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「君は運命の相手じゃない」と捨てられました。  作者: 音無砂月
第2章 ミア・ウェルツナー

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ダニエルはあの後、あのブス女と婚約破棄をしたらしい。

『らしい』というのは婚約破棄後、ダニエルは学校を退学させられて今はどこで何をしているか分からないからだ。

別れの挨拶ぐらいあってもいいと思うんだけどな。ミアたち友達なんだから。

ミアにはたくさんのお友達がいる。

でもどうしてだろう。男の子と親しくなればなるほど、女の子の友達は減っていった。

あっそっか。きっとみんな可愛いミアに嫉妬しているのね。本当、可愛いって罪よね。

でもどんなに親しくなってもミアの中で一番はディアモン。

じゃあ、どうして他のお友達と仲良くするかというとね。

「ミア、隣のクラスのコットン殿と親しいそうだね」

不機嫌顔のディアモンが来た。

ディアモンが嫉妬してくれる。それが嬉しくて止められないの。愛されてるって感じるの。

「なぁに、ディアモン。もしかして妬いてるの?ただのお友達よ」

ミアはそう言ってディアモンの首に両腕を巻きつけ、キスをしようとする。すると、ディアモンがミアのキスを避けた。

周りの目があるから恥ずかしかったのかな?照れて可愛い。

「君には一体何人の男友達がいるんだい?友人関係を築くなとは言わないけど、適切な距離を保つべきだ」

「安心して、ディアモン。ミアにはディアモンだけだから」

そう言うとディアモンがため息をついた。疲れてもいるようだ。セイレーンとの婚約破棄の手続きにミアとの婚約手続きと、いろいろ忙しかったからね。

こういう時こそ、婚約者として労ってあげないと。

「苦情が来ているんだ。君のお友達の婚約者たちから」

「きっとミアを虐めている子たちね。みんな酷いのよ。ミアの悪口ばかり」

「君に問題があるからだろ」

「え?」

どうしてそんなこと言うの。

ミアが愛しているのはディアモンだけだよ。お友達と親しくしているのはディアモンに嫉妬して欲しいからだよ。もしかして、やりすぎちゃったのかな?だからディアモン、怒っちゃったのかな?

「ディアモン、勘違いさせちゃってごめんなさい。ミアが愛しているのはディアモンだけよ。本当よ。信じて」

ミアが必死に訴えるとディアモンはまた疲れたような深いため息を一つつく。

「そういうことを言っているんじゃないよ」

「?」

ディアモンが何に怒っているか分からない。

ミアが男の友達と親しくし過ぎて、ディアモンに予想以上のダメージを与えてしまったから謝ったんだけど。

あれ?

嫉妬に狂って怒っているんじゃないの?

どういう意味かとディアモンに聞こうと顔を上げると、ディアモンの視線が僅かに逸れていることに気づいた。

ディアモンの視線を追うとそこにはセイレーンがいた。

「っ」

何で。どうしてディアモンはセイレーンを見ているの?

いつもそう。気づけばディアモンはセイレーンばかり見ている。ミアが気づいていないと思っているの。

あの女狐。きっとミアのディアモンにまだ未練があって色目を使っているんだわ。最低。

思い知らせてやるんだから。

ミアは侯爵夫人(まだ結婚してないけど)。あんたはただの伯爵令嬢。ミアの方が上なのよ。

身分っていうものをもう一度教えてあげるわ。

あんたはミアに見下されるべき存在なのよ。


◇◇◇


今までのことが走馬灯のように駆け巡った。刹那、ここがどこで自分がどういう状況なのか忘れることができた。


いたい。いたい。いたいよぉ、ディアモン。

「・・・・して」

目から涙が零れた涙を拭ってくれるものはいない。

ここは深い森の中。

ミアに群がる獣たちがミアを喰っていく。

ミアの肉体を、魂を喰っていく。

どうしてミアがこんな目に遭わないといけないの。

本来なら、あいつが、セイレーンがこうなるはずなのに。こうならなきゃいけないのに。ミアの婚約者の心を奪う醜い女。誰かあいつに天罰を下してよ。

「・・・・ィアモン。いたいよ。いたいよぉ。たすけてよぉ。ディアモン」

どんなに呼んでも彼がミアの所に来てくれないのは分かっている。本当は分かっていた。だってディアモンはいつもセイレーンを見ている。ミアじゃなくてセイレーンを。

どうして?

ディアモンの運命の相手はミアなのに。

あの女はディアモンに『運命の相手じゃない』って言われて捨てられたのに。捨てられたのはあの女のはずなのに。

まるでミアがディアモンに捨てられたみたい。

違うのに。そんなはずないのに。

ああ、でもディアモンは学校を飛び出したミアを追いかけてはくれなかった。



ミアはディアモンの『番』だったけど『運命の相手』じゃなかったんだね。



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