38-1 志藤凛太郎の朝
本日より五章の更新です! お待たせしてしまい申し訳ありません……!
この俺、志藤凛太郎の朝は早い。
「ん……」
実家の自室で目覚めた俺は、伸びをしながらベッドを降りた。
そして自分のベッドやその周辺をチェック。
何故こんなことをするのかと問われれば、それはたまに寝ぼけたアイドルがベッドにもぐりこんでいることがあるからと答えざるを得ない。
特に乙咲玲とかいう寝坊助は、嘘かと疑いたくなるくらいとんでもない行動を取ることがある。
ベッドにもぐりこんでいることなんて日常茶飯事。
酷い時はめちゃくちゃ服が乱れていたり、俺に抱き着いていたりして、朝から俺の心臓をおかしくしようとしてくる。
男としてはラッキーくらいの感覚でいればいいのかもしれないけれど、相手が大人気アイドルともなると、どうしても恐ろしさの方が勝ってしまう。
主に週刊誌とか。
まあ家の中でそこまで気にする必要もないだろうけど、このじゃれ合いが当たり前のものになってしまった時、外で同じような行動を取ってしまう時が恐ろしい。
だから俺は常に警戒しながら生きる必要があるのだ。
「えっと……今日の献立は」
自室を出て洗顔と歯磨きを終えた俺は、キッチンに立つ。
やたらと性能のいい家電が揃ったこの場所は、俺にとってはまさに天国。
玲が揃えてくれた前のマンションのキッチンも不便はなかったが、ここと比べてしまうとわずかに劣ると言ったところか。
俺は冷蔵庫に貼ってある一週間分の献立表を眺めて、今日のメニューを確認する。
これはミルフィーユスターズを側で支えるために開発した独自のメニューたち。
栄養バランスなどを一から調べ、彼女たちの消費カロリー、スタイルキープにもっとも適した形に調整してある。
ちなみに独自のメニューと言いつつも、栄養バランス云々に関しては志藤グループの商品開発部にいる栄養士の力を借りている。
俺の選んだ献立が、俺の目的と一致しているかどうか確認してもらっているのだ。
間違っていたら指摘してもらって、アドバイス通りに直す。
大事な彼女たちの体を、素人の栄養管理で台無しにするわけにはいかない。
使えるものはなんでも使う。
たとえそれが親のすねであっても――――。
「目玉焼きとトースト……ハムにサラダ、後はヨーグルトと……」
冷蔵庫から必要な物を取り出し、朝食を作っていく。
現在この家には、俺を含めて四人の人間がいる。
乙咲玲、日鳥夏音、宇川美亜。
それぞれレイ、カノン、ミアという名称でアイドル活動をしている彼女たちは、野球部くらいよく食べる。
日々過酷なレッスンに対し、大量のカロリーが必要になっているようだ。
というわけで、朝食もびっくりするくらいの量を作らなければならない。
これまでは玲の分しか作っていなかったが、今はその三倍。
(ははっ、あいつらが国民的アイドルじゃなかったら、今頃破産だな)
頭の中でそんなことを思いながら、俺は一人で苦笑いを浮かべた。
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