黒と金
女子を舐めちゃいけない、という話。
うーん。これもいいけど…。あ、こっちもいいなぁ。
私はメニュー表から顔を上げて、隣に立っている店主を見上げた。
「紅茶と、あとケーキ三種類全部」
「かしこまりました。騎士様は?」
「…紅茶をお願いします」
店主は不思議そうに首を捻るが、それ以上は何も言わず奥に消えた。
私は今、騎士団が宿泊している宿の食堂にいる。お供は麗しの騎士団長様。
ーーあの後。着いてきそうな娘達をあの手この手で巻いて、驚く店主に頼み込んて裏口から入れてもらった。
一応この宿は村の中でトップクラスなので、村人でも容易には入って来られない。
もし一般の宿なんて利用しようものなら、滞在中彼らに安息は訪れないだろう。さっきの騒動でそれを確信した。
あのバカ騒ぎを思い出して、つい対面に座る団長を睨んでしまう。すると、団長もさすがに気まずそうに目を逸らした。
「まあ、その…。先程は失礼しました。事情も聞かず、連れ出してしまって」
「いえ。どうせ暇だったんで、それはいいんですけど?」
「…本当に、申し訳ありません」
深々と頭を下げる団長に、私は深々と溜め息を吐く。この遣り取りはすでに数回目だ。
というか、民間人の私なんかに騎士団長で貴族の人がそんな簡単に頭を下げちゃってもいいんですか。
暫くしてレイモンドさんが頭を上げると、タイミング良く注文したものも運ばれてきた。
今度は店主ではなく若い男性で、確かロウルさんの友人だったはず。彼も私を覚えていたのか、目が合うとニッコリと笑いかけてくれた。
極力物音を立てない丁寧な置き方は、辺境の村にしては珍しいくらいに見事な作法だ。団長も意外そうに動きを観察していた。
なんか、あのお友達のおかげで毒気が抜けたな。今度お礼に何か差し入れでもしよう。
私の変化を感じ取ったのか、レイモンドさんは安堵の溜め息を吐いていた。
カップを手にした彼に、私もフォークを手にする。まずはショートケーキから♪
実はここのケーキ。以前からレベッカに美味しいと聞かされていて、村でもかなり有名なのだ。いつか食べてみたいとは思っても、私の給料じゃちと難しかったんだよね。
今回は絶好の機会なんで、団長様に奢ってもらうことに。
罪悪感? 私は被害者ですよ、被害者! それに逃げ出す口実とはいえ、さっき「何かプレゼントさせて下さい」って言ったしね。
団長は私の前に並べられたケーキを見て顔を顰めた。
「食べられるのですか? 三つも」
「余裕ですよ。女子のスイーツに対する情熱を舐めてはいけません」
「……そうですか」
「太る、とか言ったら…」
低い声で睨むと、心で思っていたのか肩がピクリと動いた。心なしか顔色も少し悪い気がする。
女子に対して「太る」とか関係の言葉は禁句ですよ、異世界共通です。
睨みつつもケーキを口に運ぶ手は止めない。あ、そろそろ一つ目食べ終わっちゃうな。
そこに至って、私は重要なことを聞くのを忘れていることに気付いた。
バッと顔を上げると、目が合った団長はビクッと顔を引きつらせた。
「な、なんですか?」
「団長様も食べます? 結構美味しいですよ」
「…甘い物は、ちょっと……」
そうか、それは残念。美味しいのに。最後の一口をパクリと食べる。うん、85点。
この世界に対して何か良かったことを一つあげるなら、やっぱり食。
意外なことに、こちらの世界と元の世界の料理には殆ど差がなく、日本人にとっての所謂「洋食」と呼ばれる物は一通り揃っていた。
微妙に味の違いはあるけれど、それも意識しないと判らないレベル。
さすがに和食はなかったけど、元の世界と同じ料理や食べ物があると判った時の感動は絶大だった。
次のチーズケーキに挑もうとフォークを握り直したところで、団長から待ったがかかった。
突然ケーキを取り上げられて唖然としていると、団長は何故かそのケーキに顔を近付けて匂いを嗅いでいる。
え、もしかしてチーズケーキは好物とか? それならそうと言ってくれれば…
そう思ったけど、レイモンドさんの様子を見る限り違うようだ。ケーキをテーブルに静かに置くと、視線だけを厨房へと続くドアへと向けている。
何やら只事ではない雰囲気に、私も腰の愛剣に無意識に手が伸びる。
「どうか、しました?」
極力声を抑えて尋ねると、団長は無言でケーキを指差し、次にテーブルに髑髏のマークを描いた。
毒入り、ですか。随分と物騒じゃないか。
了解の意味で小さく頷くと、私は先程の団長のように無言でもう一つのチョコレートケーキを指差して首を傾げた。
彼は皿を持ち上げて再び匂いを嗅ぐと、一度首を捻ってから私に差し出してきた。
…これは食べても大丈夫、という意味なんだろうか。判らないから毒味しろってことじゃないですよね⁉︎
恐る恐る口に含んでみると、濃厚なビターチョコレートの味が広がる以外、特に変な味もしないし身体が痺れるとかもない。
紅茶も異常ない。私もレイモンドさんも飲んだからね。うーん、毒入りはチーズケーキだけっぽい。 突然物音がしなくなると怪しまれるので、今までと変わらない口調で団長に話しかける。
「私、この後は山へ狩りにでも行こうかと思ってるのですが。宜しかったら、団長様もご一緒しませんか?」
「おや、宜しいのですか?」
空気の読める団長も普通に会話してくれる。でもその問いは本当のようで、その目には心配そうな色が見える。正しくは「仕事を放ったままでいいのか?」だろうけど。
いいんですよ、どうせお客様滅多に来ないし。今日は街に売りに出掛ける日でもない。
それに、そろそろ狩り足さなきゃって思っていたからね。人間、肉も食わなきゃダメですよ。
「どうせもう、抜け出してきてますから。甘い物も食べたから運動も兼ねて」
「なら、是非お供させて下さい」
私の返事に軽く頷くと、レイモンドさんはスッと音も無く立ち上がり私の横に立った。
首を傾げて見上げると目の前に片手が差し出される。白い手袋に包まれた大きな男の人の手。
団長は貴族なんだから、こういうのって殆ど無意識なんだろうな。元の世界でこれならきっとモテモテだったろうに。いや、顔でも十分モテるか。
ちょっと遠い目をしていたら団長に訝しがられてしまった。いかんいかん。
差し出された手に自らの手を重ねると、クッと軽々と引き上げられた。優男っぽいけど騎士団長だもんね。
食堂の料金は最後に宿泊代と一緒に払うらしい。レイモンドさんは従業員に声をかけず外に出たので、私も何も言わずその背中についていく。
そして考えもせず宿から出てから後悔した。
私達が宿の食堂に向かうことになった原因が。
「あ、来たわ! 騎士様!」
「レイモンド様!」
「ねぇ、あの女…」
「さっきレイモンド様と一緒に消えたわよね。じゃあ、今までずっと一緒に⁉︎」
おぉぅ…。彼女達のことをスッカリ忘れていたよ。
取り敢えず、最後の発言した人。下品な勘繰りはやめてくれ。私なんかとじゃ団長が可哀想じゃないか。
今や悪意を隠そうともしない彼女達を視界に入れつつ、隣の団長に小声で話しかける。
「どうしましょう」
「と、言われましても…」
「ですよねー」
逃げ切れなくて私に助けを求めたくらいだしね。念の為に訊いただけです。
彼もそれが判ったのか微妙に気まずそうな顔をしている。大丈夫ですよ、もう怒ってませんから。紅茶とケーキでチャラです。毒入りケーキというサプライズもあったけどね?
何にしてもここから脱出しなきゃならないわけで。どうにかしてならないかなぁ。
例えば、レイモンドさん以外の獲物が来たりとか……
「ん? 団長と…リン様?」
「…あ」
いたーっ! 獲物になり得る顔と実力を持った人!
私達の後ろ。宿の扉から顔を覗かせたのは、副団長であるガントさんだった。
レイモンドさん並みの顔を持った人です。しかも団長が美形に対して、ガントさんは中性的な美人。こっち路線の娘もいるはず!
ガントさんに顔を向けつつチラリと後ろを伺うと……やっぱりガントさんをガン見している。勿論、目をハートして。
うん。これなら行けそう。あともう少し彼と違うタイプがいれば…
「ガントさん? どうかしたんですか?」
ガントさんの後ろからヒョコっと出てきた顔を見て、再び心の中で歓喜の叫びを上げることになった。 歳は私と同じくらいだと思う。可愛系の顔で、背も私より少し高いくらい。女装が似合うだろうね!
サラサラの茶髪を揺らして、真っ直ぐな大きい瞳でガントさんと団長(プラス私)、目の前の集団を確認すると驚きでより目を大きく見開いた。
ガントさんと並ぶと、まるで背の高い姉妹のようだね。この世界には女性騎士もいるらしいし。
チラリとまた彼女達に目だけを向けると、ハートの数が増えていた。
よし、これなら行ける。
レイモンドさんと視線を合わせると、彼も同じことを思っていたのか初めて見る意地悪い笑みを浮かべた。私もそれに笑みで応える。
そして二人して娘達に向き直ると、良い笑顔で告げた。
「ごめんなさい。団長様はこれからまたフェリックスさんとお話があって、私が案内せねばならないの」
「ま、まぁ。そういう理由があったのね」
「えぇ。ですから、代わりに」
そこで一旦切ると、笑みを深くしてドアの前に立っている二人を指す。
「あちらのお二人が、皆さんのお相手をして下さるそうですよ?」
『えっ⁉︎』
私の言葉に団長以外の人が声を上げる。騎士二人、バレちゃうから静かにしといて!
驚きで皆が固まる中、唯一ダメージのない団長があのキラキラ笑顔に申し訳なさそうな色を加えた表情で、トドメを刺した。
勿論、部下である二人に対して、だ。
「誠に申し訳ありません。本来なら団長である私が、村の方々に此度のお礼と謝罪をしなければならないものを」
「いいえ! 騎士団のお仕事なのでしょう? 仕方ありませんわ」
「お仕事、頑張って下さい!」
「…皆様。お優しい心遣い、感謝します。代わりに、と言ってはなんですが。この部下二人が、皆様のお相手を致しますので」
そう言って生贄二人を完全に差し出すと、愛の狩人である娘達はターゲットを二人に変えたのが判った。
お預け(?)をくらっていたせいなのか、ガントさん達を見る目が異様にギラついているような…
後ろを振り返ると急展開についていけてないのか、二人ともまだ固まっていた。あ、でもガントさんはちょっと諦めた表情だ。
そんな彼らに団長は笑顔で『命令』をする。
「恩人であるこの村の娘さん達に、失礼のないように」
この後、私達はアリン家へ向かうフリをして森に向かうので知らなかったが。
騎士二人は十数名の娘の相手を二人でするのは無理だと判断して、宿の中に残っていた騎士団メンバーを総動員して「失礼のないように」接待したんだそうな。
…見てみたかったな、それ。リアル騎士様のホストクラブ。
**********
そんなわけで森にやってきた私と団長様。
部下を生贄に捧げて(笑)。
まあ、そんなことで罪悪感を感じたりするような私達ではないわけで。
脅威が去った今、和やかな雰囲気で木々の中をノンビリ散歩中。
「そういえば、さっきの毒入りケーキのことなんですが」
「あぁ。やはり気付かれましたか」
「まぁ、ね。アレだけあからさまに敵意を向けられれば」
思い出して少しだけ笑ってしまう。
宿の前に集っていた娘達。その中で、周りとは比べものにならないくらいの敵意を向けてきた人がいた。
二十代前半の金髪美女。着飾れば王都の貴族相手にだって劣らないような、こんな田舎にはもったないほどの容姿。きっとレイモンドさんと並んでも違和感なんてない。
当然、本人だってそれを自覚しているだろう。そういう人は自分の容姿に絶対的な自信を持っている。
それなのに当の団長様は彼女に見向きもせずに、私のような普通の女と一緒にいる。
きっと彼女の無駄に高そうなプライドはズッタズタだろうね!
「彼女とは?」
「面識くらいなら。ーーカタリナ・インザーク、村医者の娘で薬にも詳しいですよ」
初対面で最初の会話が「いかに自分が優秀か」だった。その時に薬についてもかなり詳しいことを自慢していたよ。
…タップリ、二時間かけて。
フェリックスさんは判っていたのか彼女とは挨拶だけで、後は彼女の父親と別室で会議。
彼女は結構な面食いで、フェリックスさんのことも狙っているらしい(レベッカ談)。
だから早々に退散したフェリックスさんに対する不満を、私への自慢話として発散していた模様。
フェリックスさんが連れてきて、しかも居候=同居をしている私自身にも思うところがあったんだろうね。
恋する乙女ほど怖いものはない、と学べました。
遠い目になる私の様子から何かあったことを察したのか、団長は隣を歩きながら憐れみの視線を送ってきた。
まあ、そんなことはともかく。
「なんで十中八九、彼女だと思いますよ、犯人」
「ーーどうするのですか?」
「何がですか?」
本気で首を傾げると、団長は呆れたように溜め息を吐いた。
「彼女をどうするのですか? このまま放っておくことも出来ないでしょう」
「私としては、別にそれでもいいんですけど」
「一歩間違えれば、殺されていたかもしれない相手ですよ? 今回のことで終わりとは限らない。いつまた毒を盛られるか判らない。ーーそれでも貴方は、彼女を野放しにすると?」
「えぇ」
ハッキリと頷くと、突然団長が足を止めた。
足の長いレイモンドさんに合わせて早歩きになっていた私は急のことに止まれず、二、三歩越してしまった。
何事かと団長を伺うと、彼は随分と難しい顔をして私を見ていた。
大人しく待ってみるけど、話す気配も歩きだす素振りもない。
そろそろ限界、と思い始めた頃漸く団長が口を開いた。
「貴方は、恐怖を感じないのですか?」
「え?」
「先日の戦いの時も、貴方は自分より大柄で男の山賊を相手にしても全く退いたりせず、それどころか戦いを望んでいる…楽しんでいるようにも見えました」
「ーーー」
「山賊を殺す瞬間でさえ、貴方の剣には一切の躊躇いがなかった。倒れた敵を一瞥もせず、また別の敵へと向かっていく」
淡々と続ける団長の声を聞きながら、私の中で警報が鳴る。
レイモンドさんが今、私に問おうとしているのは『事情』に深く関係している。
これ以上関わってはいけない、そう心の奥からの叫びが聞こえるが私は無視した。
何故か、レイモンドさんの話すことをキチンと聞かなくてはいけない気がしたのだ。
後から思い出しても、この時の感覚はよく判らない。
無言を通す私を左程気にした様子もなく、レイモンドさんは続ける。
「フェリックスから貴方のことはあらかた聞いています。ーー異界人だそうですね」
「そうですよ」
「…アッサリ認めるのですか?」
「否定しても仕方ないです。それにフェリックスさんが話したのなら、貴方は『大丈夫』な人ですから」
断言出来るけど、フェリックスさんは信用出来ない人に私の情報は与えない。異界人だと知られたら何をされるか判らないから。
異界人を人間だと認めないで、全く別の生き物や化け物だと信じている人は、この世界には結構いるらしい。
まあ、理解は出来るよ? 私だって元の世界で突然「実は異界人なんです」なんて言う人がいたらまず頭の中を疑うけど、それが本当ならどういう反応をするかなんて確証はない。
それでも、相手をちゃんと「人間」として扱えるかと聞かれればすぐに頷くことは出来ない、ということは判る。
理由は簡単。相手が本当に人間なのか判らないから。
世界が違えばDNAだって違うだろうから鑑定も出来ず、信じられるものは本人の証言だけ。
そんな「何か」を無条件に信じろ、なんて無理な話だと思う。
だから私の正体は隠されたまま、カタリナに紹介する時も遠い親戚くらい。
ーーその点、ロウルさんとマルクは信用出来る相手なのだろう。ロウルさんは共に仕事をして、マルクは何度か手合わせをして、私自身も大丈夫だと判断した。
現在村で私の正体を知っているのは、アリン家、ロウルさん、マルクと彼の極一部の友人のみ。
つまり、私の味方と言い切れるのは彼らだけなのだ。
「いくら助けてくれた村の人達でも、私が異界人だと知ってどうするかなんて判らないですからね」
「ーーー」
「だから、そこまでしてくれたフェリックスさんが教えるということは、貴方は私の味方になり得る人なんですよね?」
「…その質問には、答えかねます」
まあ、騎士団長様だもんね。間違えれば騎士団の総意、もしくは主である第一王子の意思だと取られかねない。
個人で自由に出来ない役職の人は大変だね。
「先程の質問ーー恐怖を感じないのか、でしたか」
話しを始めに戻すと、目の前の彼の肩がピクリと揺れた。無意識なのか、眉間にも軽く皺が寄っている。
ヤダなぁ、団長が自分で訊いたんだよ? 今更何を迷ってるのかね。
「…感じますよ、ちゃんと」
「では、貴方の元いた世界もここと似たような場所だったのですか? フェリックスからは平和な場所だと聞いたのですが…」
「そうですよ。特に私の国は戦争反対を掲げてましたから」
平和万歳ですからね。フェリックスさんも私のことを「平和ボケした子供」って言ってたし。
でも私の答えに、団長の疑問はより増したようだ。眉間の皺が濃くなってる。
「なら、どうしてそこまで生死に対して無関心なのですか? 異世界だから、ですか?」
「違いますよ。少なくとも私には、異世界に来てから考え方が変わったとは思っていません」
「…では、何故?」
問い続けるレイモンドさんに真っ直ぐ視線を向けると、彼は目を逸らさず睨まんばかりに私を凝視してくる。
その瞳の奥に、何か必死なものが見えた気がした。
…うーん。レイモンドさんになら、教えてもいいかな。命の恩人だし。
本当はフェリックスさんに先づ伝えようかと思っていたけど、まぁいいや。
私は絡まった視線を解かず、後方の団長に歩み寄り目の前で止まった。
身長差のせいでかなり上を見上げる態勢だけど、これくらい寄らないと彼の瞳の奥が見えない。何を考えているかを、瞬時に察することが出来ない。
目を瞑って一度深呼吸をしてから、再びレイモンドさんと視線をぶつける。
これから話すことは、私としてもかなり勇気というか覚悟が必要なのですよ。
『事情』を自分自身が理解してから、まだ一度も話したことはない。
さて。麗しの騎士団長様は、どんな反応をしてくれるのかな。
「少し、昔の話をしましょうか」
それは、まだ私が高校生の頃。
いつもと変わらぬ、平凡なはずだった日のこと。
マルクもフェリックスから信頼されるくらいにはいい奴、のはず。
ただ意地っ張りなだけなんです。
次回は『黒の『事情』の物語』