始まり
ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ
蒸されるような日の光を浴びながら、今日も1日待っていた。
2037年4月20日 午前8.45分 廃墟の3階
「フゥー.........」
寒さで息が白くなる
まだ冬ではないと言うのに風が冷たく感じ
る
手にはバレットM82大型セミオート式狙撃銃
銃口の大きなマズルブレーキが特徴の銃だ。
ここで待ち伏せてから実に3時間
情報によるとあと少しで敵の部隊がここを通るはずだ
今回のミッションは、現在敵が進行中の部隊の遅延。
イスラム国との戦争が始まって3年
装備の質でイスラム国に上回るイスラエル軍は、開戦始めテロと奇襲により、戦車230両 航空機500機以上、破壊または鹵獲された。
その結果、領土への進入を許してしまい国土の3分の1を失った。
のちにこの奇襲作戦はoperation Muhammadと呼ばれた。
現在 イスラエルの都市ロードにて、敵が侵攻しているとの情報が入った。
しかし、戦車は他の戦域に配備されているため
到達するまでに3日は掛かるとの事。
航空機は開戦当初の奇襲と度重なる戦闘で少なくなり、敵が厳重な対空装備を備えているとの事で、航空支援を回す事が出来ないと本部から通達があった。
つまり、味方の戦車が到達するまでの間の3日間 兵器無しで都市を防衛しなければならない。
数に劣るイスラエル軍は、質で量を補おうとしたがそれにも限界が来ていた。
そして、ダニエルが所属している第405連隊は僅かばかりの兵力と武器で迎撃するために行動を始めた。
「ろくな武器もないなんてこれでどうやって3日間も侵攻をら防ぐというんだ!
「無理だろ クソが」
他の兵士達は、不満を口々に漏らしていた。
しかし、逃げ出そうとする者などいなかった。
皆分かっているのだ、こんな戦況で増援など無理だということくらい。
怖いだろう、しかし彼らの中には家族や子供を守るため、殺された仲間の復讐のため
どんなに酷い戦況だろうと彼らは戦った。
祖国を取り戻すと、誓ったのだから。