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03 思惑
勇者がいなくなった後、女神はにやりとほくそ笑んだ。
あれは愚かな勇者だった。
女神の手のひらで踊らされている事も知らず、滑稽に行動し続けている。
ルインツが勇者を裏切るように仕向けたのは、他ならぬ女神だった。
この女神こそが全ての黒幕だった。
魔王軍や人間達を操って互いに憎しみあわせて、殺させていたのだった。
女神の目的は、世界の滅亡。
生きとし生けるものの抹殺だった。
「愚かな人間! 愚かな勇者! そのままずっと私の手のひらの上で踊り続けるが良いわ!」
その女神は、女神の皮を被った何者かは、転生をはたした勇者の道化ぶりを想像して、いつまでも嗤い続けた。