姫を求めて・・・。
『灰色の姫』の紹介が遅れてすみませんでした。
昼休み。俺は進藤さんと一緒にご飯を食べようとした。俺は鞄から緑色の弁当箱を取り出すと、教室を見渡す。しかし、進藤さんがどこにもいない。
「千春、進藤さん見なかった?」
俺は女友達で一番仲のいい広瀬千春に言った。
「あぁ、たぶん屋上に行ったと思うよ。」
千春は友達三人と机を並べて、紙パックのオレンジジュースを飲みながら言った。
「わかった。ありがとう。」
俺は千春に礼を言うと、大急ぎで屋上へと向かった。
しばらくして、俺は屋上に着いた。息をぜぇぜぇ言わせながら屋上の扉を開けると、案の定そこに進藤さんがいた。進藤さんはフェンスの踏み台の所に腰掛け、膝の上にお昼ご飯を乗せていた。
「進藤さん。」
「なに?」
俺が勇気を出して話しかけると、進藤さんは素早く返答した。
「あの・・・隣、座ってもいい?」
「どうぞ。」
彼女の口数は少ないが、俺にとっては大切な一言だ。俺は進藤さんの隣に腰掛けると、弁当箱の包みを外しながら進藤さんの方を見た。
コンビニで買ったと思われる梅のおむすびとプラスチックの器に入った野菜サラダ、リンゴジュースに蒟蒻ゼリー。これが彼女のお昼ご飯らしい。彼女の革のバッグには、勉強用の可愛いノートに文庫本の小説が二冊。鞄の横には、青いポーチに入った飴やガムにMDプレーヤー。
彼女はおむすびを食べたり、ジュースを飲んだり、イヤホンを耳にかけて音楽を聞いたり、小説を読んだり。隣にいる俺はお構い無しに昼休みを過ごしている。
「あのさ、進藤さん。・・・君はどうしてあまり話しないの?」
そう言った途端、進藤さんは眉をピクッと動かし、俺を睨んだ。そう思うと、側にある荷物を鞄の中に全部閉まってスクッと立つ。
「あんたみたいな能天気な奴に、私の何が分かるっていうの。」
怒ったような低い声で彼女は言うと、そのまま屋上を出て行った。俺は深く落ち込み、頭を抱える。俺は馬鹿だ。彼女の気持ち、全然考えてなかった。最悪だ。
俺は深く反省した後、彼女と放課後一緒に帰ろうとしたが、彼女は四時間目から早退してしまった・・・。




