69話 伝説の魔道具を作れば
ドワーフ達が身を削って羅鉄鋼の異常生産するのをやめさせたケータ達でしたが、最後に一本だけ伝説の杖をお願いすることに……
リレイアはドワーフ達の前で言った。
「これから皆さんに作っていただきたいのは『ルオークの杖』ですの」
その一言で何人かのベテランの鍛治師は驚いたように目を見開いた。
それに引き換え若いドワーフたちは意味がわからず訝しげに見ている。
すると最古参の鍛治師のドワーフが言った。
「お前さん、どうしてその名前を知っている。それは失われた伝説の武器……いや、魔導兵器だぞ」
「あなたは?」
「ワシはバルジだ。この中では一番の老いぼれよ。だが、そんなことはどうでもいい。問題は『ルオークの杖』をどこで知ったか、だ」
「古い文献で読みましたの。原理は書いてありませんでしたが、効果から考えて羅鉄鋼から作成可能であるとわかりましたし」
「ふん。どうにも怪しい……だが、妖精がどんなもんか知っておるよ。ワシらの思いも寄らぬところから知恵を付けているのだろう」
最古参のドワーフであるバルジは疑いつつもそれ以上の詮索をやめた。
リレイアにしても、こともなげに答えたようだが半分は嘘だ。
『ルオークの杖』について記載された書物などは存在しない。
ケータとこの世界に来たときに神アルーダから与えられた知識の中にあっただけだ。
『ルオークの杖』の作成方法については、最初に羅鉄鋼の欠片を神にもらった時から考えていたのである。
若いドワーフたちは話が見えずに苛立つ。
「おい! その『ルオークの杖』、ってーのはなんなんだよ! 説明しないとわかんねーじゃねーか!」
「黙れ!!!」
バルジが一喝した。
「『ルオークの杖』というのは、失われた太古の魔道具だ。羅鉄鋼でできているが、単純に魔法に対しての耐性があるだけじゃねぇ。相手が唱えた魔法を魔素として吸い込んじまう。そして、吸い込んだ魔素はそのまま自分の唱える魔法として使用することができる」
「耐久性は? どのくらい溜め込めるんだ!」
「伝説では大魔道士の唱える最大魔法を3桁以上吸い尽くしたとある」
「「「「「!!!!!」」」」」
周りに動揺が広がった。
「バ、バカな! 100回以上の大魔法を吸い尽くす杖だと! 純羅鉄鋼で盾を作ったとしても大魔法を数回弾くだけで精一杯なんだぞ!!」
「だから伝説だと言っとる! ワシもそんなものが本当に作れるとは俄かに信じられん!」
しかし、リレイアはしれっと一言。
「できますわ」
そう言って大きく広げた紙に図を書き始める。
すると、ドワーフたちが集まってきた。
「この杖の中は一見空洞の筒に見えますが、一種のハニカム構造ですの。そして筒の先から根元だけ極小の魔法陣を配置していきます」
「ほうほう。そうすると、この羅鉄鋼でできた杖に魔法が接触してきた場合、一気に魔素に還元するのか。よくできているな」
一人のドワーフが感心したように言う。
しかし、他のドワーフが。
「確かにそれなら大魔法を取り込むことが可能だが、100も200も魔法を取り込むことはできまい。それに取り込んだ魔素を取り出すのはどうするんだ?」
「ええ、それについては、この魔法陣の10個に一つは圧縮解凍魔法陣になっていますので、そこに作用させれば簡単ですわ」
「圧縮……だと。羅鉄鋼の内部に過剰な魔素を溜め込むのは危険だぞ!」
「大丈夫です。このハニカム構造は、内部ではなくスカスカの空間に魔素を溜め込むことができますの」
「ううむ……それだと……そうか、なるほど……んあぁぁ、あ? ああっ、可能だ! とても信じられないが、確かに『ルオークの杖』を作ることができる」
ドワーフ達は感動して言葉も出ないようだが、バルジが尋ねる。
「だが、『ルオークの杖』の作成方法などどこで知ったのだ?」
「いえ、どこかで聞いたり本で読んだりしたものではありませんわ。強いて言うなら『ルオークの杖』の名前と効果を教えてくれた方はいらっしゃったですけれど」
誰とは言わないリレイア。
それがこの世界の主神だと知ったらドワーフ達はひっくりかえるだろう。
「じゃあ、この方法はお前さんが……」
「はい。原理の構成と図面は私が」
「なんと!!」
リレイアはドワーフ達が動揺している間、考え込んでいたが思い付いたようにバルジに言った。
「お願いしたいことがありますの」
「なんじゃ」
「この『ルオークの杖』の製作チームを作って、その指揮をお願いしたいのですが。期限は一週間。お金はこの工房の羅鉄鋼の生産量3ヶ月分をお支払いしますわ」
それは破格の値段である。だが。
「いや、金は一週間分の労働賃金だけでいい。その代わり、あんたとそのお仲間でタリオトルテをなんとか止めてはくれまいか」
「はい。これはそのためのものですから」
「よろしく頼む」
「こちらこそ、ですわ」
こうして、ドワーフたちはリレイアの設計した『ルオークの杖』を作ることになったのである。
『ルオークの杖』の製作は難航を極めた。
当初、ドワーフ達は数十本の杖を作成するつもりでいた。
ケータ達がタリオトルテに向かい戦闘することがわかっていたので、一人2本ずつ。さらに立ち寄る国々に10本ずつぐらいを供給するつもりでいたのだ。
しかし、杖の製作難易度は想像を絶していた。
羅鉄鋼は、鉄自体の分子構造が複雑であり魔素がそこに閉じ込められるような作りになっている。
同じ炭素でできていても炭とダイヤモンドが違うように、普通の鉄鋼と羅鉄鋼は分子の構造が異なる。
鉄に魔素を混ぜたところで何の効果もないし、いずれなくなってしまう。
羅鉄鋼は魔素を維持し続け、魔力を吸収して魔素に転換することもできる。
その羅鉄鋼を使ってさらにハニカム構造にするために炉の温度と焼き入れを保つことが果てしなく難しいのだ。
羅鉄鋼としての分子構造が崩壊する。
ハニカム構造が歪になる。
均一にできずに魔法陣が乗らない。
など数々の失敗を乗り越えて一週間後にできたのはたった一本…………
「面目ない。妖精の嬢ちゃん。これ一本しか満足にできなかった」
「いえ、大変満足してますわ。元々無理な注文をしたのはこちらですもの」
「予定通り出発するのか? もう少し時間があるなら、何本かできるまで頑張ってみるが」
その申し出をリレイアは固辞した。
理由は、ケータとパメロたちが、この町のすべてのドワーフの体調の回復を終えたこと。
特に無理をして杖の製作のために残ってくれた鍛治師達にこれ以上の負担をさせたくないこと。
遭難し気を失っていたドワーフが回復して話が聞けたので、少しでも早く大陸西部に向かいたいこと、などである。
ケータ達は、タリオトルテ大帝国に向かうと陛下に打診した。
難色を示されたが渋々ながら許可を得られたのは本当に助かった。
「ベルンハルトに取りついだのは俺なんだからな。感謝しろよ!」
そう言って、恩着せがましく許可の通知をしてくれたのはロブナント子爵。
反対する陛下にベルンハルト・フォン・ブルム伯爵が取りなしてくれたのは、ロブナント子爵からの言付けがあったからなのだとわかった。
ケータ達は晴れてタリオトルテに向かうことができる。
問題はどうやっていくかということだ。
夕食後にみんなで集まって検討することにした。
今回は神グラムゼアがずっとついてきてくれているので、その力を借りれば多少の無理は効くはずなのだが、パメロにはまだ山脈を超えていくことが現実的に受け入れられていない。
「ケータ、ラングレー山脈を越えるつもりですか? 普通なら厳しい……と言うよりまるで自殺行為。ですが、今まで見せてくれたリレイアとグラムゼア様の奇跡の力があれば可能なのかな?」
「うーん、力技のゴリ押しをすればできなくはないと思うけど、良策とは思えないなあ。グラムゼア様、この件に関してアルーダ様からのご指示はありますか?」
グラムゼアは首を振る。
「いや、今度の話についてはアルーダ様は何も言ってきていないよ」
「そうなのか? おいらてっきりアルーダ様からの依頼仕事なんだと思ってた。だって、大事だろ? それに大陸西部に向かう、って言ってた通りになったじゃないか」
クリスクロスの疑問は当然である。
魔法世界どころかこの惑星中の全国家を巻き込む大戦争について、アルーダ様が何を言ってこないのは不自然だ。
「何も聞いてはいないよ。そこのところはどうなんだろうな……それに、西部に向かうと言ったのは今のこの大陸の状況からいって必然だったから。予言したつもりはないんだ」
その様子を見ていたリレイアが不意に空を見上げる。
その先にはこの惑星ランゾルテの二つの月フレーメとサルーテがある。
すると、話の流れとは関係なく唐突に言った。
「月が綺麗ですね」
「そうだな」
ケータはリレイアのいうことに同意をしたもののちょっと違和感を覚える。
そのセリフは日本においてその昔『I love You』の意訳として有名な言葉だ。
もちろん、そんなことは知っているリレイアのことだからそれとは関係なく言ったものだとは思う。
今は恋愛話をするところじゃない。
それにしたって、タリオトルテにどう行くかを検討している時にそんなことを言うのはなぜなのだろう?
「そうですわね。ラングレー山脈じゃなくても月がよく見える山伝いに行くのはいいと思いますの」
「うん。悪くないな。ちょっとサジトワ山にも立ち寄りたいし、そこまでは私が送るからダーバンシャイ山脈から行かないか?」
リレイアの一言に神グラムゼアが賛同する。
しかも、転送までしてくれるらしい。
なぜ月を気にしているのかと思ったら山道の灯を気にしてのことだったのか、とケータは納得する。
「タリオトルテに向かうには少し遠回りですけど、転送していただけるなら帰って時間的には短縮できるので助かります。みんなはどう?」
「私は構わないですよ」
「ケータ殿、私も」
「おいらも反対する理由はないけど……」
パメロとマルキャルトは無条件にOKしてくるが、クリスクロスは何か引っかかるらしい。
それでも違を唱えた訳ではないので、ケータ達は翌日に出立することになった。
◇
翌日の朝、ロブナント子爵に挨拶すると領都の外に出て人通りがなくなったところで、グラムゼアが神の結界を展開した。
周りは真っ白になり、やがて光る。
その白いもやのようなものが晴れると結界はなくなり、目の前は山が連なる風景になっていた。
「ケータ。ここは?」
「ホン・ワリャンの奥地。ダーバンシャイ山脈の真ん中だ。目の前に見えるのがサジトワ山だよ」
「ああ、ここがですか」
パメロは話には聞いていたが、目の前の風景に見入っている。
こんな光景は見たことがないのだろう。
ローアニエストは自然豊かな国ではあるが、特に高い山はない。
「少し寒いですね」
騎士として修行はしてはいるもののこのような高山に来たことがないという点ではマルキャルトも同じだ。
リレイアはマントを出して、マルキャルトに渡す。
「ありがとうございます。あっ、これ暖かいですね」
「リレイア。それってバフがかかってるの?」
「はい。あっ、でも今はかかっていない状態ですわ。元々高山用の暖かい装備ですので、この辺なら纏うだけで十分ですの。これからさらに高所に行く場合や強風や雨、雪などで温度が下がる場合に自動でバフがかかって寒さが凌げるようになってますわ」
「いいなあ。それ」
「ケータは自分で耐寒の魔法を使って下さいませ。これも修行ですわ。パメロはどうします?」
「大丈夫だよ。リレイア。私も耐寒のバフは使える。寒い日でも楽器が弾けるようじゃないとプロの演奏者として失格だからね」
グラムゼアは転送してくれた後はすぐにどこかに行ってしまい、ケータ達はここで昼飯を取ることにした。
それが終わるころ、グラムゼアは帰ってきた。
「山の者たちに話を通してきた。ダーバンシャイ山脈には鉱山が多い。その坑道を通って大陸の東側に抜ける工程がだいぶ楽になるだろう」
「グラムゼア様、ありがとうございます。なんか、すいません……」
ケータは、自分達が食事をしている間に神様に話をつけてもらったので、申し訳なく思っているのだ。
「じゃあ、行きましょうか。なるべく早くこの山脈を抜けた方がいいと思いますの」
リレイアは出発を促した。
このメンバーであれば、何も隠し立てする必要はない。
空間拡張を使った快適なテントを使っても問題はないのだが、何をそんなに急いでいるのだろうか?
山々の坑道を使えるのは工程の三分の一、残りは自力での昇り降り。
結構な高山登山である。
標高で言えば、1,500mから2,300mぐらいの間の山道を何日もかけて登ったり降りたり。
「ふぅぅぅ、きっついなあ」
こうなると最初にバテるのはケータだ。
マルキャルトは騎士であり一番体を鍛えているが、ドルターラ弾きのパメロが楽々と付いてきてるのが意外だ。
「私たちは楽器を持ってあちこちに演奏旅行してますので、結構鍛えられてるんですよ。今回みたいにドルターラとか食料を全部リレイアに持ってもらえるとかなり楽なんです」
「そうなの? でも僕は結構な重量のバックパック背負わされているのは?」
「ケータは修行ですわ」
「マジかー」
行程は順調だ。
リレイアもナビはできるはずだが、今回は何もしていない。
神グラムゼアに自然界についてやたら目が効く妖精のクリスクロスがいるのだから、道に迷うことなどありはしないからだ。
それから三日後、2,000m級の山の中で一人の少女が倒れていた。
「ケータ殿、あそこの川のそばに人が!」
「行き倒れかな。行ってみよう」
マルキャルトが見つけたその少女にケータ達は駆け寄る。
「結界に守られていますわ。魔獣避けも暖気のバフもうほとんど効果が切れかけてますの。これを」
リレイアは見た目の薄さの割に効果の高い毛布をマルキャルトに渡した。
マルキャルトが毛布でくるみ、抱き起こしたところで少女は目覚めた。
「うっ、私……ここは? あなた方は…………助けてくれたんですね……あり、ありがとうございます……」
まだ、不調のようだ。
パメロが水筒を出し、少女に水を飲ませる。
「ゴクッ、ゴクッ、ゲホッ……落ち着きました。もう大丈夫です」
それからケータ達はそのままシートを広げ、軽食を取りながら少女の話を聞くことにした。
その少女の名前はサリナ・グリーンウェル。モグルーク王国から来たと言う。
「たった一人でダーバンシャイ山脈を抜けようとしたんですか? 無謀だと思います」
「その……すいません。結界もありましたし、魔力には自信があったものですから……あっ! それよりここはもうホン・ワリャン連邦国ですか!?」
ケータ達は顔を見合わせる。
これだけ山脈の奥深くとなると山の境界の杭も標識も存在しない。
国境線を越えたかどうかはわからないのだ。
すると。
「ああ、もうここはホン・ワリャンに属している山の中だよ。この国に用事があるのかい?」
答えたのはグラムゼア。
「私、行かなくちゃ。ホン・ワリャンの国王に直訴して、東の国々を救ってもらうよう兵をあげてもらわなくてはならないんです。そうしないと……そうしないと……モグルークもコルキニアも!」
「コルキニア……」
サリナの言ったその国名にビクッと反応するケータ。
思い出せない記憶の中にあったようなその響き。
「ケータ。何かあるんですか?」
「うーん……いや、なんでもない」
リレイアはグラムゼアの顔を覗き見るが、その顔色に変化は見られない。
気になることはあるようだが、この場ではスルーすることに決め話を進める。
「もしかしてあなたは転生者なんじゃありませんの?」
「どうしてそれを……」
「実はこのケータも日本から転生してやってきたのでなんとなくそうではないか、と」
「なるほど、そうですか。なるべく解らないようにしていたつもりなんですけど、わかってしまうんですね。はい。更科花梨と言います。もしかして、ケータさんもコモンの神ヌルス様に送られてきたんですか?」
その神の名前に一瞬ギクリとするが、ケータはなるべく平静を装う。
グラムゼアがサリナにわからないようにケータに合図を送った。
「えっ、ああ、そうだ。ヌルス様に送っていただいた。ただ、僕はその時、気を失っていてね。こちらのグラムゼア様に転生時のことを聞いたんだ」
ケータはグラムゼアの合図の意味を正確に把握し、慎重に答えた。
次元神ヌルスによってこのアルファニアに送られたというのは嘘ではないが、それだけで真実の全てを伝えたとは言えないからだ。
そして、サリナがヌルスに送られたという事実は、これまでと違う意味を持つ。
それはケータが『ヌルスに送られた最初の日本人』であるからだ。
すなわち、サリナはケータより後に転生している。
コモンの主神ルルカはケータの転生以降は、特に人選に注意している。
以前のようなアバウトでいい加減な基準では転生者を選んでいない。
特にケータに敵対する可能性がある人物については、絶対に転生対象者とはしない。
それだけでもこの少女については信用できると考えてよい。
そうなれば、もっと詳しい話を聞き出すまでだ。
「サリナ。ホン・ワリャンには国王はおりませんの。首長はいますがあくまで氏族会議の議長という立場なので」
「ならば大陸東部の危機をその会議にかけて派兵を……」
まずはリレイアがホン・ワリャンに行きたがっている理由を聞き出すために、サリナに答えた。
するとサリナはホン・ワリャンに援軍を出してもらいたいと言う。
「そいつぁ、無理だぜ。あの国はデカイだけでそんなに強くねーよ。おまけに氏族ごとにバラバラで意見なんかまとまりゃーしねぇぜ」
「そうなのですか……」
クリスクロスの答えにあからさまにガッカリした表情のサリナだったが……
「で、では西の不思議な霊力を持つというローアニエストに力を借りれば……」
「ローアニエスト? いや、残念ながら軍備はほとんどゼロなのだけれど……」
最後の望みとばかりにローアニエストの名前を出したサリナであったが、パメロに否定されてしまう。
「このホン・ワリャンにいるあなたにどうしてローアニエストのことがわかるんですか!」
気色ばむサリナにケータ達は顔を見合わせる。
「えーとね、彼はローアニエストから来たドルターラ弾きでパメロと言うんだ」
「パメロ? あのパメロ・キュレータ? なんであの至高のドルターラ奏者がこんなところに?」
さすが有名人、パメロの名前は大陸西部まで響き渡っているらしい。
「『あの』とか『至高』とかどうかはわからないが、まあ多分私がそのパメロ・キュレータだよ」
「えっ、ええ……でも、そうするとローアニエストも……兵を出すことは無理……なんですね……」
落ち込むサリナ。
そこにリレイアが。
「大丈夫ですよ。タリオトルテをどうにかするために私達がここにいるんですの」
「この人数で何ができるって言うんですか……硬人属の英雄もいない……もう何をしても無駄……」
「ザーフェスト・オーですわね。彼を連れ戻したらどうなりますの?」
「無理です……大陸の北にある魔界に向かったんですよ。いくら英雄だろうと生きて帰ってこれません。第一、連れ戻すったって、他の誰があの魔界に入れるんですか?」
そうサリナは全ての希望がなくなったように言うが、リレイアは余裕を持って見ている。
「リレイア。何か策がありそうだね。その前にザーフェスト・オーって誰だい?」
ケータはリレイアに尋ねた。
だが、リレイアはそれには答えず、これからの計画を話し始めた。
ダーバンシャイ山脈の奥で、行き倒れの転生日本人の少女に出会ったケータ。
彼女を伴って、いよいよ大陸の西部に向かいます。
次回、『70話 大陸西部モグルーク王国に向かうならば』 12/6 投稿予定です。




