いざ、姫の館へ
「やだ。絶対やだ!!」
「そんな。俺、もう親に言っちゃったんだもん。」
ある日曜日。俺は進藤さんが住んでるアパートの彼女の部屋の前に来ていた。どうしているかというと、俺は進藤さんに近づきたくて進藤さんと一緒に暮らそうと決めたのだ。両親には、一人暮らしがしたいから友達の家に住むと言って即OKをもらい、早速荷物を揃えて彼女の家に向かった。しかし、
「あんたと住むなんてまっぴらごめんだよ。」
進藤さんはドアの前で仁王立ちして通せんぼする。
「頼むよ進藤さん。俺、家事とか洗濯とかはできないけど、進藤さんの邪魔だけはしないからさ。頼む!!」
俺はなんとか一緒に住もうとその場で土下座までした。すると、俺の行動に観念したのか、進藤さんは言った。
「わかったよ。そこまで言うならいいよ。」
こうして、俺はなんとか許可をもらい、進藤さんと一緒に住むことができた。
次の日。俺と進藤さんは朝ごはんを食べ終わると、直ぐ様学びの部屋に向かった。その日はお互い違うことをした。俺はパソコンの無料ゲームで遊び、進藤さんは長い小説の本を読んでいた。そうして一日が過ぎていった。
夕方。俺と進藤さんは早めの晩ご飯を食べ終えると、俺は慣れない手付きで洗濯をする。
「私ちょっと部屋にいるね。」
進藤さんはそういうと、自分の部屋に隠ってしまった。俺はひたすら洗い終わった洗濯物をハンガーにかけて物干し竿に引っ掛ける。
「あ、これは進藤さんのパジャマだ。」
一通り干し終えると、俺は進藤さんの乾いた水色のパジャマが置いてあるのに気づいた。俺はパジャマを進藤さんに渡そうと進藤さんの部屋に向かう。
「進藤さん、ちょっといい?」
俺は進藤さんの部屋のドアをガチャリと開けた。すると、俺は驚くべきものを見た。
「し、進藤さん・・・それ・・・。」
俺はパジャマを床にバサッと落とす。進藤さんは上に着ていたパーカーを脱いで上半身白の下着いっちょになっていて、その背中にはいくつもの刃物で切ったような傷がある。
「・・・これ、お父さんに切られた・・・私、お父さんから虐待受けてたんだ。」
「え・・・。」
俺はこの後、彼女の口から思いがけない話を聞く。進藤舞の悲しい過去の話を・・・。