39話 成功報酬がてんこ盛りならば
王都の危機が解消された。
そして、ケータ達には報酬が払われる分けですが、その場所はいつものギルドではなく……
魔素病事件の全てが解決した翌日、ケータは冒険者ギルドに呼び出された。
入口にはすでに職員のサフールさんが待機しており、ケータを連れて会議室まで案内に立つ。
窓口担当の彼女が、わざわざCランク冒険者を出迎えをしていることからかなり目立っている。
周りの職員も冒険者も何事かと思っている。
冒険者ギルドの会議室では、ギルド長が待っていた。
「来てもらったのは、報酬と冒険者ランクの話だ。今回の報酬は、王宮の方から当初の約束の20倍を支払うとの話を聞いている。金額だけで考えれば破格だが話を聞けば、妥当……いや、これでも足りないとも言える。それだけ働きをしたことはギルドでも確認している。当然、無審査で冒険者ランクもB級への昇級が決まっておる」
ギルド長は、そこまで一気にしゃべってからお茶を飲んで続けた。
「だが、お前さんはそれを望んでいないんだろう? なぜだ? いくら目立ちたくないと言っても、実績は申し分ないし、身入りも仕事も自由度が増すぞ」
「あー、それについてはいろいろ事情がありまして……」
ケータは困っていた。
事情は明かせない。
だが、サフールさんが助け舟を出してくれた。
「ほら、だから言ったでしょう? ブルム子爵からも今回の件はケータさんの好きにするように、と聞いてますよ?」
「しかし、冒険者が報酬を辞退するように言い含めたり、ランクが上がるのを拒むと言うのは王宮の圧力ということも考えられる」
ギルド長の言ってるのは、冒険者に王宮から圧力がかかって報酬やランクアップを諦めさせることがあってはならないという心配をしているのだ。
冒険者ギルドは国の圧力に屈しないと言うのが大前提だからである。
「大丈夫ですよ。それについては私が保証します、って。一ギルド職員の私ですが、ブルム子爵の持ってくる話についてだけは問題ないです。それを一番よく知っているのはギルド長じゃあないですか? 一昨年のギルドの不正に関する影響を最小限に収めてもらった恩を忘れました?」
これにはギルド長も痛いところをつかれた。
今までもブルム子爵には、冒険者ギルドの窮地に何度か助けられている。
一昨年のギルドの不正とはギルド長が一番信頼している副ギルド長が、一部の冒険者と連んで賄賂のやり取りをしていたこと事件のことだ。
この時、冒険者たちのギルドに対する不信感が大きくなるのを抑えてくれたのが、ブルム子爵とその部下たちである。
ある策略でギルドの不正をもみ消したのだ。
記録上は副ギルド長と連んでいた冒険者が、実は盗賊団と繋がっているということになっている。
盗賊団に長年副ギルド長は、脅されていたということにしたのだ。
そうやって、副ギルド長に同情を集めた。
副ギルド長を処分をしたときに、『止むに止まれずやったことで、ギルド自身が不正体質だったわけではない』という印象を冒険者たちに与えた。
実際には汚職を働いている職員が数人いたのだが、副ギルド長が捕まってから時を置いて内密に捕縛されたので、冒険者たちは、多少ギルド職員が入れ替わっただけで、それが汚職のせいであると気がつかれずに済んだのである。
その一連の揉み消し工作の作戦立案と実行をしたのがブルム子爵とその配下なのだ。
王宮がこの街の冒険者ギルドの権威が落ちるのはまずいと考え、取った策であった。
そういう経緯がある以上、冒険者の不利益になることを王宮がするかを疑うのでは、今までの恩を仇で返すことにもなる。
「わかったわかった。降参だ。で、どうしたい? 少なくとも報酬は受け取って欲しいんだがな」
冒険者の不利益が罷り通ることは避けたいギルド長の言いたいことはわかる。
それを聞いてケータは。
「えー、それなんですが。報酬は受け取りますが、記録上は受けてないことにしたいです……せめて貢献ポイントだけでも上がらないようにしてもらえないでしょうか?」
「それに何の意味がある?」
「Cランクのままで活動したいんです」
「確かにBランクだと度々面倒な強制依頼が舞い込むことがある。だがな、既にこれ以上ないくらいの面倒をこなしているのじゃないか? 冒険者ギルドが指名するBランクの強制依頼なら、できる限り免除してやるぞ? 王宮の依頼なら今のCランクのままでも、どうせまた押し付けられるのは変わらんし」
「あー、それはそうなんですが、Bランク以上の依頼をこなしているように見せたくない……と言いますか……」
「まわりの目か……そういうことなら、まあ……何か事情があるならわからないでもない。よかろう、今回のポイントは最初の依頼時の報酬の分だけ貢献ポイントをつけることにする。だがな、王宮からもらった報酬が約束された通りであることは確認させてもらうぞ」
「わかりました」
ケータはギルド長に礼を言い、個室を出ようとしたところサフールに呼び止められた。
「あっ、ケータさん。ブルム子爵が今日、王宮に来て欲しいそうです。伝言で『魔素病治療の功労者を連れてきてくれ。少しだけ覚悟してな』だそうですよ」
「えー、行かない訳にはいきませんか?」
「いくと思います?」
「……わかりました。王宮へ行ってきます」
ケータは、マルキャルトとメイソンと共に王宮に向かっていた。
リレイアとクリスクロスは姿を消している。
メイソンは緊張のためか何も喋ってはいない。
王宮に行く道すがら、リレイアが念話で話しかけてきた。
──あのギルド長、なかなかの人物ですわね。
そこで、思わぬ人物が念話で答えてきた。
──そうですね。
──あそこまで冒険者の権利を守ってくれる発言をするとは驚きました。
なんと、答えたとはマルキャルト。
思わず声をあげそうになったが、堪えて思考でケータも返す。
──マルキャルトも念話が使えるの?
──というか、僕の声聞こえてる?
尤もな話だ。
マルキャルトが念話が使えたら驚くが、それをケータが尋ねてもマルキャルトには聞こえないはずなのだ。
ケータは念話で話しているわけではない。
あくまで、リレイアとマルキャルトがケータの思考を読み取ってくれているだけなのだ。
──マルキャルトにも念話を届くようにしたのは私ですわ。それとケータとマルキャルトの思考も私が中継しておりますの。
ケータはそれを聞いて納得した。
そうなんだ。
まあ、それの方が便利だな。
マルキャルトにだけ聞こえないのも内緒で話をしてるみたいで嫌だったんだ。
──……それより、王宮で待ってるの、って。
──間違いなく、王様との謁見ですわね。
それを境にケータとマルキャルトは沈黙した。
◇
王都に着くとブルム子爵とピボーテ男爵に迎えられた。
有無も言わさず、中庭を通って王城の真ん中に移動。
連れてこられた先は、案の定謁見室であった。
だが、王の前に跪いたのは、ケータ、マルキャルト、メイソン、ブルム子爵だけではなかった。
そこにロブナント子爵もいたのである。
普段から洒落者で貴族でもその服装は目立っていたのだが、この時は豪奢でありこそすれ王に恭順の意を示すような真摯さを表すような出立ちであった。
「よく来た。ケータ、マルキャルトそしてブルム。其方たちの働き、見事であった。それに、王都の病を救ってくれたメイソン。其方にも感謝している。そして、ロブナント。お主もよく影で支えてくれた」
「「「「「はっ」」」」」
まず、王から労いの言葉が発せられた。
ただ、ケータとマルキャルトは、なぜ今回はロブナント子爵も同席しているかがわからない。
「一応は宰相を通じて今回の一件についての説明は聞いておるが、改めて現場の指揮を取っていたブルムに尋ねたい。あらましを述べよ」
そこで、ブルム子爵はまず王からの依頼があったときにすでに自分の部隊で調査を始めていたこと。
ただし、原因が掴めず陛下から話があったときにケータに依頼することで解決の糸口となるだろうと考えていたこと。
思った通り、ケータは魔素病の一種であることを突き止め、同時に供給源であるゴロツキのリストを得たこと。
魔素病の治療のヒントとなる作物をメイソンが育てていることを聞いたこと。
「ああ、そこでケータからメイソンを保護して欲しいという話になったのだったな」
「はい、陛下。それでメイソンさんの地位なのですが」
「望むならば爵位を授ける。望まない場合でもそれなりの報酬は用意しておる」
ケータはそれを聞いて安心したが、一応確認しておくことにした。
「一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「何なりと申せ」
「メイソンさんのいたクリフラクト共和国とはどういう話になったんでしょうか?」
「ああ、そのことか。実はヨシュア・メイソン。お主のやったことは無駄ではなかったようだぞ」
「「えっ」」
ケータとメイソンはびっくりして顔を見合わせる。
「宰相。クリフラクトからの親書を読み上げてやれ」
「はい」
“ヨシュア・メイソン殿
貴君の作物は確かに魔法使いの魔力を低下させ、一旦は我が国の不利益となった。
しかし、収穫量の増加には目を見張るものがあり、国全体の飢餓状況は一気に解決したのだ。
魔法使い達には、他の食材を国から支給することにより魔力が回復した。
戦乱は収まり講和はこちら有利の条件で結ぶことができた。
このことにより其方を責める者もいたが、逆に救国の英雄と讃える者もいたのだ。
国に許可もなく海を渡ったことについては誉められたことではないが、仕方がなかったとも言える。
その功績に報いることはできないが、同時に其方を処罰の対象としないことを決めた。
もはや当国においては貴君を遇することは叶わぬゆえ、身柄はクルゼ王国に預ける。
壮健であれ”
「以上です」
それを聞いて、メイソンの顔を泣き笑いのようになった。
「良かったですね。メイソンさん」
ケータはメイソンの肩を叩く。
メイソンの瞳には涙が浮かんでいた。
「次はケータについてじゃ」
「はい」
そこからは、ブルム子爵が拠点の設営と魔素病の治療の研究について報告していった。
まず、拠点自体が北の森に向かう冒険者にとっての恩恵になっていること。
ローアニエストに向かう商人にとっても有益であること。
厩舎の馬に施している世話により、現在の馬の減少に歯止めがかかる可能性が見えること。
「「!!」」
ケータとマルキャルトが唖然としている。
まさかそれを知っているとは思わなかったのだ。
少なくともリレイアが馬の治療をしているところは絶対に見つかっていないはずなのに。
「ああ、気づかないと思っていたのだな。実は私もピボーテの報告がなければわからなかった。あいつはこの国で馬の減少について特に危惧していてな。ケータが厩舎で世話をした馬が皆、状態が良くなっていると報告してきていたのだよ。その馬を見せてもらったんだが、単純に見た目だけではわからなかった。だが、ピボーテにはその違いが解るらしい」
「そうだったんですね」
ケータは、ピボーテ男爵が改めて切れ者であることに畏怖していた。
その後は、ブルム子爵がカリオンと”裏刺し”をケータが仕留めたことを報告してエリウス王と宰相が驚愕していたが、もうケータにはちっとも頭に入ってこなかった。
そして、説明が終わった後。
「ケータよ。もはや其方に払う報酬を如何程にして良いかもわからん。宰相とも相談したのだが、爵位と領地が妥当なのだがすぐに渡せるものがない」
「いえ、そのようなものは、分に過ぎますのでご辞退させて頂きたく……」
エリウス王は宰相と顔を見合わせる。
「仕方ないのう。金銭や財宝となるとこの働きに見合うだけの量は、すぐには王宮でも用意できん。何か欲しいものはないのか?」
「うーん……そういうことでしたら……」
ケータは、メイソンが責任者になっている拠点とは別に、もう一箇所の北の森に近い拠点の建設許可が欲しいと言った。
大きさがクルゼナントの王城ほどの規模になると言う。
場所は王都の北西20km。北の魔の森まで5kmというところだ。
そして、北の街道に作った拠点との間に道を作る。
その間は、農地にして野菜と花を植える。
「今一つわからないのだが、そこで何をするつもりだ。そして、どうしてそこにこだわるのだ。もし、野心があってローアニエストやホン・ワリャンに侵攻するつもりなら許可はできんぞ!」
宰相が強い調子でケータを問い詰める。
自由にして良いとは言ったが、それで隣国に戦争を仕掛けられてはたまらない。
その反応は予想していたので、ケータはそれに対してリレイアの調査結果を見せる。
「なんだ? これは」
「北の魔の森の東側と西側の魔素と植生と魔物の進化についての調査です。東側は魔素自体も安定しています。しかし、西側は3年で1割程度、魔素が増加しています」
「それは尋常じゃないな」
そして、その調査結果の肝である小動物の魔物化割合の増加についてのグラフを見せた。
「これは?」
「北の魔の森の西側で冒険者が狩りをした時に、一角ウサギを視認した割合を指し示したグラフです」
「ぐらふ?」
「ええ、一角ウサギを見た回数は冒険者ギルドで記録を取っていますので、ひと月に一角ウサギを見た回数を森に入った人数で割ったものです。このグラフというのは、その回数の増加を線で表していて……」
「わかった。そこまで言われれば、これがまずい事態を示しているものであることはわかる」
宰相はそのグラフが描いてある調査結果をエリウス王に渡した。
「魔物が飛躍的に増えているのはわかった。そして、これを其方はどう見ているのだ」
「これは私見ですが、おそらくはここ二、三年のうちにモンスター・パレードが起こる可能性が高いか、と」
「「「「「「!!!!!」」」」」
エリウス王も宰相もブルム子爵も近衛兵たちもその予想に驚愕している。
平気な顔をしているのはロブナント子爵ぐらいだろう。
「そこで、この拠点を作りたいのです。目的はまずは魔の森の監視です。モンスター・パレードの兆候があった場合はいち早く王都に早馬を飛ばします」
一同は頷く。
妥当な話に思えるこの一言には大きな覚悟を含んでいた。
ケータは一部真実を伝えてはいない。
もし、本当にモンスター・パレードの兆候があれば、早馬では間に合わない可能性がある。
それまでに連絡手段の確立を急ぐ予定だが、ダメならケータの秘密がバレたとしてもリレイアの力で即座に報告するつもりでいた。
一同はケータの次の言葉を待った。
「そして、北の魔の森の東側で定期的に魔物の間引きをします。この拠点は魔の森に対する前線基地となる砦にしたいのです」
「それは、ケータの仕事ではない。そう言うものが必要なら、クルゼの国が受け持とう」
エリウス王はケータに任せず、王宮で主導すると言ってきた。
だが、ケータは譲らない。
「そこを何とか任せていただけないでしょうか」
「何か考えがあるのか?」
「はい」
そこで、今度はケータは魔素の研究について話した。
この国では馬の減少が問題になっていて、それが魔素病のせいであるとわかったこと。
北の街道沿いの拠点で厩舎を経営している時に、今回の魔素病の治療に使った作物で、馬の治療も可能になったこと。
もし、この魔の森の間引きを定期的にやったとしても、それだけでは魔素が凝縮されてより危険な魔物が出現する可能性があることだ。
「話はわかった。だが、それをどうする」
最後にケータが話したのは、この拠点には砦の機能と研究所の機能を併せ持つこと。
この研究所の目的は魔素に関するものだけではなく、魔の森の制御も含まれること。
「魔の森を制御する、だと? 無くすのではないのか?」
「はい。この国の魔の森は危険な魔獣が出没する厄介な場所です。しかし、魔素の供給源になっており、魔物自体も貴重な資源なのです。これを拡がらないように、廃らないように制御したいと思っています」
一体、今日何度目だろう。
一同は声も出ない。
だが、そこでロブナント子爵が手を挙げた。
「一つ、お願いしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ」
「私の領地も魔の森の問題を抱えております。できれば、この王都で魔の森の問題を解決していただき、我が領地でもその対策を教えていただきたいのです。そのためにも、ケータたちの希望を通していただきたく存じます」
ヒドイことを言い出した。
王都の魔の森の問題を解決したらそのノウハウを教えろと言うことだ。
「ロブナント! 其方は自領の安寧のためにこのクルゼナントを実験台にしろ、と言うのか」
そこで、怒ったのが宰相である。
だが、ロブナント子爵は動じない。
「はい。そのかわり、そのケータの拠点とやらは私が責任を持ちましょう。領地から一個中隊を派遣します。これなら、もし問題が起こったときに対処するのは私の配下ですから」
「其方、勝手にそんなことを……」
「いえ、その方がケータにも王都にも都合がいいのです。ケータたちの拠点が大きな戦力を持てば、国への叛意を疑うものも出てきます。しかし、ロブナントの一個中隊が常駐するとなれば、話は変わってきます。何せ、弱小領地の一個中隊風情ですからな。これを恐れる屁っ放り腰の連中もいないでしょう」
宰相は困った顔をしながらも、ロブナント子爵を睨みつけていた。
そこで、エリウス王が言った。
「あいわかった。ケータ、其方に拠点の設営を許可する。ロブナント、其方には領地から一個中隊の派兵を要請する。そして、その全責任者をブロムとする」
「「「なっ!」」」
ケータ、ロブナント子爵、ブルム子爵が目を剥く。
「陛下、なぜ私なのです?」
ブルム子爵が尋ねる。
「それは、どうもロブナントにはしてやられていることが多いようなのでな。この辺で一つ、仕返しをしたいと思っておってな」
エリウス王は悪戯っ子のような顔で答えた。
隣で宰相も笑いを噛み殺している。
ロブナント子爵に任せるのは癪だが、ブロム子爵ならまだわかる。
何よりロブナント子爵の鼻を開かせてやったとの言うのが良い。
「それと、ピボーテ男爵をここを呼べ」
近衛兵が飛び出していき、ピボーテ男爵を連れて帰ってくる。
「さて、ブルム、ピボーテ」
「「ははっ」」
「其方たちにも報いなくてはならぬ」
「いえ、私たちは普段より過分な……」
「ダメじゃ。今回はな。ブルムを子爵から伯爵へと陞爵。ピボーテを男爵から子爵へと陞爵。ブルム伯爵以下の部隊を正式に王都中央維持隊として公示する」
ブルム伯爵もピボーテ子爵もすぐに答えを返せず固まっている。
「陛下のお言葉だ。返事をせぬか!」
「「申し訳ありませぬ」」
宰相が一喝して、ブルム伯爵もピボーテ子爵も畏まって答えたが。
「陛下、お願いでございます。我が部隊は隠密性を持ってこそ、その力が発揮されます。正式な公示は避けて頂けないでしょうか?
それに陞爵もその……分に過ぎると申しましょうか……」
「ブルム。すでに其方の配下の力が特別であることを知らないものは民の間でも少ないぞ。気づかれないと思っておったのか? これからも其方達の力の重要性は変わらぬ、いや、むしろ大きくなっていると言って良い。もし、隠密性が必要というならば、表向きの組織と隠密性の高い組織を両立させよ。それと陞爵についてだが、ワシの命が不服か?」
「いえ、そのような」
「では、これで終いじゃ。今回のことは、これをもって決着とする」
「「……ははっ……」」
そんなこんなで一同開いた口が塞がらないまま、陛下との謁見を終えた。
お陰で砦の拠点から北の街道の拠点までの道を整備する話やその整備した道沿いに花畑と馬の魔素病を継続して治療していくための畑の開墾の許可を取り損ねていた。
それについては、後日ピボーテ子爵が陛下に許可を貰ってくれたそうだ。
ただ、前触れを出してそのまま宰相と話をすれば良いと思っていたら、ピボーテ子爵も陛下に呼ばれてしまい馬の絶滅危機回避及び繁殖事業を王宮主導の仕事としてしっかり任命されてしまったらしい。
ケータとしては、馬の件をピボーテ子爵が進めてくれるなら好都合だ。
協力も積極的に行おうと思っている。
けれど……
ピボーテ子爵はそれだけではなく、もう一つ面倒な話をケータに持ってきたのであった。
大きすぎる報酬を断るのは大変です。
それもまあ国の危機を救ったことからすれば過大なものというわけでもないので……
まあ、とにかく貴族になることとB級冒険者になることだけは阻止できました。
かといって、王都の危機が過ぎればまた別の問題が持ち上がります。
次回は、『40話 王都の危機が過ぎ去れば』 8/23投稿予定です




