凍えてる
「………………うぐぐううっ!!」
熱い。
熱い。
熱い。
炎が燃える。
「うぐぐっ……ぐううーーっ」
奈都は顔を歪めた。
聖女の歌声が響く中、炎は奈都を焼こうとしている。
「ううっ……」
焦げた匂いが鼻をつく。
煙が立ち上る。
目が霞む。髪が焦げ、煙が喉をやく。
「ぐっ……う、うううっ……!」
あまりの苦痛。奈都は顔をあげた。
「……っ!」
王座から見下ろす笑った。「!!」
その顔に。
奈都は、全てを悟った。
「…………」
全部……あいつの計画通り、だったのだ。
今まで、どうにか道を作ろうと足掻いてきた、全て。
奈都のもがきはただ、彼の手のひらで踊らされていた。それだけの、こと。
「…………」
けれど、今更気付いたところで、もう遅い。
奈都にとってはもう、何もかも、どうでもよかった。
奈都は目を閉じた。
本当の暗闇が、奈都を包みこむ。
イサの居ない世界で、これ以上、生きる理由などない。
迫り来る苦痛の中、奈都はただ、死を待っていた。
その時。
なっちゃん……。
声が、聞こえた。
「……は……、……」
なっちゃん。
「ハル……?」
自分を呼ぶ、ハルの声。
なっちゃん。寒い。
「寒い……?」
寒いのね。
なぜ。
歌声に混じって、ハルの声が聞こえる。
心が。
寒くて、心が凍えてるんだよ。なっちゃん。
「……ああ……」
そう。
寒くて寒くて、仕方がない。
だから、わたしが。
「!」
少しだけ、温めて、あげる。
「ーーーーーー……」
ハルの歌声が、響き渡る。




