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第六話 存在した証

次の日、奈緒と葉瑠は授業中に呼び出された。

「2人とも、すぐに羽森病院に行きなさい。」

『羽森病院』

その言葉は2人を恐怖の中へと突き落とした。

「有希!」

そう、羽森病院とは有希がずっと入院しているところだ。

病院につくと、ベットの上に横たわる有希には酸素マスクが着けられていた。

何本もの管で繋がれピーという虚しい機械音が響いていた。

「…」

微かに有希には息があった。

奈緒は安心したのと変わり果ててしまった事へのショックでベットの傍らに突っ伏して泣き出した。

有希は薄っすらと目を開けて手を伸ばした。そして奈緒の手のぬくもりを感じると小さな声でいった。

「奈緒…さ…葉…瑠。私、も‥っと…い…生きた…い。」

それが有希の最後の言葉だった。

葉瑠は涙をながしていた。

もうあきの手は冷たく冷え、さっきまで生きていたということすら解らなかった。

「有希…。好きだ。好きだ。…っ、世界で一番…大好きだ。」

葉瑠を密かに慕っていた奈緒にとってその言葉は妙に重かった。

「有希…。」

人の死をいうのは命の大切さやその人の存在を確かにして、美しくみえるけど、実際はそんなに簡単じゃないんだな。

家は壊れれば直せばいい。

機械が止まれば電池を換えればまた動く。

だけど、人間は、生き物は、

そんなものじゃ補えない。

死んでしまったら、残るのはいつか薄れてしまう記憶だけで、もう取り戻すことは出来ない。

命はこの星で、この世界で唯一の尊きモノなのだから。


神様は残酷だ。

今まで何も願わずに生きていた有希の最初で最後の願いも叶えてくれないなんて。

有希がこの星に生まれたわけを見つけたい。

俺達で有希の存在したという証をこの星に刻みたい。


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