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見惚れる

「…………」

外の騒がしさにハルが顔をあげる。

きっと奈都だ。

ハルにはわかった。

「どうして……」

また、此所に来てしまったのか。

「一人じゃ……殺されてしまう」

しかし。

「コルネシアの歌姫だ!」

「仲間を引き連れているぞ!」

アリアムンドの兵士たちの声。

「……そっか」

一人では、ないのか。

ハルは胸を抑えて、深く息をついた。


昔から、そうだった。

奈都の周りには、いつだって誰かが居た。

彼女を慕い、頼り、愛す。

そんな仲間たちに、囲まれていた。

対して、わたしは。

その後ろ姿を、いつも見ているだけ。

戦う彼女の陰に隠れて、小さくなりながら這いずり回るように生きてきた。


ハルは隣にいる女の方を見た。

かつて女王だった彼女。しかし彼女にはもう、その記憶すらない。

心はほんの小さな女の子になってしまっている。

「…………」

奈都は、此所に何をしに来たのだろうか。

イサを見殺しにした、わたしたちへの報復だろうか。

兵たちは悪くないのだ。ただ、命じられただけ。

ならば。

ならばわたしが、受けるべきだ。

「…………」

ハルは立ち上がると、窓の方へ近寄った。

曇った目を凝らして、窓から外を覗いた。


そこには。

「!」

駆けてゆく、銀色の光があった。


「ハルーーーー!!」


隊の、先頭を。

スレイプネルに跨がり、駆けてくる、奈都。

「…………」

ハルは言葉を失った。

その強さと、美しさに。


「……なっちゃん」

ハルは一時、見惚れていた。


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