姫の手紙
翌朝。俺は学校に行くがせず、体の具合が悪いと嘘をついて学校を休んだ。進藤さんは相変わらず部屋に閉じ籠ったままだ。
「進藤さん、大丈夫かな?昨日から何も食べてないし。」
そう思った俺は、キッチンに向かってロールパンと野菜サラダと卵スープと桃ゼリーの朝食を作り、それを進藤さんの部屋に持っていった。
「進藤さん、朝ごはん食べる?」
部屋からは返事はない。そんなに俺のこと嫌なのかな?俺は思い切ってドアを開けた。
「進藤さん、朝ごはん・・・。」
俺は信じられないものを見て、持っていた料理を床に落としてしまった。進藤さんが部屋で倒れていたのだ。進藤さんの腕から大量の血が流れていてそばに果物ナイフが落ちていた。自殺だ。
「進藤さん、進藤さん!」
俺は彼女の体を起こした。ぐったりとしているが、かろうじて息はある。
「とにかく、早く救急車を呼ばないと。」
そう思った俺は、ズボンのポケットの中から携帯を取り出した。すると、すぐ近くにあったテーブルの上に一枚の紙が視界に入る。
「手紙だ。」
俺は手紙を開くと、こう書いてあった。
『私は今まで、誰とも関わらなくていい。一人で生きてやるって勝手に意気がってた。でも、鈴木君が私に話しかけてくれてすごく嬉しかった。それから私の中で鈴木君が大きな存在になっていた。私、鈴木君が好き。この前は殴ったりしてごめんね。さようなら。』
「進藤さん・・・。」
彼女は俺のこと嫌ってなんかなかったんだ。むしろ好きだったんだ。そう思うと嬉しくてたまらなかった。
「進藤さん、絶対死なないでね。必ず俺、君に伝えるから。」
そういうと俺は、救急車が来るまで進藤さんを抱きしめた。
その数分後に彼女は病院に運ばれた・・・。




