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ラヴェンダ王国と魔法の恋瓶  作者: 佐倉 猫子
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第09話 王子兄弟


「ねぇ、ルーファス。どこに行くの?」


「着いてからのお楽しみ」


私たちは二人で廊下を歩いていた。実際は前を歩くルーファスを追いかけているかたちだが。


「そう…」


先ほどまでメイドのお仕事を教わっていたのだが、ルーファスに呼び出され、今、こうしてこ弧にいるのだ。


「あ、そういえば」


「どうしたの?」


ルーファスは急に立ち止まり、私の方を振り返った


「手、かして」


「手?」


彼は私の手をとり、ブレスレットに触れた。


「僕の言葉を復唱して」


「え?」


「『ブレスレット、私の意思に従い、お前の使命を果たせ』」


「え…ブレスレット、私の意思に従い、お前の使命を果たせ…」


戸惑いながは呟くと、ブレスレットはパァッと七色に輝き、しばらくしてその光はスッと消えた


「何?」


「…ブレスレットあげたはいいけど、魔力を入れるのを忘れてたから。これで誰から[アイ]を集めればいいか分かるはず」


「…え?どういうこと?」


「ブレスレットが教えてくれる」


ルーファスはそう言うと一度離した手をもう一度ブレスレットにつけ、そっと目を閉じた


「よし、オッケー。行こう」


三秒くらいで再び目を開け、彼はまた歩き始めた。







ルーファスに連れられて入った部屋は、もう扉から豪華で、中には偉い人がいるんだろうなと想像がつくものだった。もちろん内装も美しい。


「やぁ、初めまして。レディリナ」


部屋をキョロキョロと眺めていると、みるからに高そうなソファに座る青年が話しかけてきた


「あ…初めまして」


「まさかルーファスにこんな可愛い妹がいたなんて…驚いたよ」


「…」


その男の人の言葉をルーファスは無視する


「紹介してくれたら良かったのに」


「大事な妹に手を出されると困るからね。…今まで黙ってたんだけど」


…先ほどからブレスレットをつける右手首に違和感がある気がする。なに?


「ついてきちゃったんだろ?」


「ま、そんなとこ」


ルーファスが答え終わると、その人は私にニコッと笑顔をむけて、近づいてくる


「そういえば自己紹介がまだだったね。俺はヨセフ。この国の第一王子だ。君に早く会いたくてルーファスにお願いしたんだ。」


「そうなんですか…」


…何この感じ?近づかれたらまた違和感が増した。まさかさっきルーファスが言ってたやつ?


「君は本当に美しい…。メイド服姿でもね。…俺だけに奉仕するメイドになる気はない?」


「ちょっと、妹に手出さないでくれる?」


「はは、冗談だよ。さて、自己紹介も済ませたことだし…」


ヨセフ王子はスッと私の足元にひざまずくと、手をとり、そこにキスをした


「!な…」


手の甲にキスなんて…初めてされた。


「…お兄様、リナさんが困ってますよ」


固まっていると聞き覚えのある声がドアの方から聞こえてきた。


「なんだ、アラン…こんなのただの挨拶だろ?それより、この美しいレディと知り合いなのか?」


「はい、まぁ。でもリナさんがルーファスさんの妹だとは知りませんでしたけど」


「言ってないからね」


いつの間にか先ほどヨセフ王子が座っていたソファに座っているルーファスが答える。


…私がルーファスの妹になったのついさっきだしね。


「ひどいですよ、ルーファスさん!僕たち友達なのに、隠し事なんて…」


「いや、友達になった覚えないけど?」


「え…?」


…あれ?またアランくんが来て手首の違和感が増した?


「まぁまぁ、落ちつけよ二人とも。…レディ、知っているみたいだけど一応紹介するよ」


「?」


ヨセフ王子は私をルーファスの隣に座らせ、自分は向かいのソファに座った。王子の隣にはアランくんが座る


「アランは俺の弟なんだ」


「アランくんが!?じゃあ、アランくんも王子様なんですか?」


「そうだよ。アランは第二王子だ」


「そうだったんだ…あ、さっきはぶつかってごめんなさいアランくん…じゃなくてアラン王子?」


「“アランくん”でいいよ。僕は気にしないから……げほっ」


「…!大丈夫?」


咳き込み始めたのを心配する私にアランくんは「大丈夫」とでもいうように優しく微笑んでくれる。


「アランは身体がうまれつき弱いんだ」


ヨセフさんは少し暗い顔をして教えてくれた。






その後、しばらくおしゃべりをし、私は彼らと少しだけ仲良くなれた。


「あ、ねぇ、ルーファス」


帰り道、まだ城に詳しくない私をメイドたちの元に送り届けてくれているルーファスに声をかける。


「ん?なに?」


「ヨセフ王子とアランくんに会ったとき、何かブレスレットに違和感を感じたんだけど…」


「やっぱりね。…それはあの二人から[アイ]を集めろということだよ」


「え?」


「ほら、この瓶に少しだけどピンク色が入っているだろ?」


ルーファスは瓶の一つを元の大きさに戻し、私に見せてくれる。


「うん」


「それが[アイ]だよ。[アイ]はいわば新密度みたいなものだからね」


「…そうなんだ?」


そんなこと言われてもなぁ…。






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