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「君は運命の相手じゃない」と捨てられました。  作者: 音無砂月
第三章

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35

私は暫くルルーシュの邸で世話になることになった。

邸には継母と異母妹が毎日のように押しかけている。

「ふしだらな娘が迷惑をかけて申し訳ない」

「ルルーシュ様は私の婚約者なのにとるなんて、お姉様ひどいわ」

「躾けなおすから返してくれ」

などと言っているそうだ。

これ以上、迷惑をかけるわけにはいかないのですぐにお暇しようとしたのだけどルルーシュに止められた。

全ての令嬢が悲鳴を上げて失神するのではないかと思ってしまうぐらい美しい笑みだったけど有無を言わせない威圧感があった。

私は仕方なしにベッドの住人だ。

基本的に部屋から出ないし、出たとしてもルルーシュが命じているのかライラたちと鉢合わせになることはなかった。

「何だか寝てばかりね」

余程疲れていたのか、最近寝れていなかったのもあるけど睡眠と覚醒を繰り返して一日が終わる。

定期的に診に来る医者はそれでいいのだと言っていた。

体が休息を欲しているのだから逆らわず、従いなさいと。

「セイレーン、気分はどう?」

「ルルーシュ、お帰りなさい。寝てばかりで体が鈍りそうよ」

ルルーシュは制服を着たままだった。

学校から帰ってきてそのまま私の所に来たのだろう。ルルーシュの手が私の頭を撫でる。

優しくて気持ちのいい手だ。とても安心する。

「先生から許可が下りたら庭の散歩をしようか。もう少ししたら静かにもなるし」

「静かに?」

意味が分らず首を傾げるけどルルーシュは「何でもない」と言って私の額にキスをした。

「好きだよ、セイレーン」

「っ」

恥ずかしくて私は布団を上に引き上げて顔を隠す。そんな私を見てルルーシュはくすくすと笑う。



◇◇◇


ルルーシュ視点


「ルルーシュ様」

部屋から出ると使用人が一人近づいて来た。

「証拠は出そろったの?」

「はい。いつでも片付けられます」

「そう。ああ、もう一つのゴミに関しては?」

「地下牢に捕えてあります。向かわれますか?」

「当然でしょ。セイレーンと同じ一つ屋根の下に泊まらせるわけないじゃん」

どいつもこいつも馬鹿ばかり。

セイレーンに手を出さなければくだらない価値観で築き上げた幸せの中で過ごすこともできた。そういう未来が奴らにはあった。

でもセイレーンに手を出した。

くだらない理由で。醜い嫉妬で。だから排除する。セイレーンの視界に入れることすらしたくない。

セイレーンを見るその目を抉って、潰してやろう。

彼女の名前を呼ぶのなら呼べないように喉を潰してしまおう。

「ああ、駄目だな。こんな醜い感情をセイレーンに悟られないようにしないと」

こつん、こつんと僕はゴミが入っている地下牢に下りて行く。

ひんやりとする空気が僕を包み、同時に体中を駆け巡っていた熱を下げてくれる。

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