蝶蛾伊織は負けず嫌い
起きたら自分の部屋にいた
気絶させられたんだった
「あっ、起きたわね。今日学校休みだからゆっくりしな」
ぼくはすることがないので大広間の座布団に座る
「何してるの?」
伊織が僕の隣に座ってきた
『何もしてない』
と紙に書き
伊織を見つめる
相変わらず笑顔を絶えさせない
「じゃあ、摸擬戦しない?、有名よ幾兎が高田先生に一撃入れたって」
入れた覚えがない
『そうだよ~、僕のご主人はすごいんだ』
白をなでると機嫌が良さそうにゴロゴロと鳴いた
「やるの?やらないの?」
僕はコクリとうなずき鎌を取りに行き、縁側から庭に飛び降りる
「よろしくお願いします」
コクリ
伊織は僕に突っ込んで薙刀を振るう
戦闘時でも笑顔を絶やさないので少し不気味だ
僕はそれをあえてギリギリで薙刀を支えている腕の方向へ避け
伊織に突進すると
伊織はバランスを崩し倒れた
「負けた」
声のトーンが上がり悔しがっていることがわかる
僕が部屋に戻ろうとすると
「待って、もう一回やろ」
コクリと頷くと
32回ほどやったらようやく休憩に入った
「なんで勝てないのかなぁ」
と伊織が嘆く
すると姉さんがアイスを持ってきてくれた
「目じゃないかな、他にもいろいろあるけどこれが一番の差だと思うよ」
「目?」
「そう目は人間の脳に入ってくる情報の7割だったか8割だったか。まあとりあえず一番多いのよ。さっき見たところ、目の動き方が全く違ってたよ」
「どうやったら、目を鍛えられる?」
「キョロキョロしてるのと模擬戦でも鍛えられるよ?」
あー、そういえば僕、養護施設の人から逃げるためにずっと警戒してたからな
「わかった、幾兎やろう」
「あっ、先に姉さんとやらせてほしいな。お手本見してあげる」
姉さんはどこから取り出したのかわからない刀を構える
「よろしくね」
コクリ
姉さんは動かない
だから僕が様子見に鎌を投げる
「白」
姉さんに聞こえないよう白に合図する
姉さんが鎌を弾くと同時に白が爪で攻撃する
ギリギリで避けるが体勢を崩したので白はどんどん隙を狙っていく
しかし、白は柔道技の応用で転ばされトドメを刺すフリをされそうになったと同時に僕が後ろから拾った鎌での攻撃に気づき
姉さんはガードする
その瞬間、白が姉さんに噛みつき上空に姉さんを飛ばす
「二対一はやっぱりキツかったかなぁ。ペガおいで」
姉さんは上空で翼の生えた馬に乗り
僕の下からの攻撃と姉さんの上空からの攻撃が衝突しようとした瞬間
『ふぐふっ、見つけたぁあ』
空間に穴が空き、僕らは吸い込まれてしまった