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アキ、世界と戦う  作者: スイム
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アキVSベッド


9月、


今日の授業は午前9時から。

昨晩、私は自分の無気力さを考慮し、支度する時間が十分にあるようアラームを午前8時に設定した。

そして午前8時を迎えた今、ショータイムが始まる…はずだった。

…………

ベッドから出れん。

心地良すぎる。

一体なぜこうなった。

いや、なぜかは分かっている。


「やっぱりベッドは最高に気持ちよくなくっちゃ」


快適さを重視したあまり、私のベッドはメモリーフォームマットレス、メモリーフォーム枕x2、シルクの布団で構成された最高級の駄目人間製造マシーンになってしまった。

くっ、自分の快適さに対する追求心が憎い。

ベッドから出ることをほぼ完全に諦めた私は頭だけを90度回転させた。

視線の先、反対の壁側で寝ていたのはルームメイトのジャン。

長身痩躯、ブラウンの髪と碧い眼、顔も悪くない。

計算機科学を真面目に勉強しており、成績はいい方らしい。

ジャズバンド所属、趣味は音楽制作。

彼女アリ。

一見超いい男だが、悪癖も十分ある。

しかし朝早くから授業がないのは羨ましい。

というかイラッとくる。

死ね、ジャン。


「まあ、それは置いといて」


気をそらすため、隣にある机を探って携帯を確保。

スマホゲームでも遊ぼうと携帯を点けたとき、そこには8:50の表記が。

やばいな、どうにかしてベッドを出なければ遅れる。

しかし私はこんな強大な敵に立ち向かえるのか?

メモリーフォームが体の形に沿って完璧なクッションとなっている。

それに加えシルクの布団は高い防寒性によって内側の温度を最高の状態に保っている。

これぞ最強のベッドではないか。

私はなんて恐ろしいものを作ってしまったのだ。

自分の才能が恐ろしいぜ。

ベッドに、快楽に勝とうなんて思ったのは愚かな考えだ。

あったかいふとんでぐっすりねる。こんな楽しいことがほかにあるか。

もうこの快楽に身を任せてしまおう。

意識が遠のく中、記憶が次々と脳裏を過ぎる。

家族、学校、嬉しいことも、悲しいことも。

泣いて、笑って、また泣いて。

後悔、いろいろあったな。

やり残したこと、いっぱいあったな。

そして……


「出席確認してるからちゃんと来るように〜、来ないと減点だから。」


はぁぁぁぁぁァァァァァァァァーー!!!!

駄目だ、ここで諦めたら試合終了だ!

何としても出る、己がため、成績のため!

こんなところで……!


「おおおおおぉぉぉォォォォォォォーーー!!」


雄叫びと共に布団をベッドから蹴り落とし、自らもジャンプ、オリンピック体操選手さながらのランディングを決める。

我ながらかっこいい。


「エ、なに!!?!?」


どうやらさっきの雄叫びでジャンが起きてしまったらしい。

だがどうでもいい!!

朝から授業がないからって快適に寝てる自分を呪うんだな!!

そう、朝は起きる時!

大抵の生徒(特に私)が授業に行かねばならん中、自分だけ楽にリラックスできると思うなよ!

早起きという地獄に道連れだァァァァァ!!

パニック中のジャンは無視して支度に集中することにした。


結局授業に遅れたが出席した事にはなった。


因みに帰った瞬間ベッドに這い戻った。



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