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15話 新たな仲間が増えたなら

15話です。

仲間が増えます。

 異世界に放り出され、この世界の神に会った。

 その神も帰り、もうすでに夕方。

 どうしようか、これから。


「コクーンを出します」


 リレイアはそう言って大きな球体を亜空間から取り出した。

 地面に設置する際に、四角く変形して部屋になった。

 何のことはない。

 56世期で使っていた空中住宅じゃないか。


「違いますわ。見た目は同じように見えるかも知れませんが、これはサポート機能がほとんどありませんの。かなり丈夫ですが自分で動くことも周辺の察知も自動アップデートもできません。……まあ、異世界に来てしまったので金輪際(こんりんざい)アップデートなんてできないですけどね」


「そうなんだ。でもこの部屋で今晩はしのげるんだろう?」


 そこでリレイアは首を(かし)げる。


「うーん……大丈夫ですわ。先ほどのアルーダ様の知識の中からこの辺の生態系を確認しましたが、脅威(きょうい)となる動植物はありませんわ」

「何もしなくていいの?」

「いえ、流石にそれはダメですの。危険な魔獣はいないようなのですが、大型獣はちらほら10km四方に見つかっています。もし、突進してきた場合、この住居自体は無傷ですが、体当たりされるとガタガタ振動が伝わるでしょう。五月蝿(うるさ)くておちおち寝てもいられませんもの。力場を設けて、音の遮断と圧力を受け止めるようにしますわ」


 バリアみたいなもんだろうか、と考えていたら。


「はい。その認識でだいたいOKですわ」


 と帰ってきた。

 心の中読むなよ。


「……ほどほどにします。これからは呼びかけがあるものだけを念話として取り込むように致しますわ」

「何か……そうですね……それでお願いします」


 うーん、トホホな感じだ。


 その日は結局、何事もなくその草原に設置したコクーンという名の未来部屋で過ごした。

 食事もコモンの未来で食べたのと同じように、僕の好みの物を出してくれた。


 そして翌日。

 また、神アルーダが現れた。


「おはよう。ケータにリレイア。……やはりこういうものがあるのか……」


 コクーンを見てそう言った。

 僕とリレイアはなんだ? と思っていると。


「リレイアよ。お主の力は制限させてもらわねばならぬ」


 それから神アルーダは、あまりにもリレイアの持つ力が強大すぎるから神の力で制限するという話をした。

 当然といえば当然である。

 リレイアの持つ異在力の管理AIサーバとしての力は健在である。

 亜空間も扱うことができる。

 全力で解放すれば星の二つや三つ、吹き飛ばすこともできるのだ。


「お話はわかりますが、どれ位まで制限されるんでしょうか?」

「そうさな」


 そこでアルーダが語った制限をかけるとリレイアの出力は、せいぜい小型ジェット機ぐらいになるらしい。


「そんな……もし制限されてケータを守ることができなかったら私……決して悪用はしませんので、制限は免除して欲しいです」

「お主が悪用するつもりがないのはわかっておる。だが、もしケータに危機が迫ったとき、力を抑えられるか? この世界を歪ませない範囲でのみ行使すると誓えるか?」

「……できません」


 アルーダはため息をついた。すると。


「そいつを制限しても意味ねーよ」


 突然、妖精が現れた。

 髪の毛は青。

 衣装は緑。

 リレイアがティンカーベルならこちらはピーターパンか。色合い的に。

 身長は同じくらいだが。


「これっ! ワシが紹介するまで出てくるなと言ったであろう」

「だって本当に意味がないじゃないか。そいつはいずれコモンの未来知識とやらで、すごいでかい力を持つ機械を作っちまう。そいつ自身を制限したとしても無駄だよ!」


 リレイアは汗をかいていた。

 バレたかという顔をしている。


「そうじゃな。リレイアの出力制限をどうするかについて議論するのは意味がない。リレイアが高出力を出さずとも、その技術で高出力な攻撃能力を持つ機械を作れば同じことだ。二時的、三時的な製作物の出力を制限するのは容易ではないし、それを制限することでケータが害されては困る」


 そこでアルーダは、その新たな妖精を僕とリレイアの前に招くと


「そこでじゃ。状況に応じて適切な制限を課す者をお主らに付ける。名はクリスクロス。準天使じゃ。これからリレイアの制限はこやつが行う」

「そんな……わたくし、信用できませんわ。先程からの物言いと言い、態度と言い……」


 リレイアは怒っている。

 僕は態度もだけどどれくらい制限されるかの方が気になる。


「あのぅ。クリスクロスさん?」

「おう。呼び捨てでかまわねぇぜ。さん付けなんて気持ち悪いからな」

「じゃあ、クリスクロス。どれくらいまでリレイアを制限するつもりなんだ?」

「そうだなあ」


 それから語った数値を聞いた途端、リレイアがキレた。


「ジョォオオオダンじゃありませんわ! ケータの住んでいた21世紀の町工場じゃないんですのよ!」

「いいや、それぐらいにしないとお前のことだ。単なるパワーだけじゃなくてとんでもないものを作りそうだからな」

「それではもしもの時にケータを守り切れません!」


 確かに魔法の脅威がどれほどのものかわかっていない。

 安全のマージンを取りたいリレイアの考えていることはわかる。

 だが、それにはアルーダが答えた。


「そうじゃのう。気持ちはわかるが、こやつの言っていることも尤もじゃ。魔獣や魔物、人族の使う魔法についてもう少しわかるまでは制限を緩くしよう。じゃが、リレイア。お主が魔法に作用できるようになれば、おそらくこやつの言ったレベルの制限でも十分やっていけるじゃろう」

「アルーダ様がそうおっしゃるなら……」


 リレイアは渋々承知したようだ。

 だが、クリスクロスが首を傾げている。


「制限が変わるのはわかったけど、おいらどこでそれを切り替えればいいんだ?」

「それじゃが、ワシが受け持つ。クリスクロスとはしばらく感応状態を維持しておくでな。ケータたちの世界で言う『リアルタイム』で制限をかける。急に変わっても困るじゃろうから、事前に通知もしよう」

「「わかりました」」


 僕とリレイアはそう言って頭を下げた。

 まあ、神様が判定してくれるなら大丈夫だろう。


「おー、そうじゃ。もし、魔法で困ったことがあればこやつに頼めば良い。こやつは魔法も一通り使えるし、魔力も上級レベルじゃ」

「えー! おいら、こいつらのために魔法まで使うのかよー」

「お主が使わねば、リレイアの力を解放するしかなくなる。そうなったら、お主は準天使から格下げになるぞ」


 クリスクロスは困った顔で首を振った。


「それはイヤだー!……わかったよ。魔法の防御はおいらがやってやるよ」


 実力が分からないが、まあ、大丈夫なのだろう。


「最後に道具についてなのじゃが……」


 それから、アルーダはコモンの未来技術に関しても制限すると言ってきた。

 僕らにとって痛かったのは、このコクーンの住居が使えなくなったことだ。


 従って、住むためには木を切り小屋を建てなければならない。

 まあ、それはリレイアの能力を持ってすれば簡単である。

 だが、今後リレイアの力の制限がキツくなると心もとない。


「アルーダ様。リレイアの力ですけれど、安全な物についてはもう少し緩めてもらえませんか?」


 僕は少しだけ主神アルーダ様に頼み込んだ。

 するとクリスクロスが突っ込んできた。


「お前! アルーダ様に厚かましいぞ!」

「控えよ! クリスクロス! ……そうじゃな。ケータよ。亜空間については、その使用を許そう。高度の未来技術を使用した装置。特に大出力の武器は困るが生活のためならば良い。先ほどの住居についても、内部に亜空間技術を使って構わん。だが……」

「だが?」


 アルーダはニヤッと笑う。


「バレないようにな。他の転生者に知れると困るでの」

「「わかりました」」


 アルーダが帰った後、僕とリレイアとクリスクロスが残された。


「仕方ねぇ、おいらがついていてやるよ!」

「とんでもございませんわ! こちらが置いて差し上げるのです! 感謝なさい!」


 うーん、この妖精コンビは仲が悪いらしい。


「おーい、リレイア。コクーンが使えないなら、何か用意しないと今日寝るところがないよ」

「そうでしたわね。とはいえ、外観だけ取り繕えば大丈夫です」


 それから、リレイアは小型産業用ロボットをたくさん亜空間から取り出した。


「なっ! なんだこいつらは!」


 クリスクロスは血相を変えて詰め寄ってきた。


「木を切るボットを出しただけです」


 そして、20分後には丸太を60本ばかり抱えて帰ってきた。


「おま、おま、お前! この短時間ででっけぇ丸太を60本も!」


 クリスクロスは驚いているが、リレイアは意に介さない。


「これで小屋を作りますの」


 僕は別のことが気になる。


「狭くない?」

「大丈夫ですわ。狭いのは見た目だけです」


 おー、そうだった。

 中は亜空間処理できるからゆったりできる。


 結局、5m四方の丸太小屋を作るのに1時間。

 出来た小屋に昨日と同じ大型動物用の力場を設定した。

 その後、周辺にナノマシンをばら撒いた。

 非常に小さいそれは、まるで砂が空中に溶けるように広がっていく。


「これでとりあえず安心できますわ」


 そういうリレイアをクリスクロスが(いぶか)しげに見ている。


「お前! 何やった!?」

「レーダーがわりにナノマシンを散布しただけですわ」


 クリスクロスは何が起きているのかわからず、周りを見回す。


「???……わかるように話せ!」

「周辺を調査しているだけですわ。まだ私もケータも魔法が使えませんの。もしもの時のための備えです」

「やっぱりコイツの機能制限しなくていいのかなあ?」


 クリスクロスは不安げだが、しばらくは神アルーダと感応状態にあるはずだ。

 まずければ、知らせてくるだろう。

 僕はクリスクロスの方を向いて言った。


「クリスクロス。よろしく頼むよ。魔法が使えない間、助けてくれるんだろ!」

「ああ、あんなとんでもない機械をたくさん出されちゃたまんないからな。今、アルーダ様からも今後はパワーだけでなく機能も制限すると言ってきてる」


 それは困る。


「あれがないと何も作れないから困るんだけどなあ。散布したナノマシンは精巧だけどパワーはないから」

「あー、だから早く魔法を使えるようになれ。そっちのリレイア? だっけ? お前も魔力を操れる方法があるらしいから、それで力を出すのなら許すとアルーダ様も言ってる」

「でも、リレイアが木を倒すのに使ったあれ、パワーは大したことはないよ?」

「力の大きさじゃねーよ。あの大きさの機械を山ほど出されちゃ、目立ってしょうがないんだよ」


 なるほどね。

 21世紀のならともかく、56世期の機械が転生者に見つかったらまずいだろうな。


「わかったよ。しばらくは目立たないようにしなくちゃいけない。魔法に慣れるまではクリスクロス頼みになるな」

「任せとけよ。魔獣からも魔法使いからもしっかり守ってやっからよ」


 どうなることかと思ったが、このクリスクロスという新しい仲間とは意外にうまくやれるかも。


口の悪いクリスクロスが仲間になりました。

次回から異世界での修行が始まります。


次回は、『16話 未来のAIが悩んでみれば』 5/31投稿予定です。

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