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ディアモンとはクラスが違う。もちろん、ミアとも。

良かった。

同じクラスだとみんなが気を遣うだろうし、私も気まずい。

だから夢にも思わなかった。ミアが休み時間になる度に私の元へ来るなんて。

「セイレーン」

ミアは大きな声で私を呼ぶ。

無遠慮に近づいてきて彼女は悲しげな目を私に向けるのだ。

「どうしたら認めてくれるの?ミアとディアモンとのこと」

「認めるも何もその話は既に決着が着いてます。あなたは何をそんなに気にしているの?」

うんざりしていた。そのせいで突き放すような言い方になるのは仕方のないことだ。

するとミアは目に涙を溜めながらそれでも健気に訴える。

「うっ、うっ、くすん。分かっているの。たとえ相思相愛でなかったとしてもセイレーンとディアモンが婚約者同士で、ミアのせいであなたに酷いことをしたって。分かっているぅ」

ポロポロとミアの目から大粒の涙が流れる。

「でも、どうしても止められないの。この想いを。ミアはディアモンを愛してる」

「そうですか」

だから何?

ここでそんな宣言をすることに何の意味があるって言うの。

「仕方がないよな」

「俺たち獣人にとって番は理屈じゃないからな」

「二人が羨ましいよ」

獣人の生徒からはそんな声が聞こえた。

私たち人族には理解できない感覚の為、人族の貴族からは非難の目が向けられる。

気まずそうに視線を逸らすのは良識なく、ディアモンとミアを応援している獣人達だ。

「ミア、セイレーンにも認めてもらいたいの。ミアたちの関係を」

「必要ないかと」

「いいえ!必要よ。ミア、みんなに祝福してもらいたいの。その中にはもちろん、あなたも含まれているわ」

「ウェルツナー嬢!」

耐えかねたようにマリンが声を荒げる。

「先ほどから無礼がすぎますわよ。恥を知りなさい!」

「だぁれ?」

急に怒鳴り出したマリンにミアは驚きながら聞く。

マリンはミアを睨みつけながら名乗った。ミアは興味なさそうにどうでもいい返事を返す。

「関係ない人はぁ黙ってて欲しいかなぁ」

ぴくぴくとマリンの顔が引きつる。

「行きましょう、マリン」

「でも」

文句を言ってやらないと気が済まないとマリンは目で訴えてくる。でも、彼女は何を言っても無駄だと思う。

彼女の目的は私を貶めること。

獣人が番に抱く想いがどういうものか私には分からない。

「これ以上、関わり合いになりたくないの」

私の言葉にマリンは泣きそうな顔をした。私が傷ついていると彼女は解釈してしまったようだ。

そういうわけではない。ただ面倒なだけなので彼女には申し訳ないと思う。

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