帰ってきたぞ
地獄へ置いてかれた僕はまた黒い姿になり、酒呑童子を呼び出した
酒呑童子に気を引かせ、僕らは逃げた
途中、酒呑童子と合流した
「なんだ、この小僧が我を呼び出したのか?」
『小僧とはなんだ、僕のご主人だぞ!』
それよりも僕は腹が減った
減ったことが無いのに減った
だから、僕は鎌を取り出し怪異の首を切ってから白に狐火で焼かせ、それを食った
「何やってんだ、死ぬぞ」
苦しくはなかった。
ただ、腹が減る
怪異を殺しまくって、全て食べた
クソまずい
だが、まだ腹は減る
「こりゃあ、大した肝っ玉だ。俺はお前のこと主人と認めてやる」
「お前はもともと僕のだよ」
「違いねぇ」
5年くらい怪異を食べ続けるとその腹はようやく肥えた
「五年経っても死なないとは、大したものだな」
本当に自分でもそう思う。
いつあの女と鉢合わせてもいいように酒呑童子に稽古をつけてもらった
そして、僕は伊織達と別れた場所で女と鉢合わせた
白も酒呑童子も一緒に怪異を食べ続けてたせいか
外見も、呪力も桁違いになっている
いける
「ゥウグオオオオオオオオ」
僕は黒い姿にいつでもなれるように訓練していたのであっさりなれた
白の狐火で気を引かせ、酒呑童子が女を叩き斬ろうとするが二本指で抑えられてしまった
その隙に僕が女の腹を抉り取ると女は
『ふぐふっ、楽しいなぁ。』
と笑う
酒呑童子も「あいつ頭おかしいんじゃねぇのか?」と言いつつも応戦する。
だが、結果逃げる形になった
毎日、体が動く限り挑戦しに行った
そして、4年経つと僕らの技も磨かれ
僕が鎌で女を一刀両断した
『ふぐふっ、もっと楽しませろぉ』
その女の死骸から呪力が抜け、その呪力が何処かへと行ってしまった
あいつはまだ生きている
おそらく殺したのは分身
本物の強さを想像するとゾッとした
僕はこの死骸を平らげ
狩にでようとした時、穴が空いていることを確認した
一番足の速い白に様子を見に行かせると
人間に威嚇をしていた
この10年で人の形を忘れてしまったらしい
一人の女は昔の僕を使っていた
そのことは今どうでもいい
穴から出て、気弱そうな女の子に蝶蛾家の場所を聞き
走り出す
10年ぶりだ、姉さんと伊織は覚えてくれているだろうか
僕は蝶蛾家へと飛び込んだ
すると、片腕だけになってしまった姉さんがお盆を落として、僕に抱きついた
「助けてあげられなくて、守ってあげられなくてごめんねぇ」
暖かい
地獄じゃ、酒呑童子と白がいたがこのような暖かさ、ほっとするような感じは無かった
ここで僕は初めて安眠できたのだった
あの骨は幾兎のではなく、怪異のものです