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番外編5「ベリアルの日記」
日記
著 ベリアル・セイレン
春の節 五十一日
行方知れずだった女神が、スイラの王城に現れる。
真っ先にレオン坊のところに現れた女神は、再び消えた。
言い残した事は無い。
坊はたっちが出来るようになった。すくすくと育っている。
特異なる神のお子であるような力の覚醒は見られない。
愛らしい姿に侍女達の気持ちも和らいでいる様子。
再びフリアにジェームズ閣下に従うなと言われる。
女神捜索しかしていないので、何とも言わず去る。
魔術師の訓練に付き合う。
深手を負うも痛いと感じない術は恐ろしい。
気づかぬ間に血を失い気絶し、そして治された。
起きたら女神がいた。
東の崖に行きたいと仰った女神の護送をする。
この先には盗賊が出るのだが。聞いてくれない。心配だ。
女神は先ほどから、ずっと魔術書なるものを読んでいる。
時々、字を教えてくれと言うたびに、知らない字でふり仮名をふっていた。
この休息が、何事もなく夜を越えることを願う。
女神が何事かたくらんでいる気配があるので、気をつけよう。
終了




