再会
アリアの歌は、暴虐の限りを尽くした。
奈都から遠くに居る者から、死んで行った。
「!スレイプネル!?」
突然、スレイプネルが駆け出す。
スピードをあげ、敵の陣へと向かっていく。
「何をしている!止まれスレイプネル!」
奈都の制止も聞かず、スレイプネルは興奮した牛のように、荒い足運びで突き進んでいく。
「スレイプネル!おい!なぜ、止まらない……!」
あの、奈都にだけは従順だった、スレイプネルが。奈都の言うことを聞かない。
「……、ぐ、うぅぅっ……」
後ろにいるコーサから、呻き声が聞こえた。
「!コーサ!」
「あ、あ……がはっ……」
ぼたぼたと、鮮血を吐き出している。
「くっ…まずい……!」
奈都の歌がコーサを守っている、はずなのに。
アリアの歌の力が、奈都の歌を越えて、コーサを破壊しようとしているのだ。
近付きすぎている。
これ以上はもう、奈都の歌ではきっと、防ぎきれない。
「クソッ…!」
奈都はコーサを抱えると、スレイプネルの背から、飛び降りた。
地面に体を打ち付け、痛みが走る。
けれども構っていられない。急いでここから離れなければ、コーサが殺されてしまうのだ。
「うっ……、い、行くぞ、コーサ。歩け……!」
奈都はコーサの腕を自分の肩に回し、立ち上がった。
すぐに、逃げなければ。彼女の歌が聞こえない場所まで、離れるのだ。
ずるずると、体を引きずるようにして、奈都はコーサを連れて道を戻った。
前方に、人影が見えた。
「あ、あれは……」
イサだ。
奈都の方へ、走ってくる。
『イサ!』
奈都は助けを求め、叫んだ。
『イサ!手伝ってくれ!コーサが…!』
しかし、イサは立ち止まらなかった。
『!?イサ……!』
彼は脇目も振らず、奈都たちを置いて、駆けて行く。
奈都のことなど、まるで見えていないように。
「な、なんで……」
遠くなる、彼の背中。
先を走っていたスレイプネルが、彼に気付き足を止めた。
そして近付くイサを背中に乗せると、敵の方へと走っていってしまった。
奈都は呆然と立ちすくんだ。
「そんな…。イサ…イサが…」
スレイプネルは待ち構える敵軍の前で方向を変えると、矢を避け、崖を登っていった。
向かう先は、アリアだ。
『…………!』
イサが、何か叫んでいる。
必死の形相で、アリアに何か、訴えかけるように。
わかるけれど、その声を、奈都は聞くことができなかった。
今の彼の声は、アリアへ向けられたものだ。
奈都の物ではない。だから、奈都には聞こえない。
「!………ああああああ!!」
アリアが、突然叫び声をあげ、暴れだした。
「うあああああ!!」
「アリア様!」
頭を抱え、かきむしる。がぶりをふって、苦しんでいるようだ。
「あああ!!」
アリアが倒れこんだ。
その拍子に、パリン、と、仮面が割れた。
「!お、お前、は……」
中から覗く、アリアの素顔に、奈都は言葉を失った。
「ハ、ル……?」




