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プロローグ
いつもと変わらない朝。いつもと変わらない景色。そんないつもと変わらない、なんてことない日常が今日も始まる。
でも、なぜだかその日常の中にほんの少しだけ喪失感が存在する。
その喪失感のせいか、いまだ夢の中にでも生きている感覚だ。
なぜ俺はこんな喪失感を感じているのか、全く心当たりはない。しかし、これだけはわかる。
――絶対に忘れるわけにはいかないと心に誓ったことがある。
それでも何を忘れているのか、俺にはわからない。
思い出そうとしても頭に靄がかかるような感覚に陥り、ついぼーっとしてしまう。
とりあえず気分をリフレッシュするために、顔を洗うことにし洗面所へ向かった。そしてそこにある鏡の中の自分と目を合わせると、涙が目からこぼれていた。