊躇したものの英雄オーの指令に従い、城壁の上から魔法によるロングレンジの攻撃が降り注いだ。


 ズガガガガァーン

 ズズゥゥゥンンン


 砲撃は連続して着弾するために、大爆音がつながって聞こえた。

 魔獣は一時的に濃い魔素が存在するこの地域に殺到したため、城壁に対する攻撃は弱まっている。

 その威力は瞬間的に数千の魔獣を葬ることに成功していた。

 戦闘開始からすると数十万はおろか百万の魔獣を撃滅している可能性がある。

 あまりの火力に蒸発した個体も多く、その絶対数は掌握困難である。


 この脅威的なランシェルの戦闘成果はさらに数時間継続し、魔獣の群れは結果的に三分の一近くを失い、残りはランシェルを避けさらに南下し続けるとそこには、大陸一の大国タリオトルテがあった。


 ◇


 ヨシュア・メイソンはクリフラクト共和国にいた。

 都市国家群から大河を挟んで南に位置するこの国にも魔獣が押し寄せてきていた。

 メイソンはクルゼ王国から大量の羅鉄鋼を持ち込んでいたので、城壁の守りは固かったがいかんせん『ルオークの杖』が足りない。

 どうしても魔素が漏れてくるため、市民に影響が出てしまう。


「魔素病に罹った者にはこの薬を。それからこの茶葉を市民に配って下さい。かなり魔素に対する耐性がつくはずです」

「わかった」


 クルゼ王国で培った魔素病に対する治療技術が今、生かされていた。

 茶葉はクルゼ王国でケータが飲んだものとは違う。

 メイソンが北の街道で経営する『道の駅』では、転生者を持て成し出自を確認し合うために緑茶が振る舞われていたが、どうしてもこの世界では、色が馴染めず味も単に苦いと言われてしまう。

 そこで、この茶葉は蒸してから提供されている。

 砂糖やミルクとよく合う。すなわち紅茶として提供されていたのだ。


 本来、緑茶と紅茶では適する茶葉が異なるはずであるがそこは異世界。

 魔素の吸収を抑える魔法の付与時に味の調整も行うことで、こちらの世界でも受け入れられていた。


「これは嗜好品でもありますが、とりあえず魔獣がこの国に到達してから全員朝晩の2回は飲むようにして下さい」

「どんな効果が?」

「うーん、大きな精神的安定効果……ですかね。やはり魔獣は怖いですから、一見大丈夫なようでも飲んでおかないと調子が悪くなったりするんですよ」


 メイソンが紅茶の効能を偽ったのは、二つの理由からだ。

 まず、魔素病は意外に知られた病気だ。そして魔素病にかかったものがどんな悲惨な目に遭うかは、実際よりも大袈裟に伝わっている。

 従って本来の魔素病の予防という効能が知られることで逆に不安が広がることを恐れたのだ。

 これが第一の理由。


 第二の理由は魔素病は本来魔法使いがかかる病気で、魔法を使えない一般人はほとんど影響がない。

 自分は関係ないからとこの紅茶を飲まない人が大勢出ると、病気が広がってしまうからである。


 実際に魔素病に罹ると精神的に不安定になるので、この説明が完全に嘘ばかりというわけではない。

 発病してからもこの紅茶は有効であり、症状の沈静化から精神的な安定が見込めるからである。


 魔獣の襲撃が始まってから、兵士による迎撃はほとんど行われていない。

 魔獣は城壁に跳ね返されて別の方向に向かうだけである。

 ただ、そうしたこの国の城壁にぶつかった魔獣は、ほとんどがよろよろとよろけるようになっている。


「どうやらうまくいきましたね」

「本当ですね。でも、何をしたんです? 工作兵はでかい釜で盛んに湯を沸かしては粉末を溶かし、城壁の外側にぶちまけているようですが。あれは市民に配った紅茶とは違うんでしょう?」

「いや、基本的には同じですよ。ただ、あれはエキスを煮詰めているので濃さが段違いなんです。人間が飲んだら胃がおかしくなって昏倒する人まで出るでしょうけど。魔界の魔獣の場合は体に触れるだけでほとんど毒のように作用します。体が溶けるように感じるでしょうね。しかも浸透して、細胞の内部まで破壊しますから」

「なるほど。これが戦闘を行わない理由ですか」

「はい。工作兵の方々は大変ですが、これをずっと続けることで魔獣を相当減らすことができます」


 魔獣たちはコルキニアを避けるように南下しているため、このクリフラクトに押し寄せる数が多い。

 城壁から毒そのもののような液体をかけられることで、先頭は避けようとはしているのだが後から後から押し寄せる魔獣に追いやられ、その被害を拡大していた。


 ◇


 ケータ達はあちこちを見回りながらタリオトルテに向かったために、ランシェルとの国境線にたどり着いたのは、コルキニアを出てから3日後のことであった。


「これは…………酷い」

「慶太。いくら敵兵とは言えどもこんなことが許されて良いとは思わない」


 魔獣の死体も相当な数ではあったのだが、やはり目が行くのは死屍累々のタリオトルテ兵の姿だった。

 全ての大型兵器は破壊され、原型を留めないものも多い。

 治療するための後衛部隊がまともに襲撃を喰らったらしく、テントの側には女性の衛生兵の死体が多数転がっている。

 その何割かは食われていた。


「ひとみ。辛いならついてこなくても良かったのに」

「ううん。慶太がこの現実に向き合うなら、私も受け止めないといけないと思う。それに、私も放ってはおけないわ。今の私は無力じゃないもの。戦える」

「わかった。でも、必ず僕の隣にいてくれよ。もう、大事な人を失うのは耐えられないから」

「ええ」


 ここには救える人が誰も残っていない。

 ケータは町に向かった。


「ここは全員が避難のため、退去したはずだけど……ああ、やはり残っていた人がいたみたいだな」

「タリオトルテにはあれだけ警告もしたのに、聞いてはくれなかったのね」

「ああ、事前に魔界の魔獣まで嗾けて被害を受ければ、逃げると思ったんだけどね」

「このままだと疎開した人たちがいるこの国の南部も危ないじゃない?」

「そうだね。対魔獣の最前線を見つけないといけない。転移では見つけられないから、飛行箒を使う。魔法結界とリレイアの防御膜を重ねがけして、南下しよう」

「わかった。魔法は私が展開する」

「ああ、お願いする」


 ケータとフィリアは飛行箒で南に移動し、タリオトルテ軍が戦っているところを探していた。


「見つけた! 随分押し込まれている。もう、市民が避難している都市まで20kmもないはずよ」

「そうだな。ここで食い止めないとどうにもならないが、どうしたらいいかな」

「羅鉄鋼を仕込んだ武器と防具があるんでしょう。それを渡せば良いんじゃない?」

「うーん、でも僕らの持ってきた武器をタリオトルテ軍が素直に使うかな」

「じゃあ、私たちが先頭で使ってみせるしかないわね」

「…………それは僕一人でやるつもりだったんだけど」

「私が慶太を一人で行かせるはずがないでしょ?」

「わかった。二人で生き残るために戦おう」


 ケータは、戦線が崩壊しつつあるタリオトルテ軍の最前線に降り立つと大型魔法を展開し、数十体の魔獣を葬った。

 フィリアはケータに寄り添いケータに威力増大のバフをかけながら、結界魔法を展開する。

 タリオトルテ軍は突然現れた援軍に歓声をあげ、軍を立て直しにかかった。


「あれはどこからきた? 援軍なのか?」

「誰だろうとかまわねぇよ。この魔獣どもを片付けてくれるんなら悪魔にでも縋りたいぐらいのところだぜ」

「本当だな。軍のお偉いさんは他国のもんが来たら誰でも攻撃しろとでも言うんだろうが、知ったこっちゃねーぜ」

「ああ、あの二人をとりあえずサポートする! 魔法陣展開!」


 ケータとフィリアはタリオトルテ軍が魔法攻撃の準備を整えたところで、一旦飛び退き軍の補給部隊の近くに降り立った。


「なんだ! お前たちは!」

「今は誰でもいいだろう? とりあえず、これを置いておくから」

「おっ、おい! 待て」


 ケータとフィリアは亜空間収納から大量の剣と盾をぶちまけていった。

 いずれも羅鉄鋼が仕込んである。

 そして、ケータはその中から1本の盾と剣をとり、魔獣に突っ込んでいった。


「バカモノ! 死にに行くつもりか!」

「大丈夫ですよ。この剣と盾の力を見てもらうだけです」


 フィリアは箒に乗り、そうタリオトルテの兵に言い放つとケータの走っていった方角に飛んでいく。

 ケータはタリオトルテ兵の目の前で剣を振るい、中級魔獣を切り裂く。

 直後に別の魔獣から吹き付けるブレスを盾で難なく防いだ。


「バカな! たかが1本の剣と盾だけで魔獣を倒し、攻撃を凌いだというのか?」

「隊長。このままじゃやられるだけですぜ。あの突っ込んでいったバカが置いてった武器をお借りするとしましょうぜ」

「…………仕方ない。この異国の武器を取れ! 反撃を開始する!」


 タリオトルテ軍は最も厄介なブレスを盾で凌げること。

 硬い皮膚を貫ける剣を手に入れたことで、徐々に魔獣の群れを押し返し始める。


「慶太!」

「ひとみ!」


 フィリアが箒でケータの横に降りた。

 ケータはフィリアと二人乗りで上空に飛び立つ。


「信用してもらえたみたいだな」

「危ないことしないでよ! もう!」


 フィリアも分かってはいるのだ。

 けれど、ケータが危険に飛び込んでいく度に心が締め付けられる。


「もうしないよ。それにこれなら他の部隊にもこの武器を使ってもらえそうだ」


 ケータとフィリアはそれから、魔獣とタリオトルテがぶつかっている戦地を飛んで周り、その都度剣と盾を大量に提供していった。

 その戦闘は一昼夜続いたが、ようやく下火になり終わりが見えてきた。


「何とかなりそうだな」

「ええ」


 急に周りが明るくなり、空に光が昇っていく。



 そして、誰もが耳には聞こえない不思議な音を頭の中で感じた時、なくなったはずの月サルーテが現れた。


「リレイアがやったみたいだな」

「ええ。この星が生まれ変わるのね」


 新魔素システムは次の段階に入った。

 ようやく魔獣の暴走は食い止められました。

 この世界の魔素システムは一新され、この世界での使命は終わります。

 そこで何を思い、どこへいくのか。


 次回、『87話(最終話)願い』2/3 投稿予定です。

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