罰
「……わたしは」
ハルが、その重い口を開く。
「わたしは、アリア」
「…………」
「アリアムンドの歌姫、アリア」
凛と立つ、ハル。
皆、固唾を飲んでハルの……アリアの言葉を、待っている。
「コルネシア軍よ」
「!」
「……アリアの名において、方々に、告げます」
「……この戦争を、終わりにしましょう」
「!?」
「あ、アリア様!?」
ハルの言葉に、アリアムンドの兵士たちがどよめく。
「戦争は、おしまい。もう誰も、戦わなくていい」
「…………」
「たくさんの命が消えてしまった。コルネシアでも、この、アリアムンドでも」
「…………」
「……そう。もう、戻っては、こないの……」
ハルは一体、何を言おうとしているのか。
奈都はじっとハルの様子伺っている。
「だから、終わらせるには、代償が、要る」
ふらりと、ハルの体が揺れる。
「責任と……罰を。その、象徴となるものを」
奈都の心臓が脈打つ。
何か、嫌な予感がする。
「!はっ!」
奈都は気づいた。
「…………」
ハルが、剣を手にしている。
「ハル!?お前、何を……!」
両手で握ったそれは、重さからか、小刻みに震えている。
「この戦を仕掛けたのは、わたし、だから……」
白い刃が、ぬらりと光る。
「……戦を終わらせるには、アリアの首が、必要でしょう?」
「……っ!!待て!!」
揺れる、切っ先。
「あ……アリア様!!」
「おやめください……!!」
「…………」
ハルが剣の刃を、自分の首に向かって、構えた。
「まさか……」
「……全部、わたしが悪いの」
「やめろ……ハル……っ!」
「……ごめんね。なっちゃん……」
自分で居場所を作っていくあなたが、眩しかった。
自分で作り上げた道を颯爽と駆けていく。
そんなあなたが、好きだった。
あなたに憧れ。
依存し。
そして、嫉妬も、した。
「これが、わたしに相応しい、最期……」
「ハル!」
「…………」
剣を、振り下ろす。
「やめろおおおおおおーーー!!」
「…………」
その、瞬間。
「!」
女がハルの体を、抱き止めた。
「あ……あなた……」
「…………」
それは。
アリアムンドの、女王だった。




