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シマダ商会最高戦力

 

「ふぉっふぉっふぉ。

 コウタロウ様のあのひと声は闘志をみなぎらせてくれますなあ」


「ふふふ、そうですね。

 私も魔力の高まりを感じます。

 ちゃんとそれぞれ見せ場を作りませんとね。

 段取りはどうしましょうか?」


「ふむ。

 では、それぞれ一撃ずつでどうですかな?

 私が合図を送りますのでそれに合わせる形で。

 フィニッシュはお譲りしますぞ」


「了解です。

 さて、どの魔術でいきましょうか。

 サリナちゃんは確か雷の魔術の適正がありましたね。

 でしたら、あの魔法にしましょう」


「我々がこうして肩を並べて戦うのも懐かしいですな。

 派手なのを期待しておりますぞ」


 なんとも生き生きとしたいい顔してる二人である。


 戦いに身を置く戦闘者というものは皆こんな感じなのだろうか?


 エマさんはともかくドラファルさんもだいぶいい歳してるんだからもっと落ち着いててもいいと思うんだけど。


 それに派手な攻撃は困るなあ。


 エマさんの魔法は一撃で城を容易く破壊できる威力があるし。


 さすがに抑えてくれるとは思うけど、衝撃に備えてもう二、三歩後ろに下がることにする。


 よだれと毒液が混じったようなものを地面に垂らしながら二人に向き直るブラッディーヴァイパー。


 シャアーッと先ほどより強い威嚇を放つ。


 エサ風情が手間をかけさせるなと怒っているかのようだ。


 遥かに強いであろう二人を前にしてまったく怯まない様子を見るに、この地では本当に敵なしだったことが窺える。


「では、おひらきにしましょうかの。

 次の攻撃に私が対応しましょう。

 エマ殿、準備はいいですかな?」


「はい、いつでも」


 果敢に飛びかかるブラッディーヴァイパー。


 先ほどより速く、強く、鋭い。


 ダンプカーが新幹線並みの速度で突っ込んでくるような感じだ。


 あの巨体にあんなスピードで襲い掛かられたら、大抵の生き物は走馬灯を見る暇もなく胃袋行きだろう。


 巨大な砲弾と化したブラッディーヴァイパーをドラファルさんはその場を動くことなくただシンプルに蹴り上げる。


 力士のぶちかましを千倍濃厚にしたような凄まじい音がして、ブラッディーヴァイパーは天高く宙には跳ね上げられた。


 頭上を覆う分厚い木々のカーテンをごりごりぶち抜きながら上昇していき、やがて爽やかな青空の下に晒される。


「エマ殿、あとはご随意に」


「ありがとうございます、ドラファル翁。

 では……」


 エマさんが杖で地面をコンと叩くと、空に複雑難解且つ巨大な魔法陣が展開される。


 いつ見てもなんとも幻想的な光景だ。


 異世界にきてドラゴンやら奇妙な植物やら色々と見てきたけど、一番ファンタジーを感じてしまうのはこの魔法陣展開の光景かもしれない。


 俺ももっと勉強すれば魔法が使えるようになったのかもしれないけど、最初は生きるだけで精一杯だったし、衣食住に困らなくなってからは商会の仕事で忙しかったからなあ。


 憧れはするものの、もう今更勉強する気にはちょっとなれない。


 せっかく異世界にきたのに魔法を覚えないのはなんだかもったいない気がしなくもないけど……まあ、いいか。


 たぶんセンスがないのではという確信に近い直感があるのだ。


 商会にはエマさんを筆頭にお抱えの魔導士が多々いるし、魔法が必要な場面では彼らに任せるとしよう。


「大いなるマナに宿いし雷の根源よ。

 我が意思と共鳴し、雷の龍となりて顕現し敵を滅ぼせ。

 汝の名はフルゴラ。

 雷魔法フルゴラフォール」


 エマさんの詠唱が終わると、白い閃光の後に落雷を思わせるような轟音が大気を劈く。


 展開された魔法陣から龍の姿をした巨大な稲妻が現れ、空中で無様にもがくだけのブラッディーヴァイパー目掛けて降り注がれた。


 ああ……素人目で見てもわかるオーバーキルだ。


 俺の側近がすまない。


 安らかに眠ってくれ。


 俺は一人静かに合掌し、南無南無と雷の中の蛇に黙祷を捧げる。


 土埃を上げて地面に落下したブラッディーヴァイパーは見るも無残に炭化していた。


「ふぉっふぉっふぉ。

 さすがはエマ殿。

 実に素晴らしい魔法でしたよ」


「ありがとうございます。

 でも、ちょっとやり過ぎてしまいましたね。

 これでは素材としての価値がなさそうです。

 コウタロウさん、どう報告しましょうか?」


「あはは。

 ま、まあ、脅威は去ったんだし放置でいいんじゃないかな。

 でも、ギルドへの報告は一応必要なんだっけ?

 君たちはどう思うかい?」


 こういう時は先輩冒険者に聞くに限ると思い視線を向けると、そこにはなんとも間抜け面で放心している狼の爪のメンバーがいるのであった。

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