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ダ!ジャレ系シリーズ

ふしぎのくにの…

作者: kouzi3

・・・


「遅れちまった!」


突然、聞こえて来た言葉に驚き、私は後ろを振り返った。

そこには、誰も居らず・・・いや・・・確かに誰もいないが・・・白うさぎが1羽。


白うさぎ・・・?がしゃべった?


私は、一瞬自分の耳を疑ったが・・・どうやら自分は夢でも見ているらしい

そう思って、ホッペタをつねってみることにした。


痛い・・・!


くそ・・・誰が、夢の中ならホッペタをつねっても痛くないなんて言ったんだ?

痛いじゃないか。それも、とても。


私は、これを夢だと疑わなかったので、おそらくは、夢なら痛くないという

まことしやかに囁かれる、この噂を疑うことにした。


取りあえず、夢なら夢で良いけれど、何故?自分は白うさぎの夢を?

何かの暗示か、それとも深層心理の現れか?

少々、こんな夢を見る自分自身というものに興味をいだき、私は

その白うさぎを、つぶさに観察してみることにした。


外套に身をつつんでいる。白うさぎが、外套をねぇ・・・

ご丁寧にも、結構立派な懐中時計を・・・

その指のない、うさぎそのままの手で器用にもてあそび

時間を気にしながら急いでいるようだ。

・・・そして、穴に飛び込んでいく。・・・穴?こんなところに?穴・・・ねぇ?


何かの物語で、聞いたような話だが、私は学がないので

その作品を、すぐには思い出せなかった。


私は、どうせ夢なんだから、やばくなったら

目が覚めるだろう・・・と、安気に構え・・・普段の自分より少し大胆なようだが・・・

白うさぎを追いかけて穴の中に飛び込んだ。


残念ながら・・・残念?・・・私は何を期待したのだろう?


とにかく、私は、パラドクスと不条理と非現実の、地下世界の夢のような・・・

不思議な世界へと入り込んだのであるが・・・

私は、この物語の主人公ではないようだ。

残念だと思ったのは・・・やはり、主役を演じたかったのだろう。

しかし、私は、どうやら傍観者であるに過ぎないようだ。


なぜなら、私は、幾つもの災難に出くわしたりはしなかった。


巨人のように大きくなることも、半分の身長に縮んでしまうこともなく・・・

私の涙で立ち往生した動物たちと出会うようなこともなく・・・

白うさぎの家にはまり込んでしまうことも

子ブタに変わる赤ん坊や消える猫を見つけることも・・・

私、自身が直接経験することは、ついぞ出来なかった。


しかし、確かに・・・おぼろげに・・・私が、いまだタイトルを思い出せない

有名なお話のとおりに、物語は進んでいるようだ。


どうやら、私以外の何者かが・・・おそらくは、この物語の主人公が・・・

巨人のように大きくなり、そして、半分の身長に縮み・・・

その涙で立ち往生した動物たちと出会い、白うさぎの家にはまり込む。

子ブタに変わる赤ん坊や消える猫を見つけ

いつまでも終わらないお茶会に参加しているのを、私は霞のように観察していた。


人間そっくりのトランプの札とクロケーを観戦している時に

私は、どうやら、周りの者からは自分が全く見えていないということに気が付いた。

何故なら、無類のクロケー好き?(そうだったっけ?)な私が、

得点が入った時に、上げた歓声に・・・かなりの大きな声であったのに

誰も反応しなかったのだから。


海岸では、さらにグリフォンと代用海ガメたちに会ったり、

タルトを盗んだと告発されたハートのジャックの裁判を傍聴した。


・・・


私は、少し焦った。


私のおぼろげな記憶が確かなら・・・もうじき、お話は終わり

物語の主人公は、その姉のいる木の下で目をさますのだ。


私は、可愛らしい・・・はずの・・・主人公・・・名は何と言ったか・・・

・・・の顔を・・・せっかくだから一目だけでも見たいという欲求に駆られたのだ。


なぜなのだろう?

物語は、予定されたとおりに進んでいるのだ。

だから、必ず物語の主人公は、その場に居るはずなのに・・・

なぜ、私は、その顔を・・・顔どころか・・・姿を認識できないのだろう?


「あのぅ・・・もしもし?」



突然、足下から声をかけられて、私は驚き飛び退った。

この世界では、傍観者に過ぎなかった私に、声をかけるものがあろうとは

思ってもいなかったのだ。


しかし、まだ私は、その声の主を確認できずにいた。

声はすれども・・・である。


しかし、私は、普段はあまり働かない頭をフル回転させて推理した。

穴の中の世界では傍観者に過ぎない私を、認識し、話しかけることが出来る相手。

それは、私と同様に、穴の世界の外の住人に他ならないのではないか?

穴の外の世界から、穴の中に入り込んだ


・・・そう・・・この物語の主人公!


「君、この物語の主人公だね!」


私は、勢い込んで、そう尋ねた。


すると・・・足下には、小さな蟻が一匹・・・せわしなく這い回っている・・・


蟻?


「そうです。私が、この物語の主人公です。よくご存じですね」


・・・


はい?

最後の最後に来て・・・予想外の展開!

私の知っている物語と違う?


ほうけている私に向かって、小さな蟻は、真面目そうにこう言った・・・


「そうです、わたしが

不思議の国のアリっす!」


・・・


・・



は~い。

やっぱりワタクシが、お話をすると

最後は、こんなオチになっちゃうんで~す。


頭の中は、おやじギャグだけで構成されてま~す。

おやすみなさ~い。


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