姫の笑顔
その日から、俺は毎日屋上に行っている。そんで、いっつも話ばかりしている。進藤さんは、最初のうちは嫌がってたけど、しばらくしないうちに嫌な顔しなくなった。相変わらず会話は一言だけど・・・。
「進藤さん。今日はおむすび、鮭なんだね。」
「うん、昨日はツナマヨだったけどね。」
進藤さんは鮭のおむすびをパクリと食べる。進藤さんは相変わらず無愛想だ。
「進藤さん可愛いんだからさ、もっと笑った方がいいよ。女の子は顔が命だって言うし。」
「余計なお世話だよ。私は好きで無愛想にしている訳じゃないだから。」
そういうと、進藤さんは紙パックの苺牛乳を啜る。
俺は自販機で買ったペットボトルのコーラの蓋を開けた。
『ブシャーーーー。』
開けた途端、コーラが勢いよく吹き出した。多分、持っている時に振っちゃったのかな。
「うわっ。冷た!!」
俺は空っぽになったペットボトルを捨てると、ポケットからハンカチを出そうとした。すると、進藤さんがポケットから取り出した水色のハンカチを俺の前に差し出した。
「あ、ありがとう。」
俺がそういうと、進藤さんはクスッと笑う。
「何笑ってるの?」
「なんかちょっとおかしかったから・・・。」
進藤さんははにかんだ可愛い笑顔をしていた。
「あ、今笑った。」
俺がそういうと、進藤さんはあわてて顔を隠す。
「えー。なんで隠しちゃうの?すごく可愛かったのに。」
「馬鹿!!」
怒った進藤さんは鞄を持って屋上を出て行ってしまった。
俺には、ちょっとだけ進藤さんが変わったと思う。少しずつ彼女の中で変化が訪れようとしている。そして、俺はもっと彼女に近づきたくなったのだ・・・。