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29話 眠りの館で激闘が続けば

 ケータ達は犯人の待つ館に突入。

 激闘が続きます。

 ケータはうたた寝の迷宮(スヌーズ・ラビリンス)に着いた。


 外観はファンシーな黄色やピンクのペンキで彩られていて、ヘンゼルとグレーテルのお菓子の家のようだ。

 だが、それは隠れ家というより古城とも言える規模を持っている。

 その内部もおとぎ話ではなく、悪辣(あくらつ)な牙に(いろど)られているだろう。


 多数の敵が待ち受けているであろう屋敷にどこから入るか?


 それについては、すでに検討済みだ。

 ケータたちは、大胆にも正面の扉から入ることにしていた。

 忍び込もうにも、敵は既にこの屋敷に来ることは知っているだろう。

 裏手に回ろうとしても大きな中庭があり、そこは館の各階の窓から丸見えであり一斉攻撃を受ける可能性があった。


 また、正面は一番出入りがしやすい場所である。

 他の場所から入った場合、もし敵に闘争の意思がなければ一番逃げやすい正面がガラ空きになる。


 そんなわけで、警戒をしつつケータたちは屋敷の正面の大きなドアの前に立った。

 ドアをぶち破ることも考えたが、最初から大きな音を立てるのも悪手だ。

 ここは、普通にドアを開けて中に入るのだが……


 リレイアは杖を振るとドアの取っ手の色が変わった。

 毒が塗られていたのだが、リレイアがそれに気づいて無効化したのだ


──ケータに体に防御膜を張りました。全ての準備できていますわ。扉を開けてくださいませ。


 ケータが右手でドアに手をかける。

 ケータの手には見えない薄い膜が施されていて、電撃などが仕掛けられていても問題ない。

 リレイアが毒の無効化をしていなかったとしても効かなかっただろう。

 だが、念には念を、である。


 ケータはドアを開けた。

 そこは広い玄関ホールだった。

 部屋は明るいが、正面のみ暗くて奥が見通せない。


──玄関のドアは開けたままにしておいてください。

──わかった。


 リレイアは敵の罠と安全のための対策として、ドアを開放したままにした。


 例えば、有毒ガスが出た時のために。

 逃げ道の確保のために

 外の様子を把握するために。


──これだけ広くて明るいのに、廊下の先が見えないのは、魔法で視界が遮られているのか?

──ええ。確かに魔法による視界が遮られていますの。ですが、それだけではありませんわ。コントラストの差を利用しているようです。


 リレイアには、エントランスホールからまっすぐ続く廊下の奥まで認識できるが、人間であるケータには見通すことはできない。


 と、死角から鋭い矢が飛んでくる


 だが、これにはケータも反応できている。

 わずかに避けただけで矢は開けてあるドアから外へ飛んでいった。


 今飛んできた矢の威力は低い。

 リレイアはケータを信頼していたが、それ以上に飛んでくる矢について知らせなかったのも危険をそれほど感じなかったからだ。

 敵はほんの牽制のつもりなのだろう。


──最初から随分な歓迎だな。

──子供騙しの罠ばかりですが数が多いです。飽和攻撃でも仕掛けてくるつもりでしょうか?


 リレイアは、一見してわかる無駄な攻撃を仕掛けてきている理由について考えていた。


──おいらがまとめてぶち壊してやろうか?

──やめとこう。下手に壊すと返って何が危険か解りにくくなる。

──仕方ねーな。


 クリスクロスは、罠を片っ端から壊そうと思ったがケータに止められた。

 ただでさえ、見づらい屋内で壊れた罠が散乱していたら身動きが取れなくなる。


 さて、どうしたものか。


 話しをしながら様子を見ていると人影が現れた。

 ただし、それは人の姿をした『()()()()()()()』であった。


「ようこそいらっしゃいました。歓迎いたします」


 そこに現れた人影は完全に日本人の顔立ちをしている悪趣味な人形。

 セーラー服が改造されてメイド服になっているおかしな衣装を(まと)っている。


──魔法攻撃の兆候あり! 対魔法防御網展開! 同時にこちらから仕掛けます!


 各属性の魔法だけでなくかなりの打撃にも耐える、目に見えない防御ネットが空中に広がる。

 透明なので普通は認識できないが、ケータには展開範囲を把握させるイメージがリレイアから送られているので、空中に魔法陣とそれに連なる網状の広がりが認識できる。


 同時に人形達には、リレイアの杖からオレンジ色の炎が浴びせられた。

 人形は魔法攻撃を放つため、目や口、指先などが一瞬光ったものの、いづれも不発に終わり、倒れ伏していた。

 リレイアが放った異常に高温な炎により人形は一気に燃え上がり、肉が焼け焦げるイヤな匂いがした。


──人形に見えたが何かが人に憑依したものだったのか?

──いえ、有機物ではありましたが人間でも動物でもありません。おそらくホムンクルス人形でしょう。


 ケータは顔を(しか)める。

 そのホムンクルスは中途半端に人間臭い、所謂(いわゆる)『不気味の谷』に属する奇怪さを持っていた。


──この仕掛けを考えたのは日本からの転生者で間違いないですわ。ケータが日本人であることもおそらく(つか)んでいるでしょう。それを十分意識した嫌がらせだと思いますの。


 未だエントランスホールから一歩も進めていない。

 壁には豪華な美人画があるがどうにも気色悪い。

 西洋のドレス姿なのだが、顔がどう見ても日本人なのだ。


 このままだと進みにくいと感じたケータは言った。

 

──クリスクロスにはあー言ったけど、やはりこれでは動きが取れない。せめて、この屋敷の罠を片っ端から解除できないか?

──うーん、全部は厳しいですね。意図が理解できないものが多いのと複雑な魔法が絡み合ったものがありますの。とりあえず、安全性の確認の取れた見える範囲と玄関から20m四方の罠を解除します。


 リレイアが杖を振ると、玄関ホールから見える床や壁からカチャカチャと音がし始めた。

 それら全てが機械的な罠が解除された音だ。


──今のは?

──見える範囲の罠だけは全部解除しました。また、ドアに仕掛けてある毒についても対処済みですわ。

──けどよ。みんな子供騙しじゃねーか?

──それが、逆に不気味です。


 また、ドアの取手や床のマットの色が変色しているのは、リレイアが毒を中和した結果だ。

 正面は不自然に暗かったが、今は奥の方まで見通せるようになっていた。

 これは暗闇の魔法の無効化だった。


 すると、あちこちから人形が出てきたが、それら全てが日本人の顔を持つ女性の姿だった。

 それと服装も。この異世界ではあきらかに違和感がある

 OL風の服。最初とは異なるセーラー服。ブレザーなど。

 その中に昔の同級生に似た顔や、知り合いに似た顔がいる。

 いずれもチラッと顔を見せると隠れてしまう。


──なんか、ジロジロ見られているみたいで気持ち悪いぞ。

──そうですわね。今更こちらを見たからといって何かできるとは思えません。それに探っている感じはありますが『見る』のとは違う意図を感じます。いずれも攻撃能力があるので気を抜けませんが、先ほどと異なり、攻撃意図は見られません。


 それから僕は屋敷を歩き回り幾つもの部屋を開けた。

 その都度部屋の仕掛けに攻撃されたが、全てはリレイアに察知され無効化または撃退された。


 そしてしばらく進むと大きな扉があった。


──人の気配がしますわ! 敵です! しかもかなりの手練れですわ。お気をつけください。


 わかった。ドアを開けるぞ。


 ガチャ。

 その瞬間、空間に音にならない波動が張り詰めた。猛然と男が刀を手に斬りかかってきた。


「チェストォォーーー! あの世に行くが良い!」


──避けてください! この部屋の中では防御が効きませんわ! 魔法が全部無効化されます!


 ケータは、リレイアの声に用意していた魔法をすぐさまキャンセルして逃げようとした。

 だが、間に合わない。


 しかし、斬られると思った瞬間、空間が光ボロボロと崩れ、刀は弾き返された。


 全ての魔法防御は無効化されていたが、リレイアが張っていた未来技術による物理防御はギリギリでその役目を果たした。

 その隙にケータは床に転がり距離を取る。

 男はケータが入ってきたドアを背に立っていた。


 凄まじい剣技を持つこの男が ”斬鬼” である。


「ほう。この刀を弾いたか。面白い術を使うな。この部屋では魔法は使えないはずなのだが」


──ダメだ! おいらの魔法防御も効かない!

──私の全属性対応の対魔法防御膜は一撃で破られましたわ。魔法抵抗力が意味を成しません。刀が届かなかったのは、防御膜の組成が56世期のものであったからにすぎません。この部屋では魔法が一切使えないので、物理防御に頼らざろう得ません。


 リレイアもクリスクロスも焦っているようだ。


 どうするか? 

 対魔法の防御が使えないと厳しい。

 とてもじゃないが、ケータの腕ではこの男と斬り合うのは無理だ。


──守れなければ攻めればいいのですわ。お任せを。


 リレイアは意を決して、そう言った。

 攻撃用のボットを空中に数十個浮かべる。


「ほう、何か知らんが……」


 防御を固め様子を見たが、リレイアにはそれで十分だった。

 ”斬鬼” は唯一のチャンスを失ったのだった。


 リレイアは杖を振った。


 右へ左へとボットは高速で展開し残像がブレ始める。

 空中には亜空間が開いた時の歪みが多数現れ、物凄い数の攻撃が ”斬鬼” に集中する。


「クッ……」


 ”斬鬼” は早過ぎて認識できないボットの攻撃によく耐えた。

 魔法を使わずに純粋に文明の力で生み出した攻撃である。

 しかも一発一発が多彩でかつ、重い一撃だ。

 青い炎の攻撃は3,000℃以上あったし、氷雪の風も-70℃以下だったであろう。


 弾幕は壁に穴を開けても止まらず、この広間に辿り着くまでの全ての部屋を貫通していた。


 ケータたちは勝った。


「負けか。何の力かをわからぬが……大したもんだ……な……」


 男は最後にそう言い残して死んだ。

 だが、リレイアは不満……というより不安な顔をしている。


──何か底知れないものを感じて過剰な攻撃をしてしまいましたの。しかし、結果から見るとそうとも言えなかったようですわ。


 凄まじい攻撃だった。

 生身の人間が捌くことができる威力ではなかっはずだ。


 実際、男は負け、死んだ。

 死体は確かにボロボロだが、それでも人の姿を残していた。

 おまけに最後には言葉まで発している。


──強敵でしたわ……。


 一見、一方的に敵を圧倒した攻撃ではあるが、リレイアは魔法が効かないこの空間で自分の攻撃の結果がこんな程度で済んだのか分からなかった。

 本当なら人間などチリも残さず、消え失せたはずなのだ。


 リレイアは次の部屋をスキャンしているが、想定外の状況に慎重に成らざるを得ない。

 もう、逆探知されるリスクには目を瞑りとにかく安全策を取る。

 相手の能力が掴めない以上、ケータの守りを万全にするには情報が必要だ。

 

 そして、次の部屋にも男が一人いる。

 

 どうする?

 僕がドアを開けようか?


──いえ、今度はわかりますの。隣の部屋の男の意図が。

──ああ、今度のはおいらもわかる。魔法の力押しだな。

──はい。しかし、この男のやり方だと面倒ですね。こういう建物の中では脅威になります。


 ケータはリレイアやクリスクロスが言っていることがわからない。


──どう言うことだい?

──建物を丸ごと吹っ飛ばすようなつもりのようですわ。ドアの開け方で方法を選択するつもりのようです。単純に建物全体を巻き込むように爆破するか、地面を全部溶かしてできた溶岩の穴に落とすか。柱ごと切り刻む風の魔法で周りにあった人形も部屋にある全ての罠もスライスし尽くすか。そんなところでしょうか。


 大規模な魔法攻撃を仕掛けてくるらしい。

 しかし、それだと疑問が残る。


──そんな魔法を唱えて味方まで巻き込むんじゃないか?

──気にしてないんじゃねーか?


 クリスクロスが答えた。

 ケータはそんなヤツを相手にどうすればいいかわからない。


──どうやって対処するんだ?

──普通にこの屋敷の構造に頼ったのでは防げませんわ。この部屋と隣の部屋だけを擬似空間化します。借りた部屋に組み込んだ亜空間拡張領域の応用ですわ。


 どうせなら、建物全体を守った方がいいんじゃないか?

 証拠とか消されないように。


──残念ながら全部屋の探索ができていないのでそれは無理ですの。隣の部屋を守るのは、ケータの言うように証拠を拾うためですが、この部屋に関してはコピーして二重化します。


 それで?


──ケータはその亜空間拡張によってコピーされた部屋に一旦退避です。元の本物の部屋には、もったいないですけどボットを残します。ケータの姿をした囮として使い、隣の部屋のドアを開けさせますの。


 わかった。


 それから僕は本当の部屋で、僕の姿をしたボットが隣の部屋を開けるのをみた。


 ゴォォォォ、ズガァァァーン


 その瞬間、ドアも壁も天井も撓み、猛烈の勢いで吹き飛ばされると爆炎に包まれた。

 吹っ飛んだのは、ドアのこちらと向こうのふた部屋。

 建物全体には影響がないようだ。


 モニターのために部屋に残したボットは壊れて動かなくなっている。

 解像度は落ちるが、リレイアはナノマシンを少量散布した。


──敵がいます。とりあえず、この規模の魔法はすぐに打てないはずです。まだ、通常空間に復帰するのは危ないようです。こちらも人形を使いましょう。


 ケータにそっくりの人形が通常空間に現れた。

 ケータたちは、亜空間に残ったままその人形からもたらされる情報をモニターしている。


「アレェェェェ? どうしたよぉ。建物もまだ残ってるじゃねーか。てっきり天井まで吹っ飛ばして青空を拝めるつもりだったのによー」


 そう言った男は、爆炎の中で自分だけが保護される青い魔法結界の中にいた。


「おい! くたばっちゃいねーんだろ? その木偶人形は囮だろうによぉ。……最も木偶人形は、最初っからこの屋敷の中にゴマンといるんだけどな。ケケケケケケッ」


 ケータたちを吹き飛ばそうとしたその男、“凶魔” という。


 ◇


 遡ること30分ほど前。


 ケータがこのうたた寝の迷宮(スヌーズ・ラビリンス)に着いた頃、この家の地下の部屋にはジョアン・ザーグがいた。

 屋敷内の人形の目を使って、監視を開始していた。


 それからわずか10分後、”斬鬼” がやられた。


「あの冒険者の小僧。只者じゃないな。カリオンの旦那が ”斬鬼”を呼んだと聞いた時は楽勝だと思ったもんだが……」


 さらに10分後、建物が震えるほどの大爆発音がした。

 監視を続けていた人形が数体やられたが、何が起きたかはわかっていた。


「“凶魔” の野郎! 建物ごと吹っ飛ばすつもりだったのか! 危うく巻き込まれるところだ。

 それにしては、被害が……また、あの小僧か! 今のうちに移動するか」


 そこで、ジョアンは地下から秘密のルートで二階に上がった。

 このルートは玄関から入った時には、決してたどり着けないようになっている。


 二階に移ったとしても建物ごと吹っ飛ばされるなら安全とは言えないが、カリオンから指示されていたのである。

 “凶魔” がやられるようなことがあったら、二階の部屋に用意してある装置のボタンを押せ、と。


 ◇


 “凶魔” は、今度は冷気の魔法を使うことにしたらしい。


「オールト・フリーズ」


 そう、唱えると部屋は極寒の白い氷で包まれた。

 全てが凍りつきあらゆるものが壊れた。


 冷気どころじゃなかった。『オールト』とはコモンの世界の言葉だ。

 しかも太陽系の外郭にある極寒の小惑星・岩石帯『オールトの雲』を概念の原点に持つ。


 魔法は魔素の働きにより様々な能力を発揮するが、その威力の拡大にはイメージを必要とする。


 この恐ろしい魔法オールト・フリーズは、本当なら、-220℃の極冷凍空間となるはずだった。


 だが、アルファニア世界の住人である “凶魔” にはそこまでのイメージは固められなかったらしい。

 しかしそれでも部屋の全てのものが凍てつく状態にあって、部屋の温度は-150℃にまで下がっていた。


 その凍てついたものの中には、“凶魔” 本人も含まれている。


──あの男、死んじまっているみたいだぜ。自爆かよ、ダッセ!


 クリスクロスはそう吐き捨てた。


 うーん、そうなのかなあ? 

 あそこで自爆するとは思わなかったんだけど。


 ケータは納得いかないようにそう言った。

 リレイアはこの空間を解凍し、正常な気温まで戻しながらそれに答える。


──この魔法使いはおそらく嵌められたんですわ。この世界の人間が太陽系の外郭構造である『オールトの雲』を知るはずがありませんから。転生者にどのくらい危険を知らさせずに極冷のイメージを吹き込まれてそれを魔法化して使用したと思われますの。


 それでか!

 自爆するタイプには見えなかったからなあ。

 本人は自前の魔法で寒さに対抗できると踏んでいたがあえなく、と……この裏に潜んでいるヤツは本当に極悪なヤツだなあ。


 “凶魔” は死んだ。

 自らの魔法の威力を知らずに。

 本人が制御できない程の魔法がなぜ発動したか?

 それは、魔法の威力に影響をもたらすものとして魔力と魔素についての配分と組み合わせの知識、それとイメージが重要だからである。


 “凶魔” は力を欲する魔法師だった。

 カリオンはそれに付け込み、アルファニア世界にはない知識を与えたのだ。

 限りなく冷たいイメージ。

 惑星の公転軌道が太陽から離れれば離れるほど寒いという事実。

 それは北極や南極といった寒さとは比べ物にならないという知識。


 それを順番に深くイメージできるように教え込んだ。

 その容赦なさは、“凶魔” が魔法を完成する時に『本人の保護が蔑ろになる』程に集中することが必要と思わせることに成功する。


──そ、そこまでなのか? 『マイナス200ドシー』ってのがどんだけ凄いかわかんねーけど。おいらでも防ぎ切れねーのか?

──ええ、無理ですね。おそらく、あの魔法の実行後では、あまりの寒さに魔素も影響を受けてほとんどの魔法が発動しません。

──おっかねぇなあ。


 クリスクロスはちょっと怖気付いたようだ。

 リレイアも相変わらず周りを極端に気にしていた。


 その後、リレイアは部屋の温度が常温になったのを確認すると、亜空間拡張によって二重化された部屋を元に戻した。

 本当はケータを安全なところに退避したまま進めたかったところだが、無理が(たた)り異在力の変換で一部エラーが出て居たらしい。


──ああっ、制限を受けているのが忌々(いまいま)しいですわ。異在力(いざいりょく)の変換に負荷がかかるようですの。うまく戦えないばかりでなく、ケータを危険に(さら)してしまうのは……

──仕方ねーだろ。今の制限だって、アルーダ様に無理言って『まちこーば』より随分と制限を(ゆる)くしてやってるんだぜ?

──それはそーですけど……


 そんなやりとりの中でケータ達には少しだけ油断があった。

 二重化を解除しなければならなかったのだから、それだけ警戒レベルを上げるべきだったのだ。

 二階で監視を続けていたジョアンは常温になって人形による監視が復活して “凶魔” の死を知った。

 ジョアンは用意された最後のスイッチを押した。


 ケータをピンポイントで狙った最後の罠が作動し始めた。


 3人の手練れのうち、2人までは倒しました。

 特に “凶魔” はカリオンに入れ知恵をされ、ケータもろとも魔法で葬るための捨て駒として使われました。


 それを防いだリレイアですが、最後の1人はさらに油断ならない相手。

 ケータたちは窮地に追い込まれます。


次回は、『30話 犯人の待つ屋敷で危機を迎えれば』 7/19投稿予定です。

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